Mozart con grazia
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ピアノ協奏曲
Concerto for piano
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通し番号がついた作品が全部で27曲ある。
そのうち最初の4つは編曲である。
なお、ピアノと言っても当時はチェンバロや(その頃新しく登場した)フォルテピアノであった。
出版された楽譜の表紙には「clavicembalo または pianoforte のためのコンチェルト」などと書かれている。
- K.175 第5番 ニ長調
- Allegro ニ長調 4/4 ソナタ形式
- Andante ma un poco Adagio ト長調 3/4 展開部のないソナタ形式
- Allegro ニ長調 2/2 ロンド形式
[作曲] 1773年12月 ザルツブルク
モーツァルト自身の手になる最初のクラヴィア協奏曲。
- K.238 第6番 変ロ長調
- Allegro aperto 変ロ長調 4/4 ソナタ形式
- Andante un poco adagio 変ホ長調 3/4 展開部のないソナタ形式
- Allegro 変ロ長調 2/2 ロンド形式
[作曲] 1776年1月 ザルツブルク
- K.242 第7番 ヘ長調 「ロドロン」
- Allegro ヘ長調 4/4 協奏風ソナタ形式
- Adagio 変ロ長調 4/4 ソナタ形式
- Tempo di Menuetto ヘ長調 3/4 ロンド形式
[作曲] 1776年2月 ザルツブルク
3台のピアノのための。
ザルツブルクの貴族フォン・ロドロン伯爵夫人マリア・アントニアとその二人の娘アロイジアとヨゼファのために。
- K.246 第8番 ハ長調 「リュッツォウ」
- Allegro aperto ハ長調 4/4
- Andante ヘ長調 2/4
- Tempo di menuetto ハ長調 3/4 ロンド形式
[作曲] 1776年4月 ザルツブルク
リュッツォウ伯夫人(ツェルニン伯令嬢)のために。
- K.271 第9番 変ホ長調 「ジュナミ」
- Allegro 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
- Andantino ハ短調 3/4 ソナタ形式
- Presto 変ホ長調 2/2 ロンド形式
[作曲] 1777年1月 ザルツブルク
ジュナミ夫人のために。
「ジュノム」で知られている。
- K.365 (316a) 第10番 変ホ長調
- Allegro 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
- Andante 変ロ長調 3/4 三部形式
- Allegro 変ホ長調 2/4 ロンド形式
[作曲] 1779年初 ザルツブルク、ウィーン
2台のピアノ用。
彼自身と姉のために。
3台のピアノのための協奏曲をのちに2台用に編曲したのもあるが、最初から2台のために作ったものはこれが唯一。
- K.413 (387a) 第11番 ヘ長調
- Allegro ヘ長調 3/4 ソナタ形式
- Larghetto 変ロ長調 4/4 二部形式 (モーツァルト自身のカデンツァあり)
- Tempo di Menuetto ヘ長調 3/4 ロンド形式 (同上)
[作曲] 1782年12月末 ウィーン
父への手紙に書いているように、やや軽薄なウイーン人の好みに合わせて、耳に快い作品に仕上げている。
- K.414 (385p) 第12番 イ長調
- Allegro イ長調 4/4 協奏風ソナタ形式
- Andante ニ長調 3/4 序奏をもつ二部形式 協奏風ソナタ形式
- Allegretto イ長調 2/4 ロンド形式
[作曲] 1782年秋 ウィーン
第2楽章の主題に、この年の1月に亡くなったクリスティャン・バッハのオペラ「誠意の災い」序曲からそっくり借用し、その死に捧げている。
- K.415 (387b) 第13番 ハ長調
- Allegro ハ長調 4/4
- Andante ヘ長調 3/4
- Allegro ハ長調 ロンド形式 6/8
[作曲] 1782年末 ウィーン
翌年3月の宮廷での予約演奏会のため。
- K.449 第14番 変ホ長調
- Allegro vivace 変ホ長調 3/4 協奏風ソナタ形式
- Andantino 変ロ長調 2/4 三部形式
- Allegro ma non troppo 変ホ長調 2/2 ロンド形式
[作曲] 1784年2月9日 ウィーン
弟子のバルバラ・プロイヤー嬢のために。
この曲から自作目録を記録するようになった。
その記念すべき第1番。
- K.450 第15番 変ロ長調
- Allegro 変ロ長調 4/4
- Andante 変ホ長調 3/8 変奏形式
- Allegro 変ロ長調 6/8
