「武富士の闇を暴く」訴訟の控訴審判決出る!
日本経済新聞は、2005年10月20日付けで次のように報じている。消費者金融大手、武富士の批判本を巡り名誉毀損で訴えられた執筆者である弁護士らが、提訴は違法だとして武富士と武井保雄前会長(75歳)〓電気通信事業法違反罪などで有罪確定〓に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁であった。石川義則裁判長は、武富士側に計480万円の支払を命じた一審判決を支持し武富士側の控訴を棄却した。
判決理由で石川裁判長は一審と同様に「批判本の記述は真実か、真実と信じる相当な理由があり、名誉毀損にあたらない」と認定。武富士側の提訴は「請求が認められないと知りながら批判的言論を抑圧する意図で行っており、裁判制度の趣旨や目的に照らし著しく不当、違法」と述べた。
武富士広報部の話 主張が認められず残念。今後の対応は弁護士と相談したい。
判決は、次のように具体的な事実に基づき認定している。
本件書籍で繰り返し指摘されていることは、過酷な労働環境、徹底したノルマが従業員を過剰融資に追い立て、第三者請求を強いているというのである。控訴人会社は、本件書籍の記述の内、第三者請求に関し摘示された本件各記述のみを問題として、被控訴人らを相手方として甲事件(名誉毀損事件)を提訴した。
これに関する認定として、武富士が伝達画面で「とにかく目標(ノルマ)を達成せよとの厳しい伝達が様々な形で表示されている。
さらに、武富士の従業員が、伝達画面を引用し、武富士おいて実際には極めて厳しいノルマがあり達成できなけれは激しい叱咤を受け、従業員は精神的に負い詰められて過剰貸付けや支払義務のない第三者への請求を行っているとの実態を告発している。
武井保雄の二男である武井健晃は、武富士に入社後、営業統轄本部長となっていたものであるが、ノルマを達成できない支店に対し、極めて激しい口調で罵倒するといったことを幾度となく繰り返していた。
武富士が、関東財務局から処分を受けていないことから、無実と認められている旨主張したことについては、次のように認定している。
「本件全証拠によっても、関東財務局において武富士から提出された報告書や口頭の説明(これらは、武富士内部での従業員らからの聞き取りや内部資料に基づく報告の域を出ていないものである)以外にどのような調査がされているのか明らかではないから、監督権に基づく処分がされていなというだけで、武富士ら主張のように「無実である」ことが示されたものと認めることはできない。
武富士が主張する損害賠償請求権及び出版差止請求権が成立しないものとして請求を棄却されるに至ることを予測していたか、又は容易にそのように予測することが可能であったのに、批判的言論を抑圧する意図の下に行われたものであり、このような訴えの提起は、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当を欠くと認められるときに該当し、違法な行為というべきである。