サンデー毎日報道(2003年6月22日号)
東京高裁に認定された株式公開までの“舞台裏”
トラブル解決に暗躍の元部長が報酬金請求で逆転勝訴



 サンデー毎日は、前記見出しの下、次のような記事を掲載している。

 東証一部上場の消費者金融大手「武富士」が96年に株式公開する際、抗議行動を展開した右翼団体や暴力団との交渉役を務めた元渉外部長(50)が報酬の支払を求めた訴訟で東京高裁は、元部長の逆転勝訴を言い渡した。株式公開の陰で進められた“交渉”とは−−−−

 武富士側には、「驚愕の判決」だったに違いない。

 東京高裁の根本眞裁判長は、元部長が全面敗訴した一審判決を破棄し、元部長の主張を全面的に認める判決をだした。

 根本裁判長は、元部長が、指定暴力団山口組の直系組長らと「面談して協議」し、「すべて解決を図ることができた」と指摘。その結果として、「会長一族とその関連企業は、店頭公開により1兆円を超える利益を得ることになった」と述べたのである。
(中略)
判決によると、武富士は、94年11月に株式公開の方針を決めたが、右翼団体や暴力団、ブラックジャーナリストが大蔵省(当時)や日本証券業協会、幹事の野村証券に向けて抗議行動を展開した。

 武井会長は、元部長に「渉外部長専任」を命じ、「表で処理できないいろいろな問題をやってもらいたい。若し、何かあった場合には、一生面倒を見る」と述べたという。

元部長は、右翼団体の街宣活動を抑えるため、山口組の二次団体とつながりのある会社会長から助言を得たり、武富士と暴力団との癒着を指摘したブラックジャーナリストに3000万円を支払って解決を図った。また、故竹下登元首相への「ほめ殺し」で有名な右翼団体から抗議行動を受けた際、指定暴力団稲川会系の右翼団体会長に処理を依頼したという。

 こうした元部長による交渉の経過が、判決文では実名で語られている。しかし、驚くのはまだ早い。

 この右翼団体の抗議行動を沈静化させるため、武井会長が、山口組の別の二次団体組長にも解決を依頼していた。と判決は指摘している。株式公開を決めた企業トップが暴力団組長にトラブルの解決を依頼するとは信じがたいが、これは小説ではなく、民事訴訟の判決文だ。

 しかも、別々の団体に一つの案件を持ち込んだため、話がこじれ、一度収まっていた抗議行動が再燃した。すると、武井会長は、元部長に、「暴力団との関係の修復と右翼団体の妨害行為の件を体をかけてきちんと処理してくれ」「店頭公開をしたら、5億円の金を約束する」と頼んだという。

 その後、元部長は退職し、会社側とは1億5000万円の支払でいったんは合意したが、武富士側が1億円しか支払わず、元部長は当初の約束に照らして残金4億円の支払いを求め提訴したというわけだ。
(後略)


 武富士の談話として次のように掲載されている。

 判決は、十分な審理を尽くされぬまま、一審判決を覆した極めて不当かつ一方的な判決であり、到底容認できるものではありません。上告し、厳正な判決を求めるべく手続きを進めております。


感想

 事実は小説よりも奇なり!