【退職時覚書】
武富士社員は退職後も、武富士への忠誠を誓わせられる!



武富士社員は、退職時に「退職時覚書」なるものの提出を求められるという。

その内容は、およそ次のようなものである。

 私が、平成 年 月 日付、株式会社武富士(以下 貴社という)を退職するにあたり、貴社入社時に交わした守秘義務誓約書及び在職中に契約した事項について遵守すると同時に、以下について承諾し、その証として退職時覚書(以下 本書という)を差し入れ致します。

1.退職後2年間は、貴社と同種の事業を営まないこと。
  また、同業企業の職務に従事しないこと。

2.退職後は、貴社に在職中の社員との交流を持たないこと。

3.貴社在職中に知り得た機密情報を第三者に漏洩しないこと。

4.機密情報とは、貴社が企業運営上使用する情報、およびノウハウ
  で、文書・電磁的記録(フロッピーディスク・磁気テープ・CD
  ROM等)、名簿・図面・写真等の媒体に固定された記憶、およ
  びこれらに固定されていない記憶を含む次のものが該当すること。

  1. 顧客情報とその取引情報
  2. 各種業務マニューアル(支店長業務マニュール、貸付基準、管理遵守・禁止事項等)
  3. 営業戦略
  4. 営業計数
  5. 財務、経理データ
  6. 取引先名簿とその取引情報
  7. 市場調査情報
  8. 事業戦略、事業計画
  9. 情報システムの構成、環境、仕様、運営方法、機器構成等
  10. 人事情報
  11. その他 第三者が知り得た場合、貴社が有形・無形の損害損失を被る虞のある事項及び、貴社の経営上の方針、業務運営、企画開発、諸規程等に関係する一切の事項
  12. 上記各項目に関係する一切の事項

5.上記事項に違反し、貴社に損害を与えた場合は、退職金全額を返
  納し、加えて会社が認定した損害額との差額を支払うことを約す。
  退職後に在職中の機密情報漏洩が発覚した場合も同様とする。

上記のとおり相違ございません。

  平成  年  月  日
               住所
               氏名            印


 宛先は、株式会社武富士 代表取締役  清川 昭 様となっている。

 退職時にこのような覚書を取りかわすということは、どこの会社でもやっているのだろうか。

 この「退職時覚書」は、その内容が広範であること、さらに、一旦、支給した退職金を全額返還せよと命じているや、会社が認定した差額を支払う旨約束させていることなどから、極めて問題があるというより、無効ではないかと考える。

 退職金は、そもそも、相殺が禁止されていると考える。

 通常、従業員が、会社との関係でなんらかの損害賠償義務があるという場合でも、弁明の機会を与えるなどの措置がとられるべきであること当然である。

 東証一部上場の株式会社武富士で働く社員には、勤労者の権利は、全く保障されていないのだろうか。