Mozart con grazia > オーボエ・ファゴットのための曲集 >
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ファゴットとチェロのためのソナタ 変ロ長調 K.292 (196c)

  1. Allegro 変ロ長調 4/4 ソナタ形式
  2. Andante ヘ長調 3/4 ソナタ形式
  3. Allegro 変ロ長調 2/4 ロンド形式
〔編成〕 fg, vc
〔作曲〕 1775年初 ミュンヘン

ファゴットとチェロという珍しい編成のソナタであるが、チェロは通奏低音のような伴奏役に終始しているので、ファゴット演奏家を引き立てるためのソナタである。 ファゴット好きのモーツァルトならではの珠玉の作品。

モーツァルトはオペラ・ブッファ『偽りの女庭師』上演(初演は1775年1月15日)のため、1774年暮れからこの年の3月までミュンヘンに滞在したが、そのとき同年輩のタデウス・フォン・デュルニッツ男爵(Thaddäus Wolfgang Freiherr von Dürnitz, 1756? - 1807)と親しくなったといわれる。 彼はミュンヘンのバイエルン選帝侯の侍従で、ファゴットの演奏の名手として知られた音楽愛好家だった。

この曲はデュルニッツ男爵の遺品の中から見つかったファゴット(バスーン)のための作品の一つと伝えられ、彼の注文を受けて書いたものと思われている。 そのため、ケッヘルは1778年はじめ頃、モーツァルトが母と二人でパリへ旅たった際、途中マンハイムに滞在していたときの成立と考え、K.292という番号で位置づけた。 その後、上記のように1775年はじめ頃に書かれたのではないかと見直され、番号K.196cが与えられている。 ただしこれらを裏付ける資料はなく、また自筆譜も残されていないので成立の事情は(楽器編成も含めて)まったくわからない。 新全集は2つのファゴットのために書かれたかもしれないと推測している。

なお、モーツァルトはデュルニッツ男爵のためにこの曲のほかに、ファゴット協奏曲「変ロ長調 K.191 (186e)」や「ヘ長調 K.196d (Anh.230)」を作ったらしく、デュルニッツが没したとき、これらの作品が競売にかけられたと言い伝えられている。

余談であるが、彼のためにモーツァルトは「デュルニッツ・ソナタ」と呼ばれる6曲のピアノ・ソナタを書いてもいるが、デュルニッツはそのソナタ集の代金をなかなか支払わなかった。 2年後の1777年12月の段階でも、ザルツブルクから父はマンハイム滞在中の息子に「ミュンヘンで金を払ってくれたのか? それとも彼にそれをプレゼントするとでもいうのか?」と手紙に書き残している。 デュルニッツは歴史に汚点を残す結果となった。

〔演奏〕
CD[PHILIPS PCD-22] t=9'20
トゥーネマン Klaus Thunemann (fg), オートン Stephen Orton (vc)
1988年9月、ロンドン
CD[Deutsche Grammophon GALLERIA 457 912-2] t=15'33
トゥルコヴィッチ Milan Turkovic (fg), ファウスト Georg Faust (vc)
1990年8月、 Abersee, Kirche St. Konrad

〔動画〕

〔参考文献〕


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2015/11/29
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