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K.229 (382a) カノン「彼女は死んだ」■疑作 |
ハ短調、2分の2拍子。 歌詞なしのカノンであるが、ラテン語の歌詞がついていたかもしれないという。 また、当時は歌詞なしのカノンに歌詞をつけて楽しむ習慣があったことから、この曲もいろいろと歌われていたかもしれない。 モーツァルトの死後、1798年から1806年にかけて出版されたブライトコップ全集ではヘルティの詞「夜鳴きうぐいすの死に寄せて Auf den Tod einer Nachtigall」の歌詞(3声)がつけられたことから、「彼女は死んだ Sie ist dahin.」というタイトルで呼ばれるようになった。
ヘルティ(Christoph Heinrich Hölty または Ludwig Heinrich Cristoph Hölty, 1748 -76)は宗教詩人で、1772年に結成された詩人グループ「ハインブント(ハイン同盟)」の創設者だという。 モーツァルトは1787年に彼の詞による歌曲「夢のすがた K.530」を作曲している。 のちにシューベルト(Franz Peter Schubert, 1797- 1828)もヘルティの詩による歌曲を多数作っている。
〔歌詞〕
Sie ist dahin, die Sängerin
die Maienlieder tönte!
Sie, die durch ihr Lied
Den ganzen Hain, ach! sie ist dahin!
...
あの子が死んだ、あの歌姫が死んだ
五月の花の歌を歌ってくれたあの子が死んだ
彼女が歌えば
森の中に美しく響いたものだ
・・・
訳:石井 宏 CD [PHILIPS UCCP-4085/7]
〔演奏〕
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=2'25 コルス・ヴィエネンシス 1991年1月 |
〔動画〕
K.230 (382b) カノン「ものみな幸なり」■疑作 |
ハ短調、2分の2拍子。 歌詞なし。 後にブライトコップ全集でヘルティ詞「わが父の墓に寄せる悲歌 Elegie beim Grabe meines Vaters」がつけられた。
〔歌詞〕
Selig, selig, die entschliefen indem Herrn,
selig, die entschliefen indem Herrn, indem Herrn,
denn sie werden erwachen, ja, erwachen. Darum, o.
幸いなるかな、信仰篤き人
幸いなるかな、信仰篤き人
彼らこそ、目覚める人、そう、目覚める人、ゆえに、おお
フラウヒガー「モーツァルトとの24景」(田辺秀樹訳、白水社)p.171
〔演奏〕
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=1'27 コルス・ヴィエネンシス 1991年1月 |
〔動画〕
K.231 (382c) カノン「俺の尻をなめろ」■疑作 |
変ロ長調、4分の4拍子、6声。 モーツァルトの詞は「俺の尻をなめろ Leck mich im Arsch.」という内容のきわめて卑猥なものだったらしい。 そのオリジナルの歌詞の行方は不明。 モーツァルトの死後に出版されたブライトコップ全集では別の歌詞「愉快にやろう、不平や愚痴はつまらない Laßt froh uns sein」がつけられて今に残っている。 その作詞者はヘルテル(Gottfried Christoph Härtel, 1763-1827)とされている。
〔歌詞〕
Laßt froh uns sein!
Murren ist vergebens!
Knurren, Brummen ist vergebens,
Ist das wahre Kreuz des Lebens.
Das Brummen ist vergebens
Drum laßt uns froh und fröhlich sein.
ボソボソ言っても始まらない
ブツブツ言っても
グズグズ言っても始まらない
人生にとっちゃ役立たず
グズグズ言っても始まらない
だから楽しく元気でやろうぜ
訳:石井 宏 CD [PHILIPS UCCP-4085/7]
〔演奏〕
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=2'16 コルス・ヴィエネンシス 1991年1月 |
〔動画〕
K.233 (382d) カノン「俺の尻をなめろ」「酒ほど気分のいいものはない」〔作曲〕 ヴェンツェル・トゥルンカ・フォン・クルゾヴィッツ(1739−91) |
変ロ長調、4分の4拍子、アンダンテ、3声。 これもモーツァルトがつけた歌詞は「俺の尻をなめろ、きれいさっぱりと Leck mir den Arsch fein recht schön sauber.」というもので、作曲者と仲間が歌って大いに盛り上がっていたと想像できるが、その歌詞の行方は不明。 のちの全集では別の詞「わしにゃ酒が何より一番 Nichts labt mich mehr」がつけられて出版された。 ただし作曲者は上記のトゥルンカである。 1988年ドイツのマインツにおいて次のような研究発表があったという。
発表者はモーツァルト研究者ヴォルフガング・プラートで、彼の研究によって、カノンの真の作者はヴェンツェル・ヨハン・トゥルンカ(Wenzel Johann Trnka 生没年不明)というブダペスト大学(当時で言えばペスト大学)の医学部の教授であったことが判明した。 しかもこの曲のトゥルンカによる自筆譜までが存在することがわかったのである。 また、ケッヘル目録においてこの曲の次に記載されているカノン『夏の暑さに、おれは食う Bei der Hitz im Sommer eß ich』も同様に、トゥンカの作であることが、プラートによって突きとめられた。続けて小林は次のように説明している。[小林] p.143
「おれの尻をなめろ」という表現は、実はそれほど卑猥な意味をもつわけではなく、ゲーテの戯曲『ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン Götz von Berlichingen』にも使われているように、文字どおりに受け取らず、「糞喰らえ」「勝手にしやがれ」といった程度の意味として理解すべきであろう。
〔歌詞〕
Nichts labt mich mehr als Wein
Es schleicht so sacht hinein!