[作曲] 1784年3月15日 ウィーン
自作目録第2番。
自分自身の演奏会のための大編成の曲で、技巧的にも難しい。
- K.451 第16番 ニ長調
- Allegro assai ニ長調 4/4 協奏的ソナタ形式
- Andante ト長調 2/2 ロンド形式
- Allegro di molto ニ長調 2/4 ロンド形式
[作曲] 1784年3月22日 ウィーン
自作目録第3番。
前曲ほど難曲ではないが、やはり交響曲風のピアノ協奏曲を追求している。
- K.453 第17番 ト長調
- Allegro ト長調 4/4
- Andante ハ長調 3/4
- Allegretto ト長調 2/2 変奏形式 主題と5つの変奏
[作曲] 1784年4月12日 ウィーン
第14〜17番は予約演奏会のために作られた。
そのうち K.449 とこの曲はプロイヤー嬢に。自作目録第5番。
- K.456 第18番 変ロ長調
- Allegro vivace 変ロ長調
- Andante un poco sostenuto ト短調 変奏形式
- Allegro vivace 変ロ長調
[作曲] 1784年9月30日 ウィーン
盲目のピアニスト、マリア・テレージア・フォン・パラディスの注文による。
- K.459 第19番 ヘ長調 「第2載冠式」
- Allegro vivace ヘ長調 2/2 協奏風ソナタ形式
- Allegretto ハ長調 6/8 展開部を欠いたソナタ形式
- Allegro assai ヘ長調 2/4 ロンド形式
[作曲] 1784年12月11日 ウィーン
予約会員が174名にも達した演奏会のシーズン開幕に弾かれた。
さらに1790年フランクフルトでのレオポルト2世の戴冠式で、K.537とともに演奏した。
- K.466 第20番 ニ短調
- Allegro ニ短調 4/4 ソナタ形式
- Romanze 変ロ長調 4/4 複合三部形式
- Allegro assai ニ短調 2/2 ロンド形式
[作曲] 1785年2月10日 ウィーン
予約演奏会の直前に仕上げた。
当日にやっとパート譜ができ、モーツァルトは全体を通して弾く時間もないまま会場に出かけた。
短調が基調となった初めてのピアノ協奏曲。
後の「ドン・ジョヴァンニ」と同じニ短調。
- K.467 第21番 ハ長調
- Allegro maestoso ハ長調 4/4 ソナタ形式
- Andante ヘ長調 4/4 三部形式
- Allegro vivace assai ハ長調 2/4 ロンド・ソナタ形式
[作曲] 1785年3月9日 ウィーン
予約演奏会のために。
初演(ブルク劇場)の前日に作曲。
- K.482 第22番 変ホ長調
- Allegro 変ホ長調
- Andante ハ短調
- Allegro 変ホ長調
[作曲] 1785年12月16日 ウィーン
年末の予約演奏会のために。
急いで作曲したらしくメモだけの部分もある。
オーボエの代わりにクラリネットを使っている点で、第22番 K.482、第23番 K.488、第24番 K.491の3つは彼のピアノ協奏曲の中で例外的な作品。
特に K.482 と K.488 は双子の作品とみなされている。
- K.488 第23番 イ長調
- Allegro イ長調
- Adagio 嬰ヘ短調
- Allegro assai イ長調
[作曲] 1786年3月2日 ウィーン
第2楽章は、珍しい嬰ヘ短調に転じ、全ピアノ協奏曲中で唯一「アダージョ」と指定されている。
第1楽章にはモーツァルト自身によるカデンツァがある。
- K.491 第24番 ハ短調
- Allegro ハ短調
- Larghetto 変ホ長調
- Allegretto ハ短調
[作曲] 1786年3月24日 ウィーン
彼のピアノ協奏曲の中で短調作品はこれとニ短調 K.466 の2つだけ。
これは予約演奏会のための最後の曲となった。
もはやサロンの社交音楽を越えて、先の第20番ニ短調よりさらに激しい感情を吐露している。
- K.503 第25番 ハ長調
- Allegro maestoso ハ長調 4/4
- Andante ヘ長調 3/4
- Allegretto ハ長調 2/4
[作曲] 1786年12月4日 ウィーン
6曲の連作(第20〜25番)を閉じるにふさわしい大曲。
調性や力強さなどの類似から「ジュピター協奏曲」とも呼ばれる。
- K.537 第26番 ニ長調 「戴冠式」
- Allegro ニ長調 4/4 ソナタ形式
- Larghetto イ長調 2/2 三部形式
- Allegretto ニ長調 2/4 ロンド形式(あるいは展開部を欠くソナタ形式)
[作曲] 1788年2月24日 ウィーン
レオポルド2世の戴冠式の祭典で、1789年ドレスデン、1790年フランクフルトでモーツァルトはこの曲を演奏した。
- K.595 第27番 変ロ長調
- Allegro 変ロ長調 4/4
- Larghetto 変ホ長調 4/4
