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ピアノのための習作

  • アンダンテ ハ長調 K.1a
  • アレグロ ハ長調 K.1b
  • アレグロ ヘ長調 K.1c
  • メヌエット ヘ長調 K.1d
  • メヌエット ト長調 K.1e (K.1)
  • メヌエット ハ長調 K.1f

よく知られているように父レオポルトは娘ナンネルのクラヴサン(チェンバロ)練習用に40曲以上の小曲からなる『ナンネルの楽譜帳』を編集している。 それはナンネルが7才の1759年のことであった。 レオポルトは弟ヴォルフガングにも遊びのつもりでその『楽譜帳』を使ったところ、1760年から61年にかけてまたたく間に演奏できるようになった。 中にはたった30分で習得した曲もあったほどである。 しかもナンネルの回想によれば、「誤ることなく、このうえなく綺麗に、拍子もきわめて正確に弾いたものでした」という。 それだけにとどまらず、みずから作曲するようになり、レオポルトは『楽譜帳』に書きとどめたことから、神童の驚異的な成長を知ることができる貴重な資料が後世に残されたのである。 しかし、のちにナンネルはそれらの部分を切り抜いて人にあげてしまったため、モーツァルトの最初期の小品はばらばらになっていた。 もともと『楽譜帳』は48葉(96ページ)からなっていたが、そのうち12葉が失われ、36葉だけが現存している。 ただし切り離されたものの大部分(12葉のうち9または10葉)は見つかっていて、それが上記の6曲(K.1a~1f)と以下の6曲である。

K.1a~1dは20世紀後半(第2次世界大戦後)に発見され、父のメモ「5歳の最初の3ヶ月」により、従来は最初の作品とされていたK.1(K.1e-1f)よりも前に置かれた。 ただし、これらの作品群のリズムは後のK.1~K.5よりも複雑なので、父の関与も考えられている。
 


K.1a ピアノのためのアンダンテ

〔作曲〕 1761年1月末か2月初 ザルツブルク

父レオポルトの手で「5歳の最初の3か月のうちに書かれたヴォルフガングの作品」と記されている。
10小節。 前半は4分の3拍子、後半は4分の2拍子。

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=0'17
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=0'17
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1977年8月、アムステルダム・コンセルトヘボウ

〔動画〕


 

K.1b ピアノのためのアレグロ

〔作曲〕 1761年1月末か2月初 ザルツブルク

父レオポルトの手で「5歳の最初の3か月のうちに書かれたヴォルフガングの作品」と記されている。
12小節、4分の2拍子。

この曲では、右手と左手を交互に鳴らしたり、休めたりする音形が現れているが、これは『楽譜帳』第23番の行進曲(ヘ長調)から学んだものであり、さっそく実際に自分で作ってみたのだという。 そして彼の愛好の音形になったのだという。
モーツァルトが、これをどんなに好んだかは、さらにのちに、12歳の彼がヴィーンで書いた最初のジングシュピール『バスティアンとバスティエンヌ』(K50=K646b)の第6曲バスティエンヌのアリアの伴奏で使っていることからも理解できる。
[海老沢] p.45

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=0'14
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=0'11
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1977年8月、アムステルダム・コンセルトヘボウ

〔動画〕


 

K.1c ピアノのためのアレグロ

〔作曲〕 1761年12月11日 ザルツブルク
1761年12月

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父レオポルトの手で「ヴォルフガンゴ・モーツァルト氏、1761年12月11日」と、作曲された日付が記されている。
12小節、4分の2拍子。 三部形式。
この曲の旋律が30年後の死の直前の傑作『魔笛』の中でパパゲーノが歌うアリア「パパゲーノが欲しいのは」のメロディーと同じであることは有名。

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=0'48
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=0'34
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1977年8月、アムステルダム・コンセルトヘボウ

〔動画〕


 

K.1d ピアノのためのメヌエット

〔作曲〕 1761年12月16日 ザルツブルク
1761年12月

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20小節、4分の3拍子。
父レオポルトの手で「ヴォルフガンゴ・モーツァルト氏のメヌエット、1761年12月16日」と、作曲された日付が記されている。 前曲から1週間もたたないうちに書かれたこのメヌエットは左右の指の動きが複雑となり、モーツァルトが急速に成長していることがわかる。

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=1'14
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=0'55
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1977年8月、アムステルダム・コンセルトヘボウ

〔動画〕


 

ピアノのためのメヌエット K.1

〔作曲〕 1764年

1761~62年、ヴォルフガングが5才から6才の頃、早熟の息子が作曲したものを父レオポルトが「ナンネルの楽譜帳」に書き込んだ最初期のピアノ小品の一つと思われていたが、現在はモーツァルト一家の西方への大旅行中の1764年頃に書かれたものといわれている。 さらに、ハ長調の曲(トリオ)を別の曲と解釈し、現在では K.1 を2つのメヌエット K.1e と K.1f に分け、K.1e の方を K.1 としている。 ただし、両者のモチーフはよく似ているので、1つの曲(メヌエットとトリオ)と考えることもできる。

なお、ナンネルの楽譜帳に書き込まれてあったこの曲の自筆譜を、1815年にナンネルが破りとり、ハルトマンという人物にサインして贈った。 その後ハルトマンはそれをザルツブルクのカロリーノ・アウグステウム博物館に寄贈したという。

K.1e

K.1f

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=1'57
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=2'34
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1977年8月、アムステルダム・コンセルトヘボウ
CD [Teldec WPCS-22043] t=2'00
トビアス・ライザー・アンサンブル Ensemble Tobias Reiser
1983年頃
※トビアス・ライザー1世編曲
CD [MEISTER MUSIC MM-1020] t=1'55
岩井美子 IWAI Yoshiko (p)
1996年1月、伊勢原市民文化会館

〔動画〕


 

〔参考文献〕

 

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2015/04/19
Mozart con grazia