Mozart con grazia > ホルンのための曲 >
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ホルンのための協奏風ロンド K.371

  • Allegro 変ホ長調 2/4
〔編成〕 solo hr, 2 ob, 2 hr, 2 vn, 2 va, bs
〔作曲〕 1781年3月21日 ウィーン
1781年3月



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独奏パートはほぼ完成しているが、他のオーケストラ部は最初のページに書かれているが、あとはスケッチのみで未完。 その自筆譜は16ページから成り、それですべてと思われていたが、1990年にさらに4ページあることがわかったという。 この曲は従来、ウィーンのホルン奏者ロイトゲープ(Ignaz Leutgeb, 1745?-1811)のために作曲したと思われていたが、新全集(ギークリング)は、ウィーン宮廷楽団次席ホルン奏者アイゼン(Jacob Eisen, 1756-96)のために作られたと推測している。 作曲の動機はよくわからないが、1781年3月21日の直後にこの曲を演奏する(しなければならない)機会が予定されていたのかもしれない。 変ホ長調 K.370bを第1楽章とする協奏曲の終楽章にするつもりだったと考えられている。

その時期は、モーツァルトにとって人生最大の転換期であった。 ザルツブルクのコロレド大司教は父親のルドルフ・コロレド侯爵(Rudolph Joseph Graf Colloredo-Mels und Wallsee, 1706-88, 帝国副宰相の地位にあった)の病気見舞いのため、ウィーンに滞在していたが、長期間にわたる滞在であったため、ザルツブルク宮廷楽団を伴っての旅だった。 大司教は伯父カール・コロレド伯爵(Carl Graf Colloredo, 1718-86)の館でドイツ騎士団の宿舎でもあった「ドイチェ・ハウス」に泊っていた。 そして、大司教はモーツァルトにすぐウィーンへ来ることを命じた。 モーツァルトが予定の休暇を大幅に伸ばして、ミュンヘンで自由に行動しているのを咎め、ウィーンでザルツブルク宮廷楽団に合流させ、演奏活動と作曲をさせるためだった。
それに応じてモーツァルトはウィーンへ向い、3月16日ウィーン着。 この日からモーツァルトはウィーンの人となる。 しかし、大司教から冷たくあしらわれ、従僕としての身分を思い知らされることになる。 モーツァルトは大司教のほか大司教に仕える高官も泊っていた「ドイチェ・ハウス」に(独立する5月まで)泊まることになり、同行していたブルネッティやチェッカレリは別の宿に泊っていたので、決して粗末に扱われたわけではないが、モーツァルトにとっては「牢屋」にいるのと同じことだった。 ヨーロッパ各地を歩いて自由思想を肌で感じ、また自分の才能に高い自信とプライドを持っていたモーツァルトは、自由な生き方を求めて5月についに独立することになる。 この辺の経緯は音楽史上もっとも有名な話の一つであるが、この曲はその最中に作られたもので、たいへん興味深い。

クリング、パウムガルトナー、シュピースなどによる多くの補筆完成(演奏)版がある。

〔演奏〕
CD [TKCC-30621] t=6'06
ダム Peter Damm (hr), ブロムシュテット指揮 Herbert Blomstedt (cond), シュターツカペレ・ドレスデン Staatskapelle Dresden
1974年3月、ドレスデン・ルカ教会
※補作者不明
CD [POCL-5139] t=4'37
タックウェル Barry Tuckwell (hr, cond)指揮, イギリス室内管弦楽団 English Chamber Orchestra
1983年、ロンドン
※タックウェル補作
CD [RVC R30E-1025-8] t=6'26
バルボトゥ Georges Barboteu (hr), グシュルバウアー指揮 Theodor Guschlbauer (cond), バンベルク交響楽団 Orchestre Symphonique de Bamberg
演奏年不明
※ワルデマール・シュピース補作
CD [PHILIPS 422 509-2] t=5'45
ダム Peter Damm (hr), マリナー指揮 Neville Marriner (cond), アカデミー Academy of St. Martin in the Fields
1988年1月、ロンドン
※エリック・スミス補作、カデンツァはダム。
CD [OLYMPIA OCD 470] t=5'50
Herman Jeurissen (hr), グッドマン指揮 Roy Goodman (cond), オランダ室内管弦楽団 Netherlands Chamber Orchestra
1996年月、アムステルダム
※Jeurissen補作

〔動画〕

 

ホルン協奏曲 変ホ長調 K.370b

〔編成〕 solo hr, 2 ob, 2 hr, 2 vn, 2 va, bs
〔作曲〕 1781年? ウィーン

断片 144小節。独奏パート以外はスケッチのみ。 作曲の動機は不明。 K.371との関連からここに位置づけられた。
1856年カール・トーマスは父の生誕百年祭に自筆譜をバラして数人に献呈した。

〔演奏〕
CD [POCL-5139] t=5'39
タックウェル Barry Tuckwell (hr, cond)指揮, イギリス室内管弦楽団 English Chamber Orchestra
1983年、ロンドン
※タックウェル補作
CD [OLYMPIA OCD 470] t=7'17
Herman Jeurissen (hr), グッドマン指揮 Roy Goodman (cond), オランダ室内管弦楽団 Netherlands Chamber Orchestra
1996年月、アムステルダム
※Jeurissen補作

〔動画〕

 

〔参考文献〕

 

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2015/05/24
Mozart con grazia