- Allegro 変ロ長調 6/8 ロンド形式
[作曲] 1791年1月5日 ウィーン
最後のピアノ協奏曲。
クラリネット奏者ヨーゼフ・ベーアの演奏会のために。
■その他、編曲・スケッチ(断片)など
- K.37 ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調 <編曲>
- Allegro ヘ長調 4/4
- Andante ハ長調 3/4
- Allegro ヘ長調 3/4
[作曲] 1767年4月 ザルツブルク
かつて7歳のときに訪れて神童としてもてはやされたウィーンを再び訪れるにあたり、神童ピアニストをより印象づけるための作品としてピアノ協奏曲第1〜4番を編曲。
モーツァルトは他人の作を寄せ集めたものという意味の「Pasticci」と呼んだ。
- K.39 ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 <編曲>
- Allegro spiritoso 変ロ長調 4/4
- Andante ヘ長調 2/2
- Molto allegro 変ロ長調 2/4
[作曲] 1767年6月 ザルツブルク
- K.40 ピアノ協奏曲 第3番 ニ長調 <編曲>
- Allegro maestoso ニ長調 4/4
- Andante イ長調 2/4
- Presto ニ長調 3/8
[作曲] 1767年7月 ザルツブルク
- K.41 ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 <編曲>
- Allegro ト長調
- Andante ト短調
- Molto allegro ト長調
[作曲] 1767年7月 ザルツブルク
- K.107 3つのピアノ協奏曲 <編曲>
- J.C.バッハのピアノソナタ作品5の2から
- J.C.バッハのピアノソナタ作品5の3から
- J.C.バッハのピアノソナタ作品5の4から
[作曲] 1770年末か以降 ザルツブルク
- K.382 ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調
Andante grazioso ニ長調 2/4 ロンド形式 主題と7変奏、カデンツァとコーダを持つ
[作曲] 1782年3月 ウィーン
ピアノ協奏曲K.175のフィナーレをウィーンの趣味に合わせて書き換えたもの。
- K.385o ピアノ協奏曲のスケッチ イ長調
Sketch to the concerto for piano in A (K.414)
[作曲] 1782年 ウィーン
- K.386 ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調
Allegretto イ長調、4分の2拍子。ロンド形式。
[作曲] 1782年10月19日 ウィーン
- K.Anh.65 (452c) 協奏曲楽章
A piece of a concerto for piano in A
Adagio ハ長調、断片
[編成] p, fl, 2 ob, 2 fg, 2 hr, 2 vn, va, bs
[作曲] 1784年4月着手 ウィーン
楽器編成を記した10小節足らずの自筆譜が残る。
- K.Anh.59 (459a) ピアノ協奏曲 断片
A piece of a concerto for piano
[作曲] 1784年 ウィーン
断片 34小節。
アインシュタインは K.466 と関連させ、K.466aとしたが、自らその説を改め、ここに位置づけた。
- K.488 のスケッチと思われている断片
K.488a (Anh.58) ピアノ協奏曲楽章 ニ長調 断片
K.488b (Anh.63) ピアノ協奏曲楽章 イ長調 断片
K.488c (Anh.64) ピアノ協奏曲楽章 イ長調 断片
K.488d ピアノ協奏曲のためのロンド イ長調 断片
- K.491 のスケッチと思われている断片
K.491a (Anh.62) ピアノ協奏曲 変ホ長調 断片 3小節
K.502a (Anh.60) ピアノ協奏曲 ハ長調 断片 19小節
- K.Anh.57 (537a) ピアノ協奏曲 ニ長調 断片 21小節
A piece of a concerto for piano in D (fragment)
[作曲] 1788年2月 ウィーン
K.537「戴冠式」第1楽章の主題に似ているので、K.537a に置かれた。
1790年頃の作という説もある。
- K.Anh.61 (537b) ピアノ協奏曲 ヘ長調 断片 6小節
A piece of a concerto for piano (fragment)
[編成] p, fl, 2 ob, 2 basset-hr, 2 fg, 2 hr, 2 vn, va, bs
[作曲] 1788年2月 ウィーン
1790年頃のスケッチという説や、1786年の K.488 の断片とする説もある。
2009/10/04