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アリア「運命は恋する者に」 K.209

Aria for tenor "Si mostra la sorte"
〔編成〕 T, 2 fl, 2 hr, 2 vn, va, vc, bs
〔作曲〕 1775年5月19日 ザルツブルク
1775年5月
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この頃、イタリアの旅回りのオペラ劇団がザルツブルクで公演されたとき、モーツァルトは挿入曲をいくつか作っている。 それは劇団員のためか、あるいは劇団と共演する地元の歌手のために書かれたものであり、

がある。 その中で、この曲はアリア「尊み崇めて」(K.210)とともに、ザルツブルクで上演されたオペラ・ブッファ(ペトロセリーニ詞、ピッチンニ作曲による『うかつ者、またの名、幸運な賭博師 L'Astratto, ovvero Il giocatore fortunate』)に挿入するために作曲されたともいわれるが、確かなことはわからない。 作詞者も不明である。 自筆譜に父レオポルトの手で上記の日付が書かれているという。 アインシュタインによれば
どんなオペラに挿入されたのかわからない。 この二曲ともに、一人の《優しい若いテノール》、快活な恋人役によって歌われるが、この役は明らかに、勢力のある老いた道化役パンタローネの競争者である。 最初の曲で、彼は恋における計画的な無鉄砲さの賛美を歌う。 次の曲では、滑稽な傍白の箇所をまじえながら、皮肉たっぷりにあの老いた驢馬にお世辞を使う。 早くもこの二曲のアリアにおいて、生まれながらのブッフォ作者であるモーツァルトが、音楽的にのみならず内面的にも、オペラ・セリアよりオペラ・ブッファにはるかに大きな関心を持っていることが明らかになる。 また、オペラ・ブッファの未来のジャンルとしての優越性が明らかに示される。
[アインシュタイン] pp.487-488
曲は「運命は・・・」(アンダンテ、8分の3)〜「だが、たえず・・・」(アレグロ、4分の4)〜「運命は・・・」という A-B-A の構成になっている。 アインシュタインは「第一のアリアのあでやかな冒頭のあとにつづく間奏部の薬味はなんと心をそそることであろう!」と賞賛している。

〔歌詞〕
Si mostra la sorte
propizia all'amante
che prova costante
ardire in amor.
 
Ma sempre nemica
e pronta all'offese
distrugge l'imprese
d'un timido cor.
運命は恋する者に
慈悲深さを見せる。
恋に変わらぬ
大胆さを示す恋人には。
 
だが、たえず敵意を見せては
傷つけようとし
臆する心の
企てを打ち砕く。
 
海老沢敏訳 CD[VJCC-2309]

〔演奏〕
CD [VJCC-2309] t=3'28
プレガーディエン Christoph Prégardien (T), クイケン指揮 Sigiswald Kuijken (cond), ラ・プティット・バンド La Petite Bande
1988年3月、オランダ、Haarlem
CD [Brilliant Classics 93408/3] t=2'42
Marcel Reijans (T), Wilhelm Keitel (cond), European Chamber Orchestra
2002年6月、ドイツ、バイロイト劇場

〔動画〕

〔参考文献〕


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2017/06/25
Mozart con grazia