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交響曲 第22番 ハ長調 K.162
〔作曲〕 1773年4月19日か29日 ザルツブルク |
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モーツァルトは1772年8月、新任なったばかりのコロレド大司教から宮廷楽団の主席ヴァイオリン奏者に任命されていた。 年俸は150グルテン。 ロバート・マーシャルによると、1990年のドル換算で約3000ドルに相当するという。 しかし父子はさらなる栄光を求めて、その年の10月に3回目のイタリア旅行に出た。 表向きの理由は1771年に注文を受けていたオペラ『ルチオ・シラ』(K.135)の作曲と初演だったが、あわよくば音楽の本場イタリアで定職にありつければと考えていた。 初演は12月26日ミラノで行われた。 そのとき、当地のフェルディナンド大公の遅刻のために開演が3時間も遅れたり、テノールの歌手コルドーニが病気で交代することになったり、事故続出だったが、公演は大成功で、引続き20回も上演されたという。 その後、レオポルトは自分の病気を口実にしてまで帰郷を延ばし、息子の就職先を探したが失敗に終り、翌1773年の3月13日に帰郷せざるをえなかった。 ザルツブルクに帰って間もなくモーツァルトは第22番から第30番までの9つの交響曲を書いている。 それらの自筆譜は父の手でまとめられ合本とされ、作曲時期が消された。 旧全集はその「レオポルト合本」通りの順で取り上げたが、消された日付は解読され、次の順に位置づけられている。
第26番 変ホ長調 | K.184 → K.161a | 1773年3月30日 | メヌエットなし(3つの楽章) |
第27番 ト長調 | K.199 → K.161b | 〃 4月10か16日 | 〃 |
第22番 ハ長調 | K.162 → そのまま | 〃 4月19か29日 | 〃 |
第23番 ニ長調 | K.181 → K.162b | 〃 5月19日 | 〃 |
第24番 変ロ長調 | K.182 → K.173dA | 〃 10月3日 | 〃 |
第25番 ト短調 | K.183 → K.173dB | 〃 10月5日 | メヌエットつき(4つの楽章) |
第29番 イ長調 | K.201 → K.186a | 1774年4月6日 | 〃 |
第30番 ニ長調 | K.202 → K.186b | 〃 5月5日 | 〃 |
第28番 ハ長調 | K.200 → K.189k | 〃 11月17か12日 | 〃 |
この第22番ハ長調は作曲順では第3番だが、「レオポルト合本」の第1番にあたる。 日付は19日か29日か判読できない。 ホルンの補強のためにトランペットが使用されているが、当時はトランペットとティンパニが対になって使われていたので、実際の演奏で景気良く叩かれても不思議でない。
第1楽章が典型的なファンファーレ音型のイタリア風序曲であり、「合本」の筆頭を飾るにふさわしいと思われたのだろう。 第2楽章ではトランペットが休み、オーボエとホルンの短い協奏曲を思わせる。 終楽章はジーグ風フィナーレで、トランペットも復活して華々しく奏される。 アインシュタインは、第1楽章の低音部主題がリズムを変えるだけでそのままフィナーレのトゥッティになっていることを指摘し、フィナーレの冒頭の主題が第1楽章の冒頭の主題から発展しているということは、1771年と74年のあいだの(モーツァルトの)シンフォニーのほとんど原理ともいえる特性であると言っている。
余談であるが、その「合本」が1987年5月22日、ロンドンのサザビー社で競売に付され、235万ポンド(約5億5千万円)という空前の高値で落札された。 落札者と手放すことにした者は例によって不明。 これ以外の交響曲の原譜はほとんど公共機関の所蔵になっているので、二度と再びこの種の競売はないとみられ、音楽関係者の間で「世紀の競売」と騒がれた。 なお、自筆譜の競売で、それまでの最高は1982年の同社によるストラビンスキー「春の祭典」33万ポンドだった。
〔演奏〕
CD [ポリドール FOOL 20369] t=8'44 ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団 1979-80年 |
CD [PMG CD 160 113] t=8'23 リッツィオ指揮モーツァルト・フェスティヴァル 演奏年不明 |
CD [TELARC PHCT-5007] t=8'12 マッケラス指揮プラハ室内管弦楽団 1989年4月 |
CD [Membran 203300] t=9'54 Alessandro Arigoni (cond), Orchestra Filarmonica Italiana, Torino 演奏年不明 |
CD [BVCD 37401/02] t=8'31 アーノンクール指揮 Nikolaus Harnoncourt (cond), ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス Concentus Musicus Wien 1999-2000年、ウィーン |
〔動画〕
〔参考文献〕
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