17 age |
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カンツォネッタ「静けさがほほえみながら」 K.152 (210a)
〔作曲〕 1772年から1775年の間、 ザルツブルク? |
作者不明のイタリア語の詩によるカンツォネッタ(小さい歌)で、作曲された時期・場所・動機などすべての事情がわからない。
真作かどうか疑問もあるという。
新全集は歌曲の中に入れず付録扱いとしている。
作曲の成立について不明であるが、作曲家ミスリヴェチェク(Joseph Myslivecek, 1737 -81)作のアリアを編曲したものとも言われたり、また、当時ザルツブルク宮廷楽団の楽長待遇であったフィスキエッティのオペラ『マルマンティーレの市』への挿入歌として作られたとする説もある。
モーツァルトの死後、1799年2月25日にコンスタンツェが出版業者ブライトコップ・ウント・ヘルテル社に送った草稿に含まれていて、そのときイェーガー(Daniel Jäger, 1762-1802)のドイツ語訳が付けられて出版された。
余談であるが、ブライトコップ・ヘルテルは『モーツァルト全集』を発刊しようとしたが、コンスタンツェとの関係が悪化し、自筆譜や写譜はコンスタンツェに返却され、それらはすべて別の楽譜商アンドレに(1799年に総額3150グルデンで)買い取られた。 ただしブライトコップ・ヘルテルの『モーツァルト全集』の刊行は続けられ、1798年から1806年までの間に17巻出版された。
さらに余談であるが、フィスキエッティ(Domenico Fischietti, 1725-1810?)はナポリに生まれ、ヴェネツィアでオペラ作家として活躍し、1766年に老ハッセの後任としてドレスデン宮廷楽長を務めていた。 1772年3月14日にザルツブルクの新大司教に就任したばかりのヒエロニムス・コロレド伯(40才)は、ナポリで実力を認められていたハッセの推薦を受けてフィスキエッティ(47才)をザルツブルク宮廷楽団の楽長待遇で任用する。 ただしそのときロッリ(71才)が本当の楽長であった。 ロッリは前楽長エーベルリンの死去(1762年6月21日)に伴い、1763年2月28日に副楽長から昇任したもので、ちなみにそのときモーツァルトの父レオポルト(53才)が副楽長に就任していた。 したがって新大司教は突然レオポルトの上に若いフィスキエッティを置いたことになり、レオポルトの心中は穏やかではなかった。 しかもフィスキエッティを採用したのは1772年9月5日であり、それはモーツァルト父子が3回目のイタリア旅行に出かける10月24日の直前でもあった。 このままでは自分は一生楽長になれないかもしれないと思ったことであろう。 ロッリは高齢であったので、コロレド大司教は不測の事態に備えていたと思われ、ジャコモ・ルスト(Giacomo Rust, 1741-86)も1776年から77年にかけて楽長を務めていたというから話は複雑である。 楽長ロッリが死去(1778年8月)したあともフィスキエッティは1779年まで務めていたようだが、なぜかその後の消息は不明だという。 ロッリの後任となる人物は当然イタリア人でなければならず、大司教はイタリア中に欠員公募したという。 その候補者にルイージ・ガッティ(Luigi Gatti, 1740-1817)の名前があったが、彼が楽長に就任したのは1783年(2月14日)になってからだった。 その間かなり長く楽長不在だったが、レオポルトは楽長になれず生涯副楽長どまりだった。 それに対してレオポルト本人は不満だったが、音楽の本場イタリアで認められた存在でない(オペラを書いたことがない)以上それは当然のことであり、特に大司教から冷遇されていたわけではなかった。 レオポルトの不満はコロレドの耳に入っていたかもしれず、それでも、むしろ引き立ててもらったと言うべきではなかろうか。 「イタリア人にあらざれば人にあらず」というのが常識だった時代なのである。
〔歌詞〕
Ridente la calma Nell'alma si desti; Ne resti un segno Di sdegno e timor. |
安らかさが、ほほえみをたたえて 心の中に湧きあがってくる、 腹立たしさや不安の思いは 跡かたもなく消えて行くがいい。 |
Tu vieni frattanto A stringer, mio bene, Le dolci catene Si grate al mio cor. |
恋人よ、お前がやってくる、 そうこうする間に −−− あの甘美な鎖を、こころよく 私の心に締めつけようとして。 |
西野茂雄訳 CD[EMI Angel CC30-9018] |
〔演奏〕
CD [EMI TOCE-7589] t=3'18 シュワルツコップ Elisabeth Schwarzkopf (S), ギーゼキング Walter Gieseking (p) 1955年4月、ロンドン |
CD [EMI 7-63702-2] t=3'18 ※上と同じ |
CD [UCCG 4118] 「静けさはほほえむ」 t=3'26 リタ・シュトライヒ Rita Streich (S), エリック・ヴェルバ Erik Werba (p) 1956年5月、ベルリン |
CD [EMI Angel CC30-9018] t=3'18 アメリンク Elly Ameling (S), デムス Jörg Demus (p) 1969年12月、ベルリン |
CD [PHILIPS 422 524-2] t=3'30 アメリンク Elly Ameling (S), ボールドウィン Dalton Baldwin (p) 1977年8月、オランダ、Musis Sacrum, Arnhem |
CD [PHILIPS UCCP-4085/7] t=3'30 ※上と同じ |
CD [COCO-78062] 「静けさはほほ笑みに」 t=3'38 白井光子 (Ms), ヘル Hartmut Höll (p) 1985-86、ハイデルベルク |
CD [WPCC-4279] 「落ち着きはらってほほえみながら」 t=3'08 シュリック Barbara Schlick (Ms), マトウ Tini Mathot (fp) 1990年5月、ユトレヒト |
CD [WPCC-4666] 「落ち着きはらってほほえみながら」 t=3'48 ボニー Barbara Bonney (S), パーソンズ Geoffrey Parsons (p) 1990年8月、ベルリン |
〔参考文献〕
〔動画〕
[http://www.youtube.com/watch?v=IiszNRyDdKo] t=3'19 シュワルツコップ Elisabeth Schwarzkopf (S), ギーゼキング Walter Gieseking (p) |
[http://www.youtube.com/watch?v=pasmjx0vehE] t=3'50 Cecilia Bartoli (S), András Schiff (p) |
[http://www.youtube.com/watch?v=ZmiDhgU2Wbg] t=3'03 Sophie Karthäuser (S), Cedric Tiberghien (p) Beaune Baroque Festival July 24th, 2009 |
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