「盗聴は会社を守るため」
武井公判で清川社長が告白



 第二回武井保雄氏盗聴公判について、週刊金曜日は、武井保雄氏の情状証人として出廷した全国貸金業協会の会長の証言内容について、概要、次のように報じている。

(週刊金曜日3月26日号、「同時ルポ 武富士裁判」29)

「盗聴は会社を守るため」
武井公判で清川社長が告白

 3月19日、ジャーナリスト盗聴事件の第2回公判が東京地裁で開かれた。武井保雄被告はグレーのスーツ姿で出廷。その隣には清川昭・武富士社長が、後ろには新たに刑事弁護人になった弘中惇一郎弁護士が座る。

 武井被告の情状証人として証言に立った全国貸金業協会連合会の小倉利夫会長は「業界で最も過剰貸付が少ない」と武富士の「優良業者ぶり」を強調した。同社の1口座あたり融資残は59・5万円と大手サラ金トップ(2位はプロミス)で偽証の疑いもある。盗聴については小倉氏は、「報道が思う通りにならず、魔がさしたのでは」と述べた。

 続いて被告会社を代表し、清川社長が質問に答え、「仕事熱心な義理人情の人」と武井被告の人柄を絶賛。盗聴は「会社への攻撃をいかに守るかという危機感」から起きたとし、「今でも信じられない」と吐露した。

 盗聴など裏業務に従事した中川一博・元法務課長の仕事をひきついだのは「新井(世源・法務課次長)」だと清川氏が明かしたのをうけ、検事が「新井の業務を把握しないのか」と問うと、「必要なんですか」と言い返した。今でも「裏業務」をチェックする必要を感じていないのだ。  清川氏はさらに、「すべての訴訟で話し合い解決の意思表示をし、宇都宮(健児)弁護士とも示談交渉をした」と述べた。

 同日、武井被告は山岡俊介氏に対する武富士ホームページ上での名誉毀損で追起訴された。追起訴をつぶすための懸命の工作が頓挫した格好だが、山岡氏の新刊『銀バエ 実録武富士盗聴事件』(創出版)にもあるように、闇世界への資金提供=特別背任などなお深い疑惑が残る。


(ジャーナリスト 北健一)
同時ルポ 武富士裁判
http://www.kinyobi.co.jp/takefuji


*参考
◆サラ金大手5社の1口座当たりの無担保ローン融資残高(2003年)
武富士  59・5万円
プロミス 53・9万円
アコム  52・4万円
アイフル 48・9万円
三洋信販 48・2万円
平 均  53・6万円
(出所 大崎明子・伊藤歩「多重債務者増殖を招く過剰融資の『ワナ』」『週刊東洋経済』2004年1月10日号)

◆武富士の過剰融資をたびたび取り上げている今瞭美弁護士のホームページ「武富士の部屋」
http://www.marimo.or.jp/~yuri/

◆武富士過剰融資についての佐々木憲昭衆議院議員の国会質問(03年4月18日)
http://www.sasaki-kensho.jp/kinyuu/article/kin_030418.html