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レジナ・チェリ (天の元后) K.108 (74d)
〔作曲〕 1771年5月 ザルツブルク |
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レジナ・チェリ(天の coeli 元后 regina)とは聖母マリアにキリストの復活を祝う音楽で、歌詞は4行のみ(下記)であり、各行に「アレルヤ」が付いている。 モーツァルトはそれぞれに趣向を凝らした3曲(ハ長調 K.108、変ロ長調 K.127、ハ長調 K.276)書いている。 このうち第一作となるこの曲は最初のイタリア旅行(1769年12月から1771年3月まで)と2回目のイタリア旅行(1771年8月から12月まで)の間、いわゆる「ザルツブルクでの休息期間」に作られた。 最初のイタリア旅行では、ローマでのシスティーナ礼拝堂でグレゴリオ・アレグリの門外不出の秘曲「ミゼレーレ」を聴いて暗譜したり、ボローニャのマルティーニ神父から教えを受け、アカデミア・フィラルモニカの試験に合格したりという有名な逸話が多く知られている。 そのような背景から、この曲にはナポリ派教会音楽様式と交響曲様式の影響があるといわれている。
3つのレジナ・チェリのうちの最初の2曲について、アインシュタインは
いずれも大編成で、ハ長調の方にはトランペットまで加えられ、他の変ロ長調の曲には少なくともオーボエまたはフルート、およびホルンが使われている。 ひとくちに言えば、いずれも声楽部(合唱あるいは独唱、または独唱と合唱の融合)を組み込まれた三楽章の《イタリア風》シンフォニアにほかならない。 『天の元后喜び給え』は、復活祭前の土曜日から聖霊降臨祭中の土曜日までのあいだに歌われる四つの聖母交誦聖歌の一曲(第三曲)であった。 それゆえ、両作品は壮麗でコンチェルタントになっている。と共通点をあげたうえ、「細部においては第一作の方が精緻に仕上げられているにもかかわらず、第二作の方がいっそう壮麗でコンチェルタントである」と言っている。[アインシュタイン] p.443
むしろこれは端倪すべからざる曲である。 楽器構成はきわめて豊富で、この曲がザルツブルクの司教座聖堂用でなかったことを物語っていると思える。と意義を唱え、この大作に高い評価を与えつつ、たった4行の歌詞に対して少年モーツァルトが示した以下のような創意工夫を讃えている。
(中略)
メロディーの独創性、各声部のコンチェルタントな扱い、入念に仕上げられた伴奏の管弦楽、それにとくに最後の合唱に先立つソプラノと弦楽器によるアリアでの歌詞の表現力の強さなどは、いずれも見事に所を得た感がある。[ド・ニ] p.62
曲は4つの楽章から成っており、まずこの交唱の第一節が大規模な合唱で歌われ(アレグロ)、ついで第二節と第三節をソプラノと合唱、それに2本のフルートに弦楽器を加えた伴奏によるアリア(テンポ・モデラート)、その次の節の「われらのために神に祈りたまえ」は弦楽器だけで伴奏されるソプラノ・ソロのアリア(アダージョ・ウンポコ・アンダンテ)、それに最後のアレルヤは、喜びに満ちた大合唱とソプラノのソロとなっており、この部分だけで178小節にもなる。
〔歌詞〕
Regina coeli laetare, alleluja, Quia quem mereiisti portare, alleluja, Resurrexit sicut dixit, alleluja, Ora pro nobis Deum, alleluja. |
天の元后マリアよ、喜ばれよ、アレルヤ あなたの生みたもうた御子は、アレルヤ お言葉どおり復活されました、アレルヤ われらのためにお祈り下さい。アレルヤ 石井宏訳 CD[L'OISEAU-LYRE, POCL-2537] |
〔演奏〕
CD [L'OISEAU-LYRE, POCL-2537] t=13'31 カークビー Emma Kirkby (S), エンシェント室内合唱団, ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団 1983年11月、ロンドン |
CD [PHILIPS 422 749-2〜753-2] t=16'19 シェレンベルガーエルンスト Dagmar Schellenberger-Ernst (S), ライプツィヒ放送合唱団, ケーゲル指揮ライプツィヒ放送交響楽団 1990年5月、ライプツィヒ |
CD [UCCP-4078] t=16'19 ※上と同じ |
CD [TELDEC WPCS-4459] t=14'57 マルジョーノ Charlotte Margiono (S), アルノルト・シェーンベルク合唱団, アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 1991年12月、ウィーン、カジノ・ツェーゲルニッツ |
〔動画〕
〔参考文献〕
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