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聖ベネディクト祭の奉献歌 「天の住居に昇れ」 ハ長調 K.34

〔編成〕 S, SATB, 2 tp, timp, 2 vn, bs, og
〔作曲〕 1767年初? ゼーオン?

出典不明のラテン語の詞。 レオポルトによる初期のモーツァルト作品目録には載っていない。 4年にも及ぶ西方への大旅行から前年の11月29日に帰郷し、この年の9月に第2回ウィーン旅行に出かけるまでザルツブルクに落ち着いていたと思われるが、この曲について次のエピソードが伝わっている。 すなわち、バイエルンのゼーオンにあるベネディクト修道院を訪れたとき、院長から3月21日のベネディクト祭用の奉献歌を依頼され、少年モーツァルトはさっそく窓に寄りかかって鉛筆で書き上げたという。 ただしアリアは通俗的で、合唱の対位法も未熟であり、アインシュタインは、

自由なモテット、むしろ独唱と合唱のための劇的楽曲であり、合唱が歌うべきところをソプラノが独唱したり、また逆に、本来バス独唱に属すべきところを合唱が歌ったりするので、おどけた感じがする。 まさしくバロック風の聖徒の劇的楽曲である。 この曲は、キームガウのゼーオン修道院での聖ベネディクトゥス祭(1767年3月21日)のために書かれたといわれているが、ヴィオラの欠除はやはりむしろザルツブルクを示している。
[アインシュタイン] pp.441
と評している。 そして未熟な構成が初期の作品であろうとする説の根拠となり、また、あれだけこまごまと書き残している父レオポルトが初期のモーツァルト作品目録にこの曲を記載しなかったのは、即興的に書いたとするエピソードと符合するという。 ただし、パリで作曲した最初の教会音楽の「キリエ K.33」もその目録に載っていないので、成立の動機がレオポルトの(記載するかしないかの)選択とは直接結びつかないかもしれない。 モーツァルトの宗教音楽に詳しいド・ニも、
これはローマ教会の公式の典礼文ではなく、ザルツブルク地方に住むベネディクト会の一修道士が作詞したラテン語の歌詞によっている。 この作品はたとえば、ラートゲーバーやカイザーなどと同じスタイルの、まだ典型的なバロック風の小曲で、二部のヴァイオリンと低音部の伴奏によるソプラノのアリアに、四声部の合唱が続く。 合唱では二つのトランペットとティンパニが加わる。 奇妙なことにモーツァルトは、この曲の構造において、歌詞の意味からは当然、合唱が受け持つべきところを独唱者に歌わせたり、その反対にしたりしている。 アリアはいわゆるダ・カーポ・アリアの形式を取っているが、レチタティーヴォ風の挿入部がある。 旋律の流れは少年モーツァルトがパリで聴いたに違いないいくつものアリア、たとえばグレトリのものなどの影響を受けていることが一聴して明らかである。 この曲の合唱部は、驚くほど簡単にしか書かれていない。
[ド・ニ] p.11
と述べるにとどまる。

〔歌詞〕
Scande coeli limina,
anima sanctissima,
per lampadum luces
quos superi duces
itineris obviam dant.
Sed quaeso? quid nati?
qui tacti amore,
afflicti dolore,
hic orphani stant.
Scande coeli limina ..
   登りたまえ、天への道
もっとも聖なる魂よ。
灯の明かりをたよりに。
旅路を導く天の御使いらが
灯明をあなたの前に差し延べます。
しかし私は尋ねる。子らは?
あなたの愛に触れた子らは、
悲しみに暮れつつ、
孤児のように残されるのですか。
登りたまえ、天への道・・・
那須輝彦訳 CD[WPCS-4566]

〔演奏〕
CD [PHILIPS 422 749-2/753-2] t=5'19
シェレンベルガーエルンスト Dagmar Schellenberger-Ernst (S), ケーゲル指揮ライプツィヒ放送管弦楽団、合唱団
1990年5月
CD [UCCP-4078] t=5'19
※上と同じ
CD [WPCS-4566] t=4'46
マルジョーノ Charlotte Margiono (S), アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、アルノルト・シェーンベルク合唱団
1991年12月

〔参考文献〕

〔動画〕一例

 

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2012/06/24
Mozart con grazia