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三重唱とノットゥルノ(夜曲)

Notturni

モーツァルトが書いた三重唱には、ノットゥルノ(夜曲)とよばれる5曲

  1. K.436 「いざ恐るべき時が来た」 "Ecco quel fiero istante"
    Andante ヘ長調。 ノットゥルノ第1。 詞はメタスタージオの「カンツォネッタ」(1746年作)第4部から。
  2. K.437 「無言のうちに悲しむ」 "Mi lagnero tacendo"
    Poco adagio ト長調。 ノットゥルノ第2。 詞はメタスタージオのオペラ「シロエ」第2幕第1場から。
  3. K.438 「いとしい人よ、君が遠くにいると」 "Se lontan, ben mio, tu sei"
    Adagio 変ホ長調。 ノットゥルノ第3。 詞はメタスタージオの「(カノンのための)音楽の詩節」から。
  4. K.439 「かわいい2つの瞳」 "Due pupille amabili"
    Andante ヘ長調。 ノットゥルノ第4。 作詞者不明。 ジャカンか?
  5. K.346 (439a) 「優しき光、美しき光」 "Luci care, luci belle"
    Allegretto ヘ長調。 ノットゥルノ第5。 作詞者不明。
と、カンツォネッタ1曲
  1. K.549 「もはや見当たらず」 "Piu non si trovano"
    Andante 変ロ長調。 1788年7月16日作曲。 メタスタージオ詞「オリンピアーデ Olimpiade」から。
がある。 そのうち、作曲時期がはっきりしているのはカンツォネッタ「もはや見当たらず」だけであり、それは自作カタログに記載されている。 ノットゥルノとカンツォネッタはイタリア語のテキストをソプラノ2とバス1で歌うもので、伴奏は3つのバセットホルン(ただし 「黙しながら嘆こう K.437」と「いとしい人よ、お前が遠くにいると K.438」は、クラリネット2とバセットホルン1)という共通した特徴がある。

ノットゥルノ5曲については未亡人となったコンスタンツェがゴットフリート・ジャカン作だと言ったものだが、真作と認められている。 すべて1783年の作と推定されていたが、最近の研究では1786年、または1787年かそれ以降(タイソン)とも考えられている。 しかし1784年から記録され始められた自作目録には載っていない。

これらのイタリア語による三重唱は、モーツァルトの親しい友人ゴットフリート・ジャカンとその家族との交流のなかから生まれた。 おそらく遊び半分の、その場限りの歌であり、モーツァルトにとって自作目録に記載するほど価値のある曲ではなかったのだろう。 それだけに、自筆譜が残っているものもあるが、詳しいことは何もわからない。 また、そのほかにドイツ語の歌詞のコミック・ソング

  1. K.441 「かわいいマンデルよ、リボンはどこに」 "Liebes Mandel, wo is's Bandel?"
  2. K.441a 「やあ、こんにちは、いとしい人」
  3. K.441b 「夜のとばりはおりて」
  4. K.441c 「邪魔がはいったセレナーデ」
が知られている。 同じく1783年に作られたと思われていたが、1786年頃の作だと見直されている。 しかし真作かどうかわからない。
 

K.441a 滑稽な歌曲「やあ、こんにちは、いとしい人」

Comical song for bass "Ja! Grüss dich Gott, mein liebes Schatzel."

イ長調、4分の3拍子。 断片20小節。 真作か疑われている。 アロイス・フックスによる写譜のみ残る。 新全集は「偽作」としている。
 


K.441b 三重唱「夜のとばりはおりて」

セレナーデ対酔漢の三重唱。 3声と4声の2種の編曲がある。 またモーツァルトによる詞は「お尻の周りは真っ黒け」という下品なものだが、ブライトコップ&ヘルテルの初版テキストで3声のものが使われている。

〔歌詞〕
Die Nacht ist finster, ist finster
Schön Liebchen schläfst du schon?
Ach nur ein Küsschen, ein Küsshen
Gib mir zum Liebe Lohn.
. . .
夜のとばりはおりて
かわいい娘よ、もうお休みかい。
1回のキスだけでいいから
愛の報いに俺を許したまえ。
(以下略)
東川清一訳 CD[EMI TOCE-6596]

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-6596] t=3'33
シュライヤー Peter Schreier (T), プライ Hermann Prey (B), ベリー Walter Berry (B), ケリー指揮 Erich Keller (cond), ミュンヘン・コンヴィヴィウム・ムジクム合奏団 Convivium Musicum München
演奏年不明

 


K.441c

疑作(Anh.C9.04)とされている。 ヨーゼフ・ハイドンの作と伝えられていた。 モーツァルトの真作とする説と疑わしいとする説があり不明。 テキストは2種あり、一つは娘をそそのかすセレナーデとそれを追い払う父親の歌。 他はラテン語のミサの文句を読めない生徒とそれを馬鹿にする教師が歌う。

三重唱「邪魔がはいったセレナーデ」

〔歌詞〕
Liebes Mädchen, hö mir zu
Lass dir doch was sagen
Dann wünsch ich dir gute Ruh
Will dich nicht mehr plagen
Du sollst dich des Lebens freun
. . .
いとしい娘よ、きいておくれ
お前にお話をさせておくれ
そうしたらお前にお休みをいおう
俺がお前を悩まさないようになれば
お前は人生を楽しめるであろう。
(以下略)
東川清一訳 CD[EMI TOCE-6596]

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-6596] t=2'08
シュライヤー Peter Schreier (T), プライ Hermann Prey (B), ベリー Walter Berry (B), ケリー指揮 Erich Keller (cond), ミュンヘン・コンヴィヴィウム・ムジクム合奏団 Convivium Musicum München
演奏年不明

 

三重唱「歌のおけいこ」

〔歌詞〕
Et in terra, terra pax, pax, hominibus
Kyrie eleison, Christe eleison
Et in terra, terra, pax, pax in terra crucibixus
Et sepuitus, ああ困った、困った
えーと、ほらミッヘルル、ちょっと助けておくれよ
(以下略)
東川清一訳 CD[EMI TOCE-6596]

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-6596] t=1'57
シュライヤー Peter Schreier (T), プライ Hermann Prey (B), ベリー Walter Berry (B), ケリー指揮 Erich Keller (cond), ミュンヘン・コンヴィヴィウム・ムジクム合奏団 Convivium Musicum München
演奏年不明

 


 

ジャカン家


 

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2014/08/17
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