同時ルポ 武富士裁判55
「新社長の改革に立ち込める暗雲 週刊金曜日との裁判、期限直前に控訴」



 週刊金曜日は、「同時ルポ 武富士裁判」というのを連載している。

 6月29日の株主総会で、武富士新社長に就任した元久存(もとひさめぐむ)氏は「多くの社員の話を聞いて体質を改善すく。社外にもできるかぎり説明責任を果たしたい」と意気込み、「前会長に経営上の助言は求めない」と、創業者と距離を置く姿勢を示した。

 だが、42歳の新社長が進める武富士改革に早くも暗雲が立ち込めている。

 原因は、武井保雄前会長の「逆襲」だ。盗聴事件に関与したとされる二男、武井健晃専務を元久氏と並ぶ代表取締役に昇格させ、米投資会社ニューブリッジ・キャピタルへの武富士株売却も、交渉大詰めでドタキャン。盗聴事件での有罪判決を前にした抵抗には、一代で武富士を築いた「サラ金の帝王」の尋常ならぬ執念がこもる。

 9月30日には、本誌とジャーナリスト三宅勝久氏を名誉毀損で訴えた訴訟で、武富士は、東京地裁(福田剛久裁判長)の同社完全敗訴判決を不服とし、東京高裁に控訴した。二週間の控訴期限ぎりぎりの選択だった。同社関係者は「(担当)弁護士は、社内の会議で『金曜日には勝てる』と豪語してましたから、幹部も(敗訴)はショックだったでしょう」と明かす。

 一審判決は、武富士が第三者請求や計算書改竄などの違法業務をしていると認定した。金融当局の処分を逃れるために、同社は控訴せざるを得なかったかもしれない。だが、ジャーナリスト山岡俊介氏らの記事を訴えた複数の名誉毀損訴訟で同社は、提訴は「言論抑圧」「訴権の濫用」だったと認め謝罪している。提訴や控訴が違法と知りつつ費用を注いで会社に損害を与えると、決済した役員は背任に問われる可能性もある。(ジャーナリスト北健一)以上



 この中でかかれている「計算書改竄」問題は、高松あすなろの会の会員が、特定調停を申し立てた際、取引履歴を提出したが、その取引履歴に虚偽があるとして、正しい取引履歴を提出するよう求めたが、出さなかった事例である。週刊金曜日訴訟において、その取引履歴を提出するよう求めていたところ、集中証拠調べの直前に武富士から証拠として提出された取引履歴と、武富士が、高松の特定調停に提出した取引履歴に違うところがあり、高松の特定調停に提出した取引履歴に虚偽があったということがわかったとういうものである。

 高松の特定調停では、取引履歴に基づいて利息制限法の制限金利で元本充当計算をすると、わずかだが、残元金が残るということになるが、週刊金曜日訴訟において、提出された取引履歴に基づいて計算すると、過払いとなるというものだった。

 判決は、組織的に武富士が取引履歴の改竄をやっているとまでは認められないとしているが、三宅さんが記事にした事件では、取引履歴の改竄があったということが明白になったというものである。