武富士と警察「ただならぬ関係」
個人情報を相互にやりとり?「VERDAD Feb.2003」報道



同報道によると、次のようになっている。

「武富士が、自社の社員の犯歴情報を興信所を通じて入手していたことを示す内部資料と関係者の証言を得た。仮に、犯歴情報の入手が事実なら重大なプライバシーの侵害であり、武井保雄会長ら経営陣の責任が問われるだけでなく、犯歴情報を管理する警察当局の責任問題にまで発展するのは必至。場合によっては、今国会で審議される個人情報保護法案の行方をも左右しかねない。」

との出だしで、武富士が自社の社員の犯歴調査を興信所に依頼した際の書類や、それに対する興信所からの回答文書、さらには、警察幹部が警察職員のサラ金利用歴の照会を武富士に依頼した文書などを入手したとしている。

内部資料の内容として、次のように報じている。

「武富士は、少なくとも2001年3月から同年9月迄の7カ月間に、自社の社員175名の犯歴調査を、都内千代田区にある興信所、J社に依頼した。その結果は、過去に道路交通法違反で罰金を払ったことのある者が8人、風俗営業法違反で取り調べられたことのある者が一人というものだった。」

さらに、次のように報じている。

「内部資料によれば、武富士からJ社への調査発注は2001年3月7日から9月18日まで、のべ21回に及んでいる。1回の発注につき数人から多いときで20人以上の調査を依頼している。」

「それにしても、半年強で175人もの社員の調査を依頼するとは尋常ではない。その辺りの事情を、この調査依頼に直接関わったことのある武富士関係者は次のように説明する。

『武富士に限らず、貸金業者は、過去3年以内に犯罪等を犯したことのある社員を支店長などの重要な職責に就かせてはいけないと法律で定められています。だから、貸金業者が支店長の辞令を出した社員の犯歴を調べるのはやむを得ない面がある。J社に依頼した調査対象者はほぼすべて、新たに支店長の辞令を受けた社員です。ただ武富士の場合、社員がなかなか定着せず、支店長がコロコロ替わるという特殊な事情がある。175人もの支店長が半年強で入れ替わっているわけですから、その分、武富士の調査依頼件数は突出してしまうのです。』 」


さらに、次のような報道もある。

「しかも、にわかには信じ難いのだが、前出・武富士関係者によると同社では、J社のような興信所を通してだけなく、警察当局者に直接、犯歴調査を依頼することもあったという。本誌が入手した武富士の「お中元リスト」「お歳暮リスト」には、大勢の警察官の名前があり、中には、「備考欄」に、「依頼(犯歴等・電話番号等)」といった記載のある者も見受けられた。」

「さらに、警察幹部が武富士の渉外担当社員に送った警察職員のリスト(氏名、生年月日、住所を記載)とされるものも本誌は入手したが、関係者によれば、『それは警察が、職員のサラ金利用履歴を調べてくれるよう武富士に依頼した際のもの』だという。」


最後のほうには、次のような記載がある。

「本誌は入手した内部資料が本当に武富士のものなのか、また関係者の証言は事実なのかを同社に質そうと取材の申し入れを重ねて行ったが、同社広報部は、『その件は調整中』というのみで、校了日までに明確な返答はなかった。」

J社の主張として次のように報じている。

「武富士を担当していたF部長は、定年で去年6月に退職した。F氏とは連絡がとれていないし、個々の案件の中身は担当者以外分からない仕組みになっている。会社は、武富士に関する資料は一切残っていないので、取材には答えようがない」

「重要な個人情報がこうも簡単にやりとりされ、しかも警察組織がそれに深く関与しているのが事実とすれば、この国にプライバシーなどなきに等しい」


(以上)