春国岱(しゅんくにたい)は、根室湾と風蓮湖の間に横たわる長さ8km、最大幅1.3kmの細長い島です。周囲を海と湖、干潟に囲まれ、海岸草原、湿原、森林などの多様な環境が一まとまりになって存在します。春国岱・風蓮湖では、これまでに約310種の野鳥が記録され、野鳥の聖域と言われており、根室を代表する自然の宝庫です。2005年にはラムサール条約に登録され、2010年には東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワークにも参加し、湿地や水鳥の生息地の保全を行っています。
北海道の東端、根室市。春国岱は海につきでた根室半島の付け根に位置する、長さ約8kmの細長い砂でできた島が春国岱です。広さは約600haあります。
春国岱には、下記の7つの自然環境があります。山と渓谷をのぞけば、北海道の自然のエッセンスがほとんどすべてつめこまれているといってもいいでしょう。
春国岱は奇跡の島と呼ばれています。それには3つの理由があります。一つは、海流によって北の方から運ばれてきた砂が、巨大な地震のたびに風蓮湖をしきるように隆起し、現在のような地形ができたこと。そしてもう一つは、砂でできた島に草木が生え、海岸とは思えないような幻想的な風景を作り上げたこと。そして最後は、市街地からほど近い所にありながら、ほとんど手付かずの自然が残されていることです。
さまざまな環境がバランスよく配置されている春国岱は、じつに多くの生きものたちのすみかとなっています。これまでに記録された野鳥は約260種類。大変バラエティに富んでいて、高山性のルリビタキがさえずり、その上空を海洋性のカモメたちが舞う、不思議な光景に出会えます。また特別天然記念物のタンチョウ、天然記念物のオジロワシなど貴重な鳥たちが繁殖しています。さらに、春と秋の渡りの時期には、ロシアと日本、東南アジアを行き来するオオハクチョウやカモのなかま、シギ・チドリのなかまなど約60種類、数万羽の渡り鳥たちが春国岱および風蓮湖を中継地として利用しているのです。