...
Stoßt an! Laßt alle Sorgen sein!
Wir ersäufen sie im Wein!
酒ほど気分のいいものはない
そいつは音も立てずに忍びこむ
<中略>
かんぱーい! 悩みなんぞは知らん
酒で洗い流してやるぞ
訳:石井 宏 CD [PHILIPS UCCP-4085/7]
〔演奏〕
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=2'35 コルス・ヴィエネンシス 1991年1月 |
〔動画〕
K.234 (382e) カノン「夏のさなかに俺は食う」「食べて飲み Essen, Trinken, das erhält」〔作曲〕 ヴェンツェル・トゥルンカ・フォン・クルゾヴィッツ(1739−91) |
ト長調、4分の4拍子、アレグロ、3声。 モーツァルトがつけた歌詞はやはり下品な内容の「夏のさなかに俺は食う Bei der Hitz' im Sommer, ess ich.」だが、ブライトコップ版では無難な詞「食べて飲み Essen, Trinken, das erhält」で出版された。
〔歌詞〕
Essen, Trinken, das erhält den Leib
'S ist doch mein liebster Zeitvertreib
Das Essen und Trinken.
Labt mich Speis' und Trank nicht mehr
Dann ade! Dann, Welt, gute Nacht!
So ein Brätchen, ein Pastetchen
Ach, wenn die meinem Gaumen winken
Dann ist mein Tag vollbracht
Ach, und wenn im lieben vollen Gläschen
Gram und Sorgen miedersinken
Dann aller Welt, dann gute Nacht!
飲み食いしてこそ身体がもつ。
俺の大の楽しみなのだ、
飲み食いこそ。
飲み食いがもう俺の楽しみでなくなったら、
そのときはさらば、世間よ、さようなら。
ああ、パンや肉まんが
俺の口に別れの挨拶をするとき、
そのときこそ俺の人生の終りなのだ。
ああ、あのなつかしいあふれるグラスの中で、
悲嘆と心配がしずむとき、
そのときこそ、全世界よ、さようなら。
東川清一訳 CD[EMI TOCE-6596]
〔演奏〕
CD [EMI TOCE-6596] t=1'36 ウィーン・アカデミー室内合唱団 演奏年不明 |
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=3'06 コルス・ヴィエネンシス 1991年1月 |
〔動画〕
K.347 (382f) カノン「泡立つ酒がグラスに光るところ」〔作曲〕 ? ウィーン |
ニ長調、2分の2拍子、3声。 自筆譜五線紙は1784~85年頃のものであるという。 歌詞なし。 ただし後にブライトコップ版で歌詞「泡立つ酒がグラスに光るところ Wo der perlende Wein im Glase blinkt.」をケッヘルによって付けられた。 ほかに「いざ行こう、ブドウの実が実るところへ Laßt uns ziehn, wo die volle Beere schwillt」の替え歌もあるという。
〔歌詞〕
Wo der perlende Wein im Glase blinkt
Da laßt uns weilen.
シャンペンがグラスに光る店で
泊まらせておくれ
訳:石井 宏 CD [PHILIPS UCCP-4085/7]
〔演奏〕
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=0'49 コンチェントゥス・ヴォカリス女声合唱団 1991年1月 |
〔動画〕
K.348 (382g) カノン「心優しく君を愛す」〔作曲〕 ? ウィーン |
Konstanze 1762-1842 |
Aloysia 1760?-1839 |
〔歌詞〕
V'amo di core teneramente
Io non vi posso altro amare
Uh che dolore, uh che tormento.
私は心からあなたが好き
ほかの男には目もくれないの
あら、なんて悲しいの、悩みの種よ
訳:石井 宏 CD [PHILIPS UCCP-4085/7]
〔演奏〕
CD[ARCHIV POCA-2065] t=1'59 北ドイツ合唱団 Norddeutscher Singkreis 1951-53年 |
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=0'55 コンチェントゥス・ヴォカリス女声合唱団 1991年1月 |
〔動画〕
〔参考文献〕
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