Mozart con grazia > ピアノとヴァイオリンのためのソナタ >
17
age
61
5
62
6
63
7
64
8
65
9
66
10
67
11
68
12
69
13
70
14
71
15
72
16
73
17
74
18
75
19
76
20
77
21
78
22
79
23
80
24
81
25

82
26
83
27
84
28
85
29
86
30
87
31
88
32
89
33
90
34
91
35
92

ソナタ 第35番 ト長調 K.379 (373a)

  1. Adagio ト長調 2/4 ソナタ形式(再現部 Allegro ト短調 3/4)
  2. Andantino cantabile 2/4 主題と6変奏
〔編成〕 p, vn
〔作曲〕 1781年4月7日? ウィーン

 
ドイツ騎士団の館
1781年4月






1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30





1781年1月、ミュンヘンで「イドメネオ」を初演し、モーツァルトは自由な生き方に希望を持ち始めていたが、前年11月29日に没した女帝マリア・テレジアの葬儀のためウィーンに滞在していた大司教によりすぐウィーンへ来ることを命じられた。 そして、6週間の予定の休暇が大幅に伸びて、ミュンヘンで自由に行動していたことが咎められ、モーツァルトは大司教の従僕としての身分を思い知らされることになる。
3月16日にウィーンに着いたモーツァルトはコロレド大司教の伯父カール・コロレド伯爵の館でドイツ騎士団の宿舎でもあった「ドイチェ・ハウス」に泊った。 ドイチェ・ハウスには大司教のほか大司教に仕える高官も泊り、 同行していた(ヴァイオリン奏者の)ブルネッティと(カストラート歌手の)チェッカレリは別の宿に泊っていたので、 モーツァルトは決して粗末に扱われたわけではないが、自分の能力を信じ、自由な生き方を求めていた彼にとって、それは「牢屋」にいるのと同じことだった。
なお、そこには5月初めに大司教に追い出されるまで宿泊し、その後ザルツブルクには戻らず、モーツァルトはウィーンの人となる。

4月8日の夜、その館でコロレド大司教はザルツブルク宮廷音楽家による音楽会を主催し、そのためにモーツァルトは3つの新曲を急いで書いたという。

これを書いているのは夜の11時ですが、今日ぼくたちは、発表会を催しました。 そこでぼくの曲が三曲演奏されました。 もちろん新作です。 ブルネッティのための協奏曲に属するロンドと、(ぼくがピアノを弾く)ヴァイオリン伴奏つきのソナタ、−−これは昨夜11時から12時までに作曲したのですが、 一応仕上げてしまうために、ブルネッティのための伴奏の部分だけを書いて、自分のパートは頭に入れておきました。
[手紙(上)] p.243
ここに書かれている「ヴァイオリン伴奏つきのソナタ」がこの曲(K.379)であると思われ、したがって作曲されたのは「1781年4月7日」とされていたが、 現在は別のソナタ(K.380)とする説(カール・マルゲール)が支持されていて、この曲の成立時期は疑問符付きである。 また、ブルネッティのためのロンドとは「ヴァイオリンのための協奏風ロンド K.373」と思われる。
なお、この演奏会は大成功だった。 そして、27日にも開かれて、大司教は大いに「虚栄心をくすぐられた」が、逆にモーツァルトの方はウィーンで独立してやっていける自信を深めることになった。

第1楽章は雄大なアダージョで始まり、ドラマチックに展開していく構成には「イドメネオ」の影響があるとも言われる。 アインシュタインは K.379 と K.380 について

第三曲(ト長調)と最後の曲(変ホ長調)の一対は強い対照をなしている。 後者は輝かしい曲で、半音階によっていちじるしく活気を与えられたト短調のアンダンテと、ピアノ・コンチェルトのフィナーレに用いてもよいような狩猟ホルンの主題によるロンドを持つ。 前者は壮麗で激動的なアダージョによって導入され、やや市民的で気楽すぎる変奏曲によって結ばれ、ト短調の情熱的なアレグロを持つ。
[アインシュタイン] pp.351-2
と、その性格の違いを評している。 さらに、ベートーヴェンはこのソナタの独創性に刺激され、1785年のピアノ四重奏曲ホ長調・短調のモデルにしたと言われる。

〔演奏〕
CD [Music & Art CD-665] t=15'32
クラウス Lili Kraus (p), ゴールドベルク Szymon Goldberg (vn)
1937年4月、ロンドン、MONO, SP復刻版
CD [東芝EMI TOCE-6725-30] t=20'09
クラウス Lili Kraus (p), ボスコフスキー Will Boskovsky (vn)
演奏年不明
CD [COCQ 83885-88] t=16'18
シゲティ (vn), ホルショフスキー (p)
演奏年・場所不明
CD [ポリドール LONDON POCL-2084/7] t=19'30
ルプー Radu Lupu (p), ゴールドベルク Szymon Goldberg (vn)
1974年
CD [deutsche harmonia mundi 77556-2-RV] t=20'57
イマゼール Jos van Immerseel (pf), シュレーダー Jaap Schroeder (vn)
1982年、バーゼル
CD [Calliope CAL.9665] t=19'33
Stanislav Bogunia (p), Petr Messiereur (vn)
1985年
CD [BMG ビクター BVCC-61] t=20'07
ナイクルグ Marc Neikrug (p), ズーカーマン Pinchas Zukerman (vn)
1990年、ニューヨーク
CD [キング KKCC-268/9] t=20'38
ヴェッセリノーヴァ Temenuschka Vesselinova (fp), バンキーニ Chiara Banchini (vn)
1993年7月
CD [カメラータ東京 30CM-334] t=21'51
ランダル Kalle Randalu (p), インデアミューレ Thomas Indermuhle (ob)
1993年4月、カールスルーエ
※オーボエ演奏

〔動画〕
[http://www.youtube.com/watch?v=Nb0NJ9yGjW0] t=20'45
Sigiswald Kuijken (vn), Luc Devos (fp)

〔参考文献〕

 

Home K.1- K.100- K.200- K.300- K.400- K.500- K.600- App.K Catalog

 
2012/03/18
Mozart con grazia