介護老人保健施設で緊急時施設療養費のある例

☆緊急時施設療養費に関する事項


入所者の病状が著しく変化し、入院による治療が必要とされる場合には、速やかに協力病院等の病院へ入院させることが必要ですが、こうした場合であっても、介護老人保健施設において緊急その他やむを得ない事情により施設療養を行うときがあります。緊急時施設療養費は、このような場合に行われる施設療養を評価するために設けられています。

緊急時治療管理は、入所者の病状が重篤になり、救命数急医療が必要となる入所者に対し、応急的な治療管理として投薬、注射、検査、処置等が行われた場合に、一日につき500単位を算定します。
緊急時治療管理は、1回に連続する3日を限度とし、月1回に限り算定します。例えば、1月に1日を3回算定することは認められません。
緊急時治療管理と特定治療とは同時に算定することはできません。

緊急時治療管理の対象となる入所者は、次のとおりです。

a 意識障害又は昏睡
b 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
c 急性心不全(心筋梗塞を含む。)
d ショック
e 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
f その他薬物中毒等で重篤なもの

☆特定治療 に関する事項(療養型医療施設の特定診療費とは別物です)


特定治療は、介護老人保健施設においてやむを得ない事情により行われるリハビリテーション、処置、手術、麻酔又は放射線治療について、老人医科診療報酬点数表により算定する点数に10円を乗じた額を算定します。
算定できないものは、23号告示第十四号に示されています
厚生大臣が定めるリ ハビリテーション、処置、手術、麻酔又は放射線治療
イ 老人医科診療報酬点数表第二章第七部により点数の算定されるリハビリテーション(同部において医科診療報酬点数表の例によることとされている診療のうち次に掲げるものを含む。)、同第九部により点数の算定される処置(同部において医科診療報酬点数表の例によるとされている診療のうち次に掲げるものを含む。)、同第十部により点数の算定される手術(同部において医科診療報酬点数表の例によることとされている診療のうち次に掲げるものを含む。)及び同第十一部により点数の算定される麻酔(同部において医科診療報酬点数表の例によることとされている診療のうち次に掲げるものを含む。)
    (1) 第七部リハビリテーションに掲げるリハビリテーションのうち次に掲げるもの
      (一) 言語療法
      (二) 視能訓練
    (2) 第九部処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの 
      (一) 一般処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 創傷処置(身体の大部にわたる範囲のもの(じょくそう瘡に係るものを除く。)を除く。) 
       b 手術後の創傷処置
       c ドレーン法(ドレナージ)
       d 湿布処置
       e 腰椎せん穿刺
       f 胸腔穿刺(洗浄、注入及び排液を含む。)
       g 腹腔穿刺(洗浄、注入及び排液を含む。)
       h 喀痰吸引
       i 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸
       j 摘便
       k 酸素吸入
       l 酸素テント
       m 間歇的陽圧吸入法
       n 肛門拡張法(徒手又はブジーによるもの)
       o 胃・十二指腸ゾンデ法
       p 非還納性ヘルニア徒手整復法
       q 痔核嵌頓整復法(脱肛を含む。)
     (二) 救命処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 救急のための気管内挿管
       b 人工呼吸
       c 非開胸的心マッサージ
       d 気管内洗浄
       e 胃洗浄
     (三) 皮膚科処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 皮膚科軟膏処置 
       b いぼ焼灼法
     (四) 泌尿器科処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 膀胱穿刺
       b 陰嚢水しゅ腫穿
       c 尿道洗浄(薬液注入を含む。)
       d 膀胱洗浄(薬液注入を含む。)
       e 留置カテーテル設置
       f 嵌頓包茎整復法(陰茎絞扼等)
     (五) 産婦人科処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 膣洗浄(熱性洗浄を含む。)
       b 子宮頸管内への薬物挿入法
     (六) 眼科処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 眼処置(洗眼、点眼、片眼帯及び巻軸帯を必要とする処置を含む。)
       b 霰粒腫の穿刺
       c 睫毛抜去(多数)
       d 蒸気罨法・熱気罨法
       e 結膜異物除去
     (七) 耳鼻いんこう咽喉科処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 耳処置(点耳、耳浴、耳洗浄、簡単な耳垢栓除去及び片耳帯を含む。)
       b 鼻処置(鼻吸引、鼻洗浄、単純鼻出血及び鼻前庭の処置を含む。)
       c 口腔、咽頭処置
       d 喉頭処置(喉頭注入及び口腔・咽頭処置を含む。)
       e 鼻出血止血法(ガーゼタンポン又はバルーンによるもの)
       f 耳垢栓塞除去(複雑なもの)
       g ネブライザー
       h 超音波ネブライザー
    (八) 整形外科的処置に掲げる処置(鋼線等による直達けん牽引を除く。)
    (九) 栄養処置に掲げる処置のうち次に掲げるもの
       a 鼻腔栄養
       b 滋養浣腸
   (3) 第十部手術に掲げる手術のうち次に掲げるもの 
    (一) 創傷処理(長径五センチメートル以上で筋肉、臓器に達するものを除く。)
    (二) 皮膚切開術(長径二十センチメートル未満のものに限る。)
    (三) デブリードマン(手若しくは指又は足若しくは指の範囲のものに限る。)
    (四) 爪甲除去術
    (五) ひょう疽手術
    (六) 麦粒腫切開術
    (七) 外耳道異物除去術(極めて複雑なものを除く。)
    (八) 咽頭異物摘出術
    (九) 顎関節脱臼非観血的整復術
    (十) 血管露出術 
   (4) 第十一部麻酔に掲げる麻酔のうち次に掲げるもの
     (一) 静脈麻酔
    (二) 硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入
   (5) (1)から(4)までに掲げるリハビリテーション、処置、手術又は麻酔に最も近似するものとして医科診療報酬点数表により点数の算定される特殊なリハビリテーション、処置、手術及び麻酔
ハ ロの具体的取扱いは、健康保険法の診療報酬点数表の取扱いの例による。

☆緊急時施設療養費・特定治療(様式第4,9)の記入方法

@緊急時傷病名
入所者の病状が著しく変化し緊急その他やむをえない事情により施設療養を行った場合に、その傷病名を記載します。
傷病名が3つを超える場含は、欄内に番号を補記して記載します。

A緊急時治療開始年月日
緊急時傷病名ごとの治療を開始した日付を@の緊急時傷病名に対応させて記載します。
傷病名が3つを超える場合は、欄内に番号を補記して記載します。

B緊急時治療管理(再掲)
緊急時治療管理の含計単位数と一日あたりの所定の単位数、緊急時治療管理を行った日数をそれぞれ記載します。
(合計単位数:一日あたり単位数x緊急時治療管理日数)

C特定治療の内訳
リハビリテーション、処置、手術、麻酔、放射線治療の別ごとに点数の含計を記載します。

D特定治療の合計
特定治療の点数合計を記載します。

E摘要
特定治療の内容について、処置名等、回数、点数、使用した薬剤名等の内訳をリハビリテーションから放射線治療の項目との対応が明らかになるように記載します。

F往診日数
入所者のために病院もしくは診療所から往診を求めた日数を記載します。

G医療機関名
往診を行った医療機関名を記載します。

H通院日数
入所者を病院もしくは診療所に通院させた日数を記載します。

I医療機関名
通院した医療機関名を記載します。

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