17 age |
61 5 |
62 6 |
63 7 |
64 8 |
65 9 |
66 10 |
67 11 |
68 12 |
69 13 |
70 14 |
71 15 |
72 16 |
73 17 |
74 18 |
75 19 |
76 20 |
77 21 |
78 22 |
79 23 ▲ |
80 24 |
81 25 |
82 26 |
83 27 |
84 28 |
85 29 |
86 30 |
87 31 |
88 32 |
89 33 |
90 34 |
91 35 |
92 |
交響曲 第32番 ト長調 K.318
〔作曲〕 1779年4月26日 ザルツブルク |
|
よく知られているように、1777年9月、21歳のモーツァルトは母を伴って就職活動のためザルツブルクを旅立ったが、1778年7月パリで母を失い、1779年1月に負け犬となって帰郷し、コロレド大司教の従僕としての身分に戻っていた。 そうして1779年から1780年にかけて再びザルツブルクに縛られていたモーツァルトであるが、そのやり場のない心の反作用なのか、輝き躍動する精神が生き生きと発露する曲を書いた。
その2年間に、モーツァルトは新しい特別な音楽言語を開発するのであるが、その範囲はシンフォニー、ミサ、ヴェスペレ、セレナード、協奏曲、そして劇音楽と、広い分野に及んでいる。 この時期に書かれた3つのシンフォニーは、それまでとは違った独特な美しさを持っている。就職活動は失敗に終ったが、ミュンヘン、マンハイム、パリと旅行して、優れた楽団に接したことによる成果はあり、どのような事情があったのか不明だが、ザルツブルクでの最後の交響曲3作(第32番ト長調 K.318、第33番 変ロ長調 K.319、第34番ハ長調 K.338と並んで)が生まれた。 これら3作のシンフォニーはどれもメヌエットを持たない3つの楽章で構成された曲であった。 第一作ト長調について、ランドンは次のように讃えている。[ランドン] p.86
それまでに彼が作曲したシンフォニーの中で、最もきらきら輝いているもので、光彩に満ち、緩徐楽章では優しさとノスタルジアが、『ハフナー』セレナードの緩徐楽章のように聞こえてくる。ホルン4、ヴィオラ2というように当時のザルツブルク宮廷楽団のメンバーでは足りないほど楽器編成が大きいわりに、曲が短く、3つの楽章が1つにつながっているため、何かのオペラの序曲だろうといわれている。 ヘルマン・ダイタースは『エジプト王ターモス』(K.345)の序曲としたが、アインシュタインは未完のジングシュピール『ツァイーデ』の序曲だと考え、
これはザルツブルクに帰ってまもなく、1779年4月に書かれたもので、トランペット、ティンパニ、二対のホルンを加えた大オーケストラのための曲である。 この作品が、断片のままに残っていて十九世紀に『ツァイーデ』と名づけられた、フランス風のジングシュピール(K.344)の序曲として書かれたことには、疑いの余地がない。 主題の二元性、つまりトゥッティで奏される尊大なフォルテ、弦楽器の嘆願するようなピアノが、一方は皇帝ゾリマーン、他方はツァイーデというように、標題的意味をかち得ている。 ソナタ形式の楽章に挿入されている同じ調のアンダンテは、ジングシュピールの愛の牧歌を描写あるいは象徴している。 モーツァルトは最後の数小節で、のちに『後宮からの逃走』(K.384)でするように、過剰なほどにはっきりとオペラの《トルコ的》性格を指示している。と断定した。 しかしどれも根拠のある説ではなく、ザスローは「ターモスの初稿にしては遅すぎるし、ツァイーデもしくはターモス第2稿にしては早すぎる」と言っている。 また、新全集では「当時ザルツブルクでコメディーなどを興行していたベーム一座のため」の序曲の可能性もあげている。 作曲者自身は自筆譜に何もタイトルを付けていないが、同時に交響曲と序曲との区別も意識してなかったに違いない。 後に、ビアンキのオペラ『略奪された村娘 La villanella rapita』がウィーンで上演されたとき(1785年)、その序曲として使用されたため、長い間その序曲としても知られていた。[アインシュタイン] pp.314-315
ミュンヘン、マンハイム、パリと旅行して、母を失い、失恋し、否応なしにザルツブルクに帰郷せざるを得なかったが、そのかわり旅先で優れた楽団に接することもでき、その成果がこの作品にも現れている。 ザスローは次のように評価している。
アレグロ・スピリトーソは、ソナタ形式の楽章である。 モーツァルトの交響曲としてはここで初めて、バロック時代の伝統である「バッソ」が、いくつものパッセージでファゴット、チェロ、コントラバスのための独立したパートに分解され、斬新な音色効果を生み出している。なお、トランペットのパートは別紙に書かれてあり、それは後のウィーンでの上演用に追加されたのかもしれないという。 さらに、ティンパニ声部はが書かれていないが、その楽器はトランペットと共に使用されることがよくあるので、新全集では編成楽器に含めている。[全作品事典] p.252
〔演奏〕
CD [POCL-6027] t=9'43 マーク指揮 Peter Maag (cond), ロンドン交響楽団 London Symphony Orchestra 1959年、ロンドン |
CD [ポリドール FOOL-20372] t=7'51 ホグウッド指揮 Christopher Hogwood (cond), エンシェント室内管弦楽団 Academy of Ancient Music 1979年 |
〔動画〕
〔参考文献〕
Home | K.1- | K.100- | K.200- | K.300- | K.400- | K.500- | K.600- | App.K | Catalog |