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四重奏曲

Quartets

楽器編成により次の4種類に分けられている。

楽器編成作品ケッヘル番号(断片は除く)
ピアノ四重奏曲p, vn, va, vc 478, 493
弦楽四重奏曲2 vn, va, vc 80 (73f), 155 (134a), 156 (134b), 157, 158, 159, 160 (159a), 168, 169, 170, 171, 172, 173, 387, 421 (417b), 428 (421b), 458, 464, 465, 499, 575, 589, 590
フルート四重奏曲fl, vn, va, vc 285, 285a, 285b (Anh.171)
オーボエ四重奏曲ob, vn, va, vc 370 (368b)

 
ピアノ四重奏曲 Piano quartets

ピアノ四重奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための)はハイドンも手がけなかった珍しいジャンル。 ホフマイスターと3曲の契約をしたが、「もっと俗っぽくしてくれ」と言われたために、モーツァルトは契約を解除。 第2番はアルタリア社に売り渡し、第3番は作曲されなかった。

断片  
弦楽四重奏曲 String Quartets

最初の弦楽四重奏曲

最初のイタリア旅行の途上、1770年3月15日夜、ローディの宿屋でモーツァルトが彼の最初の弦楽四重奏曲(K.80)を書いたとき、このジャンルはまだあまり長い歴史を経ていたわけではなかった。
[アインシュタイン]

ミラノ四重奏曲

初期の弦楽四重奏曲13曲のうち第2番から第7番までの6曲は「ミラノ四重奏曲」と呼ばれる。 それらの調性はニ長調から変ホ長調まで5度づつ下げたシリーズになっている。 6曲のうち第5を除いて、すべて「急・緩・急」の典型的なイタリア式3楽章形式であり、第5だけが「緩・急・急」の順。 また中間部の楽章では、6つのうち4つまでが短調で、彼の霊感が現われている。
K.155 から K.160 までの四重奏曲のグループにおいて、はじめて室内楽への決定的な転換が行われる。
[アインシュタイン]

ウィーン四重奏曲

初期弦楽四重奏曲13曲のうち第8番から13番の6曲は「ウィーン四重奏曲」と呼ばれる。 ハイドンの作品から強い影響を受け、それまでの「ミラノ四重奏曲」が3楽章から成っているのに対して、メヌエットを加えた4楽章の構成になった。 ヴォルフガングの就職がうまく決まらないので、その事態を何とか好転させようとして父レオポルトが命じて作らせたシリーズと言われている。 当時ウィーンでは弦楽四重奏曲が人気を博していた。
ウィーン滞在によってモーツァルトは革命家ヨーゼフ・ハイドンを知る。 もっと正確に言えば、ハイドンの作品17番、作品20番のそれぞれ6つの四重奏曲を知るのである。
[アインシュタイン]

ハイドン・セット

弦楽四重奏曲の古典的形式を確立したのはヨーゼフ・ハイドンであり、彼の長い生涯に70曲に近い作品を残した。 そのハイドンは1772年に「太陽四重奏曲集」を書いて以来しばらく弦楽四重奏曲の作曲から遠ざかっていたが、1781年に、このジャンルの様式を完成させたといわれる「ロシア四重奏曲集」を作曲し翌年出版した。 それを見たモーツァルトは深く感銘を受け、それに優るとも劣らない6曲の個性的な作品を書き上げ、ハイドンに捧げた。
Eccoti dunque del pari, Uom celebre, ed Amico mio carissimoi sei miei figli. ... Piacciati dunque accoglierli benignamente; ed esser loro Padre, Guida, ed Amico! Da questo momento, Jo ti cedo i miei diritti sopra di essi.
高名にして、わが親愛なる友よ、ここに6人の息子を贈りいたします。 ・・・なにとぞ彼らを優しくお迎えくださり、彼らの父とも指導者ともなられますよう! 今よりのち、彼らに対する父なる権利をあなたにお譲りいたします。
上は、1785年9月1日にヨーゼフ・ハイドンへ、弦楽四重奏曲6曲を贈ったときの手紙である。
ハイドンのこれらの四重奏曲(ロシア四重奏曲)を知ったということは、モーツァルトの芸術家としての生涯における最も深い感銘の一つであった。しかし彼は今度はもはや圧倒されない。
[アインシュタイン]

後期の弦楽四重奏曲

1789年5月17日、モーツァルトはベルリンに向けて出発し、19日到着。 宮廷で演奏。チェロを得意としていたウィルヘルム2世から弦楽四重奏曲を6曲と、ピアノ・ソナタを6曲依頼された。 そのうち、前者は3曲(いわゆる「プロシャ王」と呼ばれているもの)と、後者はK.576とだけが作曲された。
モーツァルトは往々にして、たとえば最後の四重奏曲のメヌエットなどでは、注文者が王であることを全く忘れてしまう。 3曲とも最も恐るべき魂の重圧のもとで成立した作品であるが、それにもかかわらず、最も純粋な至福の領域のなかに高まっているのである。
[アインシュタイン]

断片

 
フルート四重奏曲
 
オーボエ四重奏曲
 

参考文献

 

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2011/10/25
Mozart con grazia