爆音と共に崩れ去るドア。 瓦礫の中からしずしずと入場…いやがしょがしょと乱入してきたのはDr.ライオット謹製の冷蔵庫くんDG! プレゼント用にと付けられたおリボンはそのままに、うねうねと伸びる触手、ごたごたとついた粒子砲にバルカン。 そして、その上に舞い降りる人影一つ! 「なお、新婦の付き添いとして……ル」 「ふっふっふっふっふ…怪盗二億五千三百六十七万三千二百八十九面相参上!」 タキシードに黒ハット。白手袋に仮面に黒マント。 「…そんなに変装できるんですか?」 「…あの、どちら様でしょう…?」
「とにかくっ!さぁ!花嫁を取り返したくば、かかってきなさい!」 ポツリとフロゥリア。 「中と外から冷蔵庫を破壊する…二人のはじめての共同作業ですか…」 「…まさか中に双葉さんが?」 「ええ。」 「…何故判るんです?」 「中から双葉の電波がしますから…」 「あの…もしかして……偽者騒ぎも知ってました?」 「ええ。」 おずおずと聞く菊一文字に、フロゥリアはきっぱりはっきりこれ以上無いほどきっちりと頷いた。 「だったらなんで止めないんですかっ!!」 頭抱える菊一文字。突然がくんと動かなくなる。 「あ、熱暴走してしまったようですね」 「もう、ケーキ入刀は必要無さそうですから…」 「冷蔵庫が服。中は裸ですか……冷凍に丁度よいですね」 「大丈夫です。その前に新郎が何とかするでしょう。 淡々とケーキをみんなに勧めてまわる。 「…あ、シクロフォート様。頬にクリームが…」 一方その頃。 「はい、でました。ラウンジ名物、動く家電シリーーーーズ」
「走馬灯のように、ラウンジでの思い出が脳裏を過ったよ。 さりげなくレジスはデッキを立ち上げると戦闘向きのBGMなんか検索したりしちゃったり。 「どうするもこうするも、俺はもうミサイルくらうの遠慮。 「おい、まて! それ決定事項か!」 「ちっ!」 三上の右腕が膨れ上がり異形と化す。 フェンリルは左手で銃を抜いた。 「流石にそれは洒落にならねーだろうが……」 お前だお前…と言うツッコミは無視し、リモコンで冷蔵庫くんのビームバルカンを乱射する。 「あぁぁぁっ!!」
優雅に懐から手鏡を出し、反射するフロゥリア。 「ぐはっ!」 跳ね返った流れビームがレフティを直撃したらしいが気にしない気にしない。 「あらゆる光線は鏡ではねかえせる法則です。これも世界の定説ですから」 …何処の定説だ。 「危ないですねぇルリアさん。
いつもの仮面のような微笑のまま、霜月は空間を歪める。 「ふっ…甘いわね。こんな事もあろうかと!」 ルリア…もとい怪盗中略面相がばさりと取り出すパラボラアンテナのついた銃? 「空間固定装置!うちのジジイにすればこんなのちょろいものよ♪」 粒子砲を霜月に向かって乱射。 「絶体絶命……ですか」 それでもやや引きつってはいるが、その笑みは消えなかった。 「さぁ、どうするの?」 触手のように伸びる太いコードでその辺をなぎ倒しつつ、冷蔵庫くんは霜月に迫る。 |