武富士に第三者請求!どちらが正しいの?
平成16年10月6日、東京地方裁判所で、武富士が、「武富士の闇を暴く」という本に書かれている「お客様第一主義」という箇所について、名誉毀損であるとして、出版社と執筆者3名に対して5,500万円を請求している事件の集中証拠調べが行われた。
武富士は、北海道東部地方に住む母親に対して、武富士函館支店が、「親だから払ってもらわなければならないと言われて、1万円ずつ数回支払わされた」という法律上支払義務がない母親に対する第三者に対する請求の事件について、次のように主張し証言した。
1、武富士は、この件について、平成14年5月16日付けで、全国貸金業協会に対して次のように報告している。
A氏(息子)は当社函館支店登録の顧客である。A氏は、北海道○○郡○○○町に家族とともに同居の状態で有り、勤務先は当社は把握しておりませんでした。仕事内容は、母親であるK氏からは漁船に乗って漁師の仕事をしていると聞いていました。
苦情申立書には「母に対して息子の借金を支払ってもらいたい旨の電話がきた」そのために、毎月1万円を数回支払ったとありましたが、調査の結果事実としては、平成13年6月6日午前9時半に実母から函館支店に電話があり、息子であるA氏が漁に出て支払ができない状態のために変わって支払をしたいと申し出がありました。
当社の担当者は、母に対して「支払義務がない」事を伝え、債務者本人の連絡先を確認しましたが、母からは、「連絡先は判るが当社に教える事は出来ない」と言われ、連絡先を教えては頂けませんでした。
この様な状況でも、母からは債務者本人に代わり支払をしたいと再三申し出がありました。その為に現在の債務者の状況、母からの申し出による支払である事を考慮し、今後発生する利息を放棄する入金方法で支払を受けました。よって、当社から支払義務の無い実母に対しての支払請求をして支払わせた事実はありません。
(後略)
3、武富士から、提出された書類
債務の支払に関する申入書(尊属)未収入理由書 13年6月6日
未取入経緯 和解時(記載内容よめない)?取り寄せ中
利息 取り入れが不可能と店長・室長が判断した場合の申入書(第三書式)の記入は和解した担当者が記入する。正、申入者欄は斜線を引き記入しないこと、この理由書は申入書に(不明)、台帳に保管する。
特処理条件 現在の基本返済額 21,000円
分割返済 初回金額 10,000円 初回支払日 H13−6−6
初回以降 10,000×53回・毎月31日支払
最終回支払額 10,000円 最終支払日 H17−11−30
和解総額 550,000円
特処理決裁申請書 70日未収
債務内容 センター問い合わせ 8件 140万 他社事故 31
本人申告 8件 140万
特処理理由 支払者 母 年齢24歳(これは、誤記とおもわれる)
和解迄経緯 本人行方不明毎月母代払申出有り
4、交渉履歴の記載
13−6−6 午前9:27 TEL有り母 相談
本人行方不明母相談あり1万の強力申出
5、函館支店担当者の陳述書の内容 平成16年9月24日付
平成13年6月6日 午前9時27分
母親より函館支店に電話があり、私が応対。
母親は、「実は、先日帰って来た時、本人は少しお金を置いていったが、根室で働いたばかりで、少なく、2か月分送金していなかったので、金額が足りなかった。その後、本人とも話したがどうにもならず、利息は何とかならないか」と相談があった。私は、相談に乗れない事はないが、本人と話したい旨告げるが、母親は、「それだけは教えられない。武富士さんから電話されたら困る」と拒否され、仕方なく、私は「息子さんはいくらなら毎月支払えるのですか」と聞くと、母親は、「本人は他社の支払もあり、毎月1万円たらできるので、何とか相談にのってほしい」と言われる。そこで、私は、支店長と相談し、毎月1万円で今までの滞っている利息を含めて総額で55万円で将来利息を免除する事で回答すると、母親は「ありがとうございました。そこまでやって頂けるのであれば、私が責任をもって1万円送金いたします」と非常に感謝されたのをはっきり覚えています。(母親のところ、息子のところは固有名詞がはいっている)
6、母親の主張
母親は、病弱で、時給720円で働いている。1日8時間働いても、6000円にもならない。
一月約10万円前後の収入で、家賃を支払、自分のサラ金からの借入の支払(約4〜5万円)のため、毎月前借りしてやっている。生活も困難なのに、息子の分まで支払うということは絶対にない。自分は、武富士函館支店の電話番号も知らない。自分から武富士に電話をしたことはない。朝の9時というと、加工場で働いている時間であり、絶対に武富士と話をしたことはない。
7、法廷での証言内容
母親から電話があり、息子は漁船に乗っているので、自分で支払えない。
息子が母親のところに返済のためのお金を送ってくるので、それを、自分(母親)が武富士に支払うというふうに言われた。
あくまでも、借り主である息子のお金を母親が預かって、武富士に支払うということである。
陳述書の内容に沿った証言であった。
8、裁判官は、武富士が提出した内部書類の「親族・本人行方不明・代払い」などの記載から、母親が、行方不明の息子の分を支払うという趣旨ではないかと質問されたが、武富士の社員は「違う」と答えた。
どちらが正しいのか。私にはわからないが、平成14年5月に本社から調査を受けた社員と、法廷に出廷した社員は同じ人だということを、法廷に出廷した社員が認めた。
記憶が新しい平成14年5月の報告書の内容と、法廷での証言はあまりにも異なり、驚かされた。