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ピアノのための幻想曲とフーガ ハ長調 K.394 (K6.383a)
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コンスタンツェ |
プレリュードと3声のフーガから成る幻想曲。 コンスタンツェの求めに応じて作曲した。 この曲は後に出版社が「幻想曲集」に入れたので、上記のようなタイトルで通っている。
「愛するコンスタンツェなしには、ぼくは幸福にも陽気にもなれません」(1月9日の手紙)と言って、この曲は婚約中に作られた。 作曲のいきさつがよく知られている有名な曲である。
この頃、スヴィーテン男爵を通して、モーツァルトはヘンデルやバッハの影響を受けていた。
4月10日、ザルツブルクの父へ
ぼくは毎日曜日の12時に、スヴィーテン男爵のところへ行きますが、そこではヘンデルとバッハ以外のものは何も演奏されません。
ぼくは今、バッハのフーガの蒐集をしています。 ゼバスティアンのだけではなくエマーヌエルやフリーデマン・バッハのも。 それからヘンデルのも。 そしてぼくのところには、この・・・・だけが欠けています。 そしてぼくは男爵には、エーバリーンのものも聴かせてあげたいのです。 イギリスのバッハが亡くなったことは、ご存じでしょうね。 音楽の世界にとって惜しむべきことです![手紙(下)] p.54
モーツァルトはグラーベン通りにあったウェーバー家(神の目荘)に下宿していたが、そこで婚約中のコンスタンツェと仲良く音楽の話もしたのだろう。 毎日曜日に行っているスヴィーテン男爵からヘンデルとゼバスティアン・バッハの作品を持って帰り、コンスタンツェにも聴かせたところ、彼女が作曲を強く求めたという。
4月20日、姉ナンネルへフーガは3声で、前半はバッハ風に前奏曲(プレリュード)になっている。 ヘンデルやバッハの作品に匹敵する曲がこうして作られたが、当のコンスタンツェにはこの曲がどれだけの値打ちがあるものなのかは分からなかっただろう。 恋愛が優れた芸術作品を生み出す例の良い見本とも言える。
このフーガが生まれた原因は、実はぼくの愛するコンスタンツェなのです。
(途中略)
コンスタンツェがそのフーガを聴くと、すっかりそれの虜になってしまい、もうフーガより他には、特に(この種のものでは)ヘンデルとバッハより他には、何も聴こうとしません。 そこでぼくが時々、即興でフーガを弾いて聴かせたので、まだそんなのを書いたことがないのかと、尋ねました。 その通りだ、と答えると、音楽の中でいちばん技巧的な、いちばん美しいものを書こうと思わなかったのかと、さんざん悪口を言うのです。 そして、フーガを一つ作ってやるまで、せがんでやまないのです。 そんな風にして、これが出来ました。同書 pp.55-56
同じ手紙の中で(この曲の真価が分かるであろう)姉に、さらに次のように続けている。
あまり速く弾いてもらいたくないので、わざとアンダンテ・マエストーソと書いておきました。 フーガはゆっくり弾かないと、入って来る主題がはっきりと聴きとれないし、したがって何の効果もありません。なお、同書で柴田は「フーガがコンスタンツェのおかげで出来たと書いたのは、父や姉にコンスタンツェのことを印象づけようとするための、いじらしい嘘であろう」と述べている。 モーツァルトは天真爛漫な天才で、世事にうといというのは後世がつけたレッテルであり、実際は対人関係においても(作曲と同様に)細やかな神経を使っていたことが知られている。 婚約者を喜ばせようという動機はもちろんあったであろうが、それにも増して、モーツァルトは父と姉に自分の結婚相手が「音楽オンチ」ではないことを伝えたかったに違いない。 8月4日、父の反対を押し切ってウィーンの聖シュテファン教会でコンスタンツェと結婚式を挙げる。
〔演奏〕
CD [東芝EMI CC30-3777] t=8'06 ギーゼキング Walter Gieseking (p) 1953年8月、ロンドン |
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=9'24 ヘブラー Ingrid Haebler (p) 1977年8月、アムステルダム、コンセルトヘボウ |
CD [ポリドール POCL-1559] t=8'07 トロッター Thomas Trotter (og) 1993年11月 ※オランダのファルムスムにあるローマン製(1828年)のオルガン使用 |
〔動画〕
〔参考文献〕
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