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アリア 「彼に目を向けなさい」 K.584Aria for bass "Rivolgete a lui lo squardo"〔編成〕 B, 2 ob, 2 fg, 2 tp, timp, 2 vn, 2 va, vc, bs 〔作曲〕 1789月12日 ウィーン |
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ダ・ポンテ詞。 『コシ・ファン・トゥッテ』(K.588)第2幕第15曲グリエルモのアリアとして、フランチェスコ・ベヌッチ(44歳)のために作ったが、長すぎるので短いアリアに書き換えたといわれ、したがってこれは別個の作品となっている。
これはあまりに大規模なので第1幕の劇の流れを妨げるように思ったから、もっと短いアリア『そんなに取りすまさないで』(Non siate ritrosi)(第15曲)と取り替え、前者を『オペラ≪女はみんなこうしたもの≫のなかのアリアだったもの、ベヌッチのために作曲』として、別の番号をつけて自分の『主題による作品目録』に書き入れたのである。タイトルについて、自作目録では「彼に a lui」ではなく「私に a me」となっている。[アインシュタイン] p.612
〔訳詞〕
振り返って あの男のさまを ご覧なさい
全身で訴えています
私は身が凍り また燃える思いです
私の生き神様 どうかお慈悲を
そしてあなたは 美しい瞳を
ひと目 私へお向けください
すると私の この筆舌に尽くせぬ
気持がわかるでしょう
恋に落ちた騎士オルランドも
私の比ではありません
胸を痛めたメドーロも
物の数ではありません
私の吐息は炎 欲望は青銅
自慢するようですが
私にも彼にも 間違いなく
匹敵する者はおりません
ウィーンからカナダまで
・・・
〔動画〕
Francesco Benucci1745 - 1824 |
生年ははっきりしない。 1782年(37歳ころ)ウィーンに移住し、宮廷劇場のイタリア語オペラ歌手(バリトン)として1795年までの13年間大活躍した。 モーツァルトは彼の才能を高く評価していた。 彼の年俸は4185フローリンであり、宮廷作曲家モーツァルトの800フローリンに比べて、実に5倍以上の高給年俸であった。
ベヌッチは『フィガロの結婚』(K.492)でフィガロ役を、また『ドン・ジョヴァンニ』(K.527)でレポレロ役を努めた。 『コシ・ファン・トゥッテ』初演のときはフィオルディリージを愛する士官グリエルモを歌った。
『フィガロ』でスザンナ役を演じた、20歳ほど若いナンシー・ストレースと恋愛関係にあったという。 よく知られているように、1786年2月7日、モーツァルトのジングシュピール『劇場支配人』(K.486)が上演されたとき、宮廷楽長サリエリのイタリア語オペラ『初めに音楽、次に台詞』も上演されている。 このサリエリのオペラでベヌッチ(41歳)とナンシー(21歳)は共演している。 二人の関係はナンシーがロンドンに帰る1787年まで続いていたといわれる。
1797年にリボルノに戻ったのち、1824年4月5日フィレンツェで没した。
〔参考文献〕
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