武富士の過剰融資の基準と武富士の営業方針



 武富士は、貸金業規制法が制定され過剰融資の基準として50万円までということが制定されたことを非常に評価し、それを遵守したからこそ、武富士が業界第一位となったとしている。

 また、初回融資基準だけではなく、途上融資についても、170万円以上は過剰融資となるとの内規を定めて融資を行っているとも述べている。

 私は、通常の勤労者の家庭では、手取り月収の10バーセント位が返済限度だと思っているので、170万円でも、もう多重債務状況にあると考えるが、現実には、それ以上の借入をしているケースが多い。業界第一位の武富士において、170万円を過剰融資の基準と定めているということは、一つの過剰融資基準として多いに主張できるのではないとか考える。

 少なくとも、自分で定めた基準位は、守ってほしいとおもう。

 武富士会長の過剰融資等に関する発言は、次のとおりである。

1) 「平成10年12月2日、武富士は東京証券取引所第一部に上場致しました。振り返ると、昭和41年創業以来苦節33年、長くもあり、短くも感じる。この33年、今日の素晴らしい出来事は、なんと言っも、社員のおかげと心からお礼を申し上げたい。本当にありがとう。

 もう一つ、武富士が安泰でいられるのは大蔵省のおかげです。同省は、業界が混沌としていた時代に道標べとも言うべき規制法を施行してくれた。武富士は、この方の通り、50万円までの貸付限度を厳守してきたから、今日この佳き日を迎えられたことを、皆も是非知ってもらいたい(武富士社内報『竹の子』No.172号・東証一部上場記念号2頁)。


2) 「加えて、大蔵指導の50万円融資規制を当社が忠実に守ってきたのに対し、200万円、300万円と回収の見込みもたたないままに融資額を増やす同業大手のいわゆる『まとめ融資』の問題がある。(武富士社内報『竹の子』No.179号・西暦2000年・年頭の辞3頁)

 「出資法改正の影響は軽微今年6月に出資法が改正されましたが、当社を始め大手各社には殆ど影響がありません。上限金利を引き下げ予定はありませんが、既存のお客様はスライド方式で優遇金利を適用して、貸出金利の引き下げを行っていきたいと考えます。現在実質平均金利は25・13%となっています(平成12年3月現在)。

 一方、中小企業の廃業や事業縮小により、大手の債権にも影響が出るのではないかとの懸念も一部にあるようですが、当社では、先を見て既に数年前から件数のみならず、170万円という金額の制限も設け既存顧客に対しても、途上与信を強化する等、与信管理の厳格化を図りながら、債権の質的向上を図って参りました。

 従って、当社への影響は、ほとんどないと考えています。」(武富士社内報『竹の子』No.182号・強固な責任感で職責を全うする・3頁)


3) 「このような私の経営方針のバック・グラウンドとなっているのは、消費者金融市場の将来性である。一般国民の生活実態を知らない金融アナリストやジャーナリストは、「市場の先細り論」を喧伝しているが、私は断じて先細りなどしてはいないと思っている。消費者金融業界の主たる顧客層である従業員500名未満の企業にお勤めで、年収2百万円から6百万円の方々が、就業人口に占める割合は全体の4分の3、つまり3千5百万人弱が対象顧客層といえるだろう。以前、就業人口に対して、どれ位の人が当社を利用しているかを調査したところ、都市圏は、一昨年が5・7%で、昨年が5・9%に。まだまだ開拓の余地は十分にあると言える。一方、地方の数支店では、27・0%から28・9%と上昇しており、すそ野は広がっている。」(武富士社内報『竹の子』No.191号・西暦2002年年頭の辞3頁)


4) 「昭和58年の『マスコミキャンペーン』により、消費者金融に対する世間の目が厳しくなった時、私は業界で最も早く『営業自粛』の方針を打ち出した。お客様あっての武富士である以上、批判は謙虚に受けとめなくてはならないと思ったからだ。貸付基準を初め、全ての業務内容や規則を見直し、決して『過剰貸付』と言われないように、直ちに規則を改めた。」(武富士社内報『竹の子』194号・創業者精神を受け継ごう!4頁)