朝日新聞に対する
武富士の取材協力費提供問題について
「武富士の闇を暴く」訴訟弁護団長が意見表明
「武富士の闇を暴く」名誉毀損訴訟の出版社・弁護士側弁護団長の澤藤統一郎弁護士は、朝日新聞に対する武富士の5000万円取材協力費提供問題について次のような意見を表明された。
2005年03月31日(木)
昨日が、「武富士の闇を暴く」事件判決。その日に、またまた武富士の事件。 派手に今朝の各紙朝刊を飾ったのが、「朝日、武富士から5000万円」という記事。朝日新聞社が発行する「週刊朝日」が、連載企画記事の「編集協力費」として武富士から5000万円を受け取っていたというのだ。 武富士は、しかるべきところには金をばらまきたいのだ。もちろん、その効用を計算し尽くしてのこと。金がものを言うことを知悉しているからだ。ばらまきの金を受け取ることは、金がものを言うことを認めることに等しい。金が語る話に耳を傾けようという意思表示でもある。安易に、金を受け取ってはならない。 東京新聞(中日新聞社)は、遠慮なく武富士批判の記事を掲載してきた。 その結果、武富士は東京新聞への広告掲載を切った。まだ、盗聴事件発覚前のこと。そのことで、社の幹部から記者に圧力がかかることはなかったとはいう。しかし、不況の中での有力スポンサーを失うことは、経営体としてはそれなりの打撃だったろう。企業からマスコミへに対しては、このような形での「圧力」の行使が可能なのだ。 週刊朝日の問題記事は、53回も連載されたという。「編集協力・武富士」というクレジットがはいっていなかったことが問題とされているが、そもそも「武富士とのタイアップ企画」に乗ること自体が不見識と言わざるをえない。 企業が金を出すのに、相応の思惑のないはずはないのだから。古来、高利貸しは民衆の膏血を搾って肥え太る唾棄すべき存在である。その最大手の武富士は、民衆から搾り取った金を惜しみなくばらまいた。もちろん、利益を大衆に還元しようというのではない。ダーティーな業務継続に資する限りでに決まっている。朝日は、金を注ぎ込んで損のないばらまき先と見込まれたのだ。これを朝日は受けいれた。 「脇が甘い」という程度ではない。批判されてしかるべきだろう。マスコミだけではない。学会や弁護士が主宰するNPOでも、高利貸しから金をもらった金で運営して平然としているところがある。批判的な記事、論説、研究> を抑制し、批判的な弁護士活動に手心を加えてもらえると見込まれての出費以外にあり得ない。それ以外にあるとすれば、既に世話になったことへの謝礼であろう。 批判すべき相手から、金を受け取ってはならない。恩を売られてはならない。借りを作ってはならない。自戒しよう。
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感想
武富士は、平成8年、朝日新聞が発行している「アエラ」という雑誌に掲載された武富士が未成年者に金を貸したこと、その未成年者が成人した後、約定返済ができなくなったため、自分で働いて不足分を生活保護に頼っていた月収8万円前後の収入しかない病弱な母親に対して、娘の借金を支払うよう督促して支払わせたという記事に対して、名誉毀損であるとして「1億円」の損害賠償訴訟を提起した。この事件は、平成9年に武富士敗訴で終わっている。今回の5000万円の編集協力費というのは、この事件が終了してから数年経過している。
武富士は、現在、大手の新聞社などに対しては訴訟などをせず、弱小出版社やフリーライターなどに対して高額訴訟を仕掛けていると言われている。
このようなことと今回判明した5000万円編集協力費の提供は関係があるのだろうか。