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交響曲 第18番 ヘ長調 K.130
〔作曲〕 1772年5月 ザルツブルク |
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1771年8月13日に第2回イタリア旅行に出たモーツァルト父子は、12月15日にザルツブルクに帰郷した。 その翌日、寛大であった大司教ジギスムント・フォン・シュラッテンバッハが死去。 後任のコロレド伯が翌1772年3月に着任した。 この間に交響曲としては2つ(K.114, K.124)が作曲され、新大司教になってからは相次いで3つ(K.128, K.129, K.130)が作られた。 これら3曲について作曲の動機は不明だが、新大司教に対して、イタリア風のシンフォニーもドイツ風のシンフォニーも作れる力量があることを示すために書いたのではないかとも思われている。 そのかいあって、無給から年給150グルデンの有給コンサートマスターに昇格した。
1772年8月21日(御料局の助言による決定)この曲は5月に一緒に書かれた3曲の一つであるが、その性格はむしろそのあとに続く第19番と似ている。 それは次の楽器編成をながめるといっそうよく分かる。
閣下には慈悲深き9日の指示により、従順なる宮廷付コンサートマスター、ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルトに給料として年間150グルデン下げ渡された。 従って財務局は日々それに見合う額を支払うべきこと。[ドイッチュ&アイブル] p.111
作曲月 | 楽章数 | 楽器編成 | |
1771.12 | 第14番 K.114 | 4 | 2 fl, 2 ob, 2 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 2 | 第15番 K.124 | 4 | 2 ob, 2 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 5 | 第16番 K.128 | 3 | 2 ob, 2 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 5 | 第17番 K.129 | 3 | 2 ob, 2 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 5 | 第18番 K.130 | 4 | 2 fl, 4 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 7 | 第19番 K.132 | 4 | 2 ob, 4 hr, 2 vn, va, bs |
1772. 7 | 第20番 K.133 | 4 | fl, 2 ob, 2 hr, 2 tp, 2 vn, va, bs |
1772. 8 | 第21番 K.134 | 4 | 2 fl, 2 hr, 2 vn, va, bs |
すなわちホルンが4つ使われていることである。 作曲の途中でホルン4本にするため、さらに2本分の譜が追加されたのである。 ザスローによれば
モーツァルトは、慣習どおりF管ホルン1組を念頭に置いて第1楽章に着手し、第2楽章アンダンティーノを書き進めた。 しかしメヌエットに達するまでに、もう1組のホルンを書き加える決心をして、この楽章とフィナーレにはそれが入っている。 その後彼は冒頭に戻り、第1・第2楽章の譜表間の空白に、追加のホルン・パートを書き加えた。 ホルンの名手、イグナーツ・ロイトゲープがヨーロッパ・ツアーからザルツブルクに戻ったことが、変更を決心させたのかもしれない。そしてザスローは第3楽章のトリオにロイトゲープのために特別な工夫をこらした箇所を指摘している。 4本のホルンを使うという試みは次作「第19番変ホ長調 K.132」へ引き継がれるが、さらにこの曲には楽器編成の点でほかとは違う点がある。 その違いとはオーボエなしで、フルートを使っていることであり、そのため「この交響曲は独特の音色をもっている」(ザスロー)のである。 4本のホルンを使うこと、またオーボエなしで、フルートを使うことはどちらも彼の交響曲としては初めての試みであり、その意味でもモーツァルトはこのシンフォニーの作曲には何か特別な動機をもっていたものと思われる。 ただしこの曲に込められた様々な工夫が新大司教にどれだけ通じたか。[全作品事典] p.232
〔演奏〕
CD [ポリドール FOOL-20366] t=20'56 ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団 1979-81年、ロンドン |
CD [PMG CD160108] t=21'28 リッチオ指揮モーツァルト・フェスティバル管弦楽団 演奏年不明 |
CD [Membran 203300] t=16'11 Alessandro Arigoni (cond), Orchestra Filarmonica Italiana, Torino 演奏年不明 |
〔動画〕
〔参考文献〕
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