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ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
〔編成〕 p, fl, 2 ob, 2 cl, 2 fg, 2 hr, 2 tp, timp, 2 vn, va, bs |
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この曲も自分の予約演奏会用として書かれ、4月7日のブルク劇場で演奏されたと思われる。 また自身の「大音楽会」のための最後の曲となった。 彼のピアノ協奏曲の中で短調作品はこれとニ短調 K.466 の2つだけであるが、もはやサロンの社交音楽を越えて、先の第20番ニ短調よりさらに激しい感情を吐露したシンフォニーとなっている。 なぜモーツァルトが、ウィーンの聴衆を置き去りにしてしまうほどの「暗い大規模な作品」を書く気になったのかわからない。 よく言われることであるが、ちょうど『フィガロ』(K.492)を作曲している最中であり、前例として1782年の『後宮からの誘拐』(K.384)とハ短調セレナード『ナハトムジーク』(K.388)があったことを踏まえ、
双方の場合とも、明らかにモーツァルトは熱情の爆発、暗い悲劇的な感情の爆発を必要としていたのだ。と説明されても理解に苦しむ。 第1楽章は異常なほどの緊張でまったく隙がない。[アインシュタイン] p.422
モーツァルトらしい「歌」が影を潜め、冒頭のテーマを構成している動機がさまざまに変形していろいろな形が生まれ、それらがモザイクのように嵌め込まれているからだろう。そして平安の第2楽章が来る。[久元] p.124
ピアノ・ソロで開始されるテーマは音の動きが少なく、簡素で、飾り気がなく、それ故に含蓄と優しさに富む。 『K466』の緩徐楽章と異なり、短調の緊張が戻ってくる中間部を欠いているのは、モーツァルトがこの楽章でひたすら慰めを表現したかったのではないだろうか。 木管楽器とピアノ・ソロとの対話が、この楽章をいっそうしみじみとしたものにしている。しかしまた終楽章ではハ短調の緊張が戻ってくる。 第1楽章ほどではないが、やはり社交的なものとの妥協は少しもなく、「オーケストラとピアノ・ソロは互いに距離を置きながら掛け合いを演じる」変奏形式で書かれ、最後は一切の妥協を拒絶するかのように決然と曲が閉じる。 久元は言う。
この曲の演奏が終わったとき、ウィーンの聴衆がはたして拍手喝采を送ったのかどうかはわからない。またオカールも、終楽章を貫徹する作曲者の強い意志を感じ、「これを聴く者はまるで未完の作品を前にしたような印象を受け、しばらく当惑しつづける」と評している。
自筆譜はロンドンの大英博物館(Royal College of Music, British Museum)にある。 自筆譜の全体は横長の16段の五線紙37葉から成る。 彼は12段の五線紙を使うことが多いが、この曲はピアノ協奏曲の中では最大の構成で16段を使った。 この譜には謎がある。それは余白に人物の横顔が書かれてあることで、この最高傑作であり、厳しくて暗い曲を作る際に彼は何を思っていたのだろう。
モーツァルト自身のカデンツァや当時の初版は残っていないが、第1・第3楽章のピアノ・パートにスケッチや推敲のあとがそのまま残っているので、自身の演奏のときにそれらの楽想を即興的に展開したものと思われる。 モーツァルトの弟子フンメルがカデンツァを残している。 それは現在でも最高のものと言われている。
〔演奏〕
CD [PHILIPS 32CD-154] t=29'18 ハスキル Clara Haskil (p), マルケヴィッチ指揮 Igor Markevitch (cond), ラムルー管 Orchestra des Concerts Lamoureux 1960年11月、パリ カデンツァはハスキル Clara Haskil とマガロフ Nikita Magaloff. |
〔動画〕
〔編成〕 p, fl, 2 ob, 2 cl, 2 fg, 2 hr, 2 vn, va, bs
楽器編成とピアノ・パートの旋律のみ3小節。
アインシュタインにより、第2楽章草稿と見られている。
アインシュタインにより、第2楽章草稿と見られている。
〔参考文献〕
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