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ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 K.301 (293a)

  1. Allegro con spirito ト長調 4/4 ソナタ形式
  2. Allegro ト長調 3/8 三部形式
〔編成〕 p, vn
〔作曲〕 1778年2月 マンハイム
1778年2月






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1778年11月パリのシベール(Jean Georges Sieber)から「作品1」として出版 され、パラチーヌ(プファルツ)選帝侯カール・テオドール(1724-99)の侯妃マリア・エリーザベト・アウグステ(1721-94)に献呈された6曲のソナタの第1番。

  1. K.301 (293a) ソナタ 第25番 ト長調
  2. K.302 (293b) ソナタ 第26番 変ホ長調
  3. K.303 (293c) ソナタ 第27番 ハ長調
  4. K.304 (300c) ソナタ 第28番 ホ短調
  5. K.305 (293d) ソナタ 第29番 イ長調
  6. K.306 (300l) ソナタ 第30番 ニ長調
これらは『マンハイム・ソナタ』あるいは『プファルツ・ソナタ』と呼ばれるシリーズである。 1777年9月、モーツァルトは母と二人でパリに向けて旅立ったが、10月末にマンハイムに到着し、その地に4ヶ月半も長期滞在していたときに書き始めた曲集であった。 作曲の動機は(旅の目的に反して)当地の宮廷で職を得ようと希望していたことである。
1777年12月10日(マンハイム)
この2か月、たっぷり作曲するものがありそうです。 協奏曲を3つ、四重奏曲を2つ、クラヴィーア二重奏曲を4つか6つ、それから新しい大ミサ曲を書いて『選帝侯』に献呈しようと考えています。
[書簡全集 III] p.342
モーツァルトが「クラヴィーア二重奏曲」と言っているように、ピアノが主でヴァイオリンが従(それはフルートでも演奏可能)のソナタであって、今日われわれが「ヴァイオリン・ソナタ」と呼ぶものとは少し違う。 この種の二重奏曲は、モーツァルトにとって、1766年の『ハーグ・ソナタ集』(K.26~K.31)以来の12年ぶりのことだった。 そのきっかけは当地の選帝侯宮廷楽長シュースターのソナタとの出会いがあったことによる。
1777年10月6日(ミュンヘン)
姉さんのために、シュースターの6曲の『クラヴィチェンバロとヴァイオリンのための二重奏曲』を同封します。 ぼくはこれらの作品をよくここで演奏しました。 悪くはありません。 当地ではこれらは非常に好まれているので、もしここにぼくが留まるなら、この様式でやはり6曲書いてみたいと思います。
同書 p.101
こうして6曲のピアノとヴァイオリンのための二重奏曲が生まれることになったが、前半3曲は1778年2月にマンハイムで作られたとみられる。 第6番のニ長調(K.306)以外はすべて2楽章から成り、それはクリスチアン・バッハに倣ったものという。

この曲は初めマンハイムの音楽愛好家ドゥジャンまたはマンハイム宮廷楽団フルート奏者ヴェンドリングのためにフルート曲として構想されたとも見られている。 フルートを想定したらしい最初の楽譜がすべて斜線で消されているという。 冒頭のテーマは「歌うアレグロ」の見本とも言われ、ヴァイオリンによる流れるような始まりは魅力的であり、もはやヴァイオリンなしでは演奏できない作品として書かれている。 2楽章から成る形式はクリスチアン・バッハに従っているとはいえ、2つの楽器の扱いについては新たな境地を試みている。 すなわちヴァイオリンが伴奏という脇役にとどまることはなく、対等の関係で扱われようとしているのである。 これはシュースターのソナタからモーツァルトが啓示を受けたものであった。 アインシュタインは次のように評している。

しかし今度は両楽器の有機的な連関の点で、彼はヨーハン・クリスティアーンをはるかに越えており、そのうえ、ときには彼がいまや新しい、自分にとって未踏の道を歩んでいることが、われわれの目につくのである。 いくらか異様なハ長調ソナタ(K.303)の場合、または、いくらかハイドン風のト長調(K.301)のロンドの場合などがそうである。
[アインシュタイン] p.348
「ハイドン風」という表現はときに少し軽い、深みの足りない場合に使われることがあり、残念である。 そのような印象は否定できないが、それだからといって価値が低いわけではない。 この曲では、まだ2つの楽器が対等な関係にまで至ってなく、第2楽章でヴァイオリンはやはり伴奏役にまわっている。 ただし、三部形式の中間部はシチリアーノ風のト短調の旋律がヴァイオリンで奏でられ、それにピアノが伴奏する。 そしてピアノによる「ハイドン風」の冒頭主題に戻ることで、ロンド形式のようにも感じられる。 22歳の青年モーツァルトが二重奏ソナタに対して意欲的に新しい試みをしようとした作品の第1番として素晴らしい。 なお、このソナタ集は1779年1月7日にミュンヘンで直接モーツァルトから選帝侯妃に献呈された。

〔演奏〕
CD [KICC-2205] t=10'06
フェルデシュ (p), シゲティ (vn)
1943年
CD [MVCW-19010] t=11'51
バドゥラ=スコダ Paul Badura-Skoda (p), バリリ Walter Barylli (vn)
1952年、ウィーン・コンツェルトハウス、モーツァルトザール
CD [東芝EMI TOCE-6725-30] t=12'28
クラウス Lili Kraus (p), ボスコフスキー Willi Boskovsky (vn)
演奏年不明
CD[COCQ 83885-88] t=10'54
ホルショフスキー (p), シゲティ (vn)
演奏年不明
CD [Polydor POCG-90177] t=11'31
シュナイダーハン (vn), ゼーマン (p)
1955年10月
CD [PHILIPS 32CD-159] t=10'47
ハスキル Clara Haskil (p), グリュミオー Arthur Grumiaux (vn)
1958年10月、バーゼル
CD [ポリドール LONDON POCL-2084/7] t=13'37
ルプー Radu Lupu (p), ゴールドベルク Szymon Goldgerg (vn)
1974年、ロンドン、 Kingsway Hall
CD [Deutche Grammophon 410 896-2] t=13'16
バレンボイム (p), パールマン (vn)
演奏年不明
CD [キング KKCC-232/3] t=13'19
ヴェッセリノーヴァ Temenuschka Vesselinova (fp), バンキーニ Chiara Banchini (vn)
1993年4月、パリ
※ヴァイオリンは1780年クレモナ製、フォルテピアノはケレコムによるシュタイン・モデルのレプリカを使用。
CD [AMBRONAY ARCANA A 906] t=16'29
アルヴィーニ Laura Alvini (fp), ガッティ Enrico Gatti (vn)
1997年、 Villa Medici Giulini
※ fp = Anton Walter, Vienna ca. 1785 ; vn = Laurentius Storioni, Cremona 1789

〔動画〕

〔参考文献〕

 

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2014/09/21
Mozart con grazia