残業代支払いの和解の内容と争点等
武富士残業代第一陣訴訟和解について、弁護団から次のような報告がなされた。
2004年2月19日 1. 2002年12月28日、株式会社武富士に対し、元従業員10名が東京地方裁判所に残業代の支払を求めて提訴しましたが、本日和解により解決しました(平成 14年(ワ)第28782号・民事11部多見谷寿郎裁判官)。
本件訴訟では、争点として、@原告らの残業時間をどのように計算するか、A支店長は残業代を払わなくて良い管理職(労基法上の監理監督者)に該当するか、B支店長に支払っている職責基本給に残業代が含まれているといえるか、等でした。 残業時間の確定については、客観的な記録が残っている部分については、支店の鍵の開閉記録やパソコン上の記録をもとに割り出しました。また、まったく記録がない部分については、原則として、パターン化した勤務時間(支店長の場合は、平日は午前7時30分出社、午後9時退社等)を基準として計算し、原告らの請求時間のほぼ8割程度が特定できたため、これらを基準としました。土曜日の勤務や日・祝日の勤務等で客観的な記録がない部分や出張の際の早朝の移動時間等については、裁判上の立証が現時点では困難と考え、請求から控除した形となりました。 一方、残業代の計算方法については、原告らの主張とおり、@支店長など管理職に対しても残業代支払義務があることを認める、A「業績基本給」の中に一定割合の残業代が含まれているという計算はせず、時間とおりに支払う、という計算方法をとり、法律上の主張については原告らの主張のとおりの計算方法によりました。7000万円は、付加金を除く請求金額の83%となります。
また、正社員の人事考課をする権限も採用権限なく、ノルマが達成できなければ一般社員に直ちに降格させられるという地位の不安定な立場にありました。支店長会議に出席した場合でも、営業統括本部長から業績について叱責を受けるために出席するようなもので、経営に参画する立場ではありませんでした。従って、経営者と一体と評価される権限もありませんでした。従って、武富士の支店長は労働基準法41条2項の「管理監督者」には全く該当しないということが明らかであり、武富士側がこれを認めたのも当然というべきです。
以 上 |