武富士元社員24名
残業代訴訟提起!(札幌地方裁判所)
武富士元社員24名(男12名・女12名)が、札幌地方裁判所に残業代と、慰謝料の支払を求める訴訟を提起した。
不法行為に基づく慰謝料請求の内容は、次のようになっている。
1、ノルマ未達の場合の研修という名の修羅場 毎日、最低でも14〜15時間拘束されて働き、各支店に課せられたノルマ達成のために、非人間的に酷使された。 「昼食を食べること自体が悪い!」と怒鳴られ、ノルマが未達の場合には、札幌に集められて、立ったまま2〜3時間にわたり、周囲を囲まれて罵声を浴びせられて「反省」を求められた。原告の中には暴行を受けた者もいる。武富士は、このような場を「研修」と呼んでいる。また、ノルマを達成した支店の者も呼び出され、周囲を囲んで罵声を浴びる役をしなければならなかった。万一、この囲む側の声が小さかったりすれば、囲まれて罵声を浴びる側に立たされることになっていた。 このような「研修」の場合には、原告らは土下座をして、謝り、反省をしなければならなかった。 原告の一人は、相田元札幌支社長(現在取締役)から、平手で顔面を殴られ打撲を負うとともに眼鏡を壊された。このような暴力に対し、本社の営業統轄本部に報告したが、放置され、それどころか相田からは「お前、営業統轄本部に報告しただろう」と以後嫌がらせを受けた。 札幌での「研修」には道内いたるところの支店長が集められるが、遠方の支店からくる場合は夜行列車を利用し、翌日再び夜行列車で支店に戻らなければならなかった。帰りの夜行列車では会長の執筆本を5時間ほどかけて書き写す作業をしなければならなかった。つまり睡眠時間がとれないように仕組まれていた。 地区部長以上は、本社での「会議」に参加しなければならなかった。この本社の会議は、札幌支社の「会議」などとは比べものにならないほど過酷なものであった。ある原告の発言数が少なかった時、専務の目の前の机を灰皿でバンバン叩き「お前は武富士の女じゃねーな!」と罵声を浴びせられ、他の発言者に対して「殴れ!」「蹴れ!」と命令された。暴力を振るわれる方も、振るう方も恐怖を感じながらの「会議」であった。
また、札幌の支社に近い支店に勤務している場合などには、各支店は、その日(あるいは一時間ごと)の成績が悪いと、「すぐ来い!」「走って来い!」と支社に呼び出された。その場合には、支店から支社まで全力失踪で行かなければならず、悪い成績に「叱責」され、「罵声」を浴びせられ、再び「走って帰れ!」と言われて走って支店まで戻らなければならなかった。 多い時には一日3往復させられた原告もいる。武富士の制服を着た原告が、全力失踪で走っている姿は滑稽ではあるが、させられている原告にすれば屈辱以外のなにものでもない。
原告らが病気をしても病欠することは許されなかった。ある原告は40度近い熱があっても、出社しなければならず、自分の意思で休めなかった。あまりの体調の悪さに「早退してよい」という上司からの指示か、職場で倒れて救急車で運ばれて初めて休むことができた。 休んだ後に出社した時は、必ず「休ませていただきありがとうございます」とお礼を言わなければならなかった。そして、「仕事をして返すように」と言われ、「はい、わかりました」と言うことが「決まり」であった。
各支店には必ず、本社の「検査部」という部署から店長個人のチェックが不規則に入ることになっている。このチェックは、業務の検査に限定されず、あらゆる私物のチェック、たとえば、個人の預金通帳の内容、財布の中身などを事細かく調べて行く。 さらに個人の携帯電話を提出するように求められ、メールの発信、着信のすべての履歴を調べてメモにとり、登録していた友人らの氏名、電話番号をすべて書き写して行った。これらの検査に少しでも嫌な顔をしたり、抵抗するそぶりをみせると、武富士は「携帯使用状況」「所持品検査」に「速やかに協力する」という「守秘義務誓約書」なる文書に半ば強制的に署名を求められ、原告らは署名せざるを得なかった。
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以上の他「尾行もあり」「辞めることも許されず」などのことが詳細に主張されていく。
武富士による「授業員の人格権の侵害は組織的『宿命』」の項には、次のように書かれている。
原告らは被告のこのような非人格的管理下において、個人のプライバシーもなければ、人間の尊厳もない「扱い」を受けて働かされていた。これは、武富士という会社にとって必要なことであったし、「宿命」でもあった。なぜなら、武富士という被告自身が、多重債務者を生み出しながら過酷な取立を行って急成長するには、武富士というマシーンの手足として「全体に服従する兵隊」を作り上げる必要があったからである。そのためには、消費者に同情したり、消費者保護の観点から法を遵守したりなどを全くしない、自己をもたない歯車としての社員が必要だったのである。 社員がその人格を持たずに、ただ、命令にだけ従う歯車として動くためには、従業員である原告らの人格を破壊することこそが必要だったからである。プライバシーを含む全人格的管理、滑稽としかいいようのない業務命令(全力疾走での呼出、会長の本の4ないし5時間にわたり書き写し等)、土下座や泣くまでの「反省」、恐怖による支配、これらは一般の社会常識から明らかに逸脱しているものの武富士にとっては、「成長するための手段」として必要不可欠なことだった。 しかし、これによって原告らをはじめ、すべての従業員に筆舌に尽くしがたい「人間としての辱め」、精神的苦痛を受けたのである。
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残業代の他、慰謝料は、一律500万円の請求となっている。