武富士に行政処分の申立て
小学校3年生を校門で待ち伏せ!
登校時・午前7時50分、訪問集金!
申告の趣旨
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武富士には、貸金業規制等に関する法律第21条1項に違反する行為があるので、同法第36条1項に基づきその業務の停止を求める。
申告の事実
第一、事実経過
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A子(昭和42年7月19日生)は、平成8年3月15日、武富士店舗に出向き、金10万円を借りたい旨申し入れた。
当時、申立人は夫と長男(平成4年3月9日生)、長女(平成6年9月5日)と4人暮らしであった。
A子が、武富士から金員を借りるについて、職業は「主婦」、夫には「内緒」、資金使途は「医療費」というふうに記憶している。
A子が、金10万円を借りたい旨申し出たところ、武富士担当者は、「50万円の枠があるから、50万円を借りる」ようにと、話した。A子は、「そんなに借りたら返せないから」と言ったが、武富士担当者は、「こっちの規定で、最初のお客さんには、枠全部借りてもらうことになっている」旨、A子に話し、A子に50万円を渡した。そして、武富士担当者は、A子に対して、「ゆっくり返済してくれればいい」と言った。
A子は、平成8年3月当時、次のような債務があった。
太平洋信販 当初借り入れ額 25万円(当初借り入れ 平成4年) ユニマット 平成8年2月8日借り入れ 借入額 30万円
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武富士担当者は平成10年4月上旬ころ、夜、A子の住居に集金にきた。
A子が、玄関にでたところ、「支払っていないから支払ってくれ」と言われたことから、A子は「今、お金がないから、払えない」旨話したところ、「ご主人がいるのか」と聞かれたため、「主人がいる」と答えたところ、「ご主人がいるなら、ご主人に払ってもらってくれ」と言われた。
そのため、A子は夫がいる部屋に行き、「お金が借りているので、なんとか払うお金を工面してほしい」旨話したところ、夫が金12,000円をだしてくれたことから、武富士担当者に金12,000円を渡した。
武富士から提出された取引明細によれば、平成10年4月10日の12,000円がそれではないかと思われる。
この時期に、A子の借金のことが、すべて夫に発覚した。
当時のA子の借金は、次のようなものであった。
太平洋信販 当初借入額 25万円 ユニマット 平成10年4月当時残元金 45万円程度 プロミス 平成10年4月当時残元金 30万円程度
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平成12年9月下旬、武富士担当者は、長男の下校時に、長男が通学している小学校の 西門に行き、下校しようと校門をでてきたA子の長男に対して、名札を見て、「Aさんですよね」と尋ねられた。長男と一緒にいた同級生は、先に行ってしまった。
そのころ、A子はパートで働いていたが、勤務先にも、サラ金会社から電話がくるなどしていたことから、長男には、A子の勤務先などを尋ねられても、言わないようにと言っていた。
長男は、小学校3年生であったが、「注意欠乏症他動性症候群」の診断を受けていた。
長男は、武富士担当者から、A子の勤務先や勤務先の電話番号、A子の携帯電話の番号などを尋ねたため、長男は、武富士担当者に、聞かれたことを答えた。
長男は、このようなことがあった後、「おねしょ」をするようになった外、夜中に夢遊病者のように徘徊するようになった。
A子は、武富士担当者が、長男の通学する小学校に行き、長男に会い、A子の電話番号等を聞かれたことは当初知らず、なぜ、長男がこのような症状を呈したのかわからなかった。
武富士担当者は、翌日(9月20日と思われる)、A子宅に集金にきた。そのとき、長男が「ああ、このおじさん、昨日、来た人だ」と言ったので、A子は、武富士担当者が、家に集金に来たのだと思った。
9月20日の集金の時には、夫に12,000円をだしてもらって武富士担当者に支払った。
A子は、夫から武富士に支払うべき金員を渡されていたが、その金を食事代などに流用して支払っていなかったため、夫から叱られた。
- 武富士による厳しい督促
平成9年ころから、約定返済日に支払が遅れると、武富士から、厳しい電話による督促が常時行われていた。平成12年10月、武富士が知らないはずのA子の勤務先に、武富士担当者から電話が来た。そのため、A子が、なぜ、A子の勤務先がわかったのかを聞いたところ、武富士担当者は「お子さんに聞いた」旨答えた。
そのため、A子が家に帰り、長男に聞いたところ、長男が、武富士担当者が、「学校に来た」旨答えた。そのことにより、A子は、武富士担当者が、小学校3年生になる長男が通学する学校にまで行き、校門で待ち伏せして、長男からA子の勤務先やその電話番号を聞いたことを知った。
長男が「夜尿」や深夜の徘徊するようになったため、A子は、長男を精神科の医師のところに連れて行き、診察を受けたところ、医師から、「おかあさんのところへ借金取りが来たり、電話が来るのでこわい」と言っていると言われ、「鬱病」と言われた。
そして、医師から子供さんの病気には、その原因を取り除くのが一番の薬である旨言われた。
平成12年9月、武富士担当者が、学校にまで来たころから、長男は、母親の顔色をうかがうようになり、パニックを起こしたりするようになった。
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武富士担当者は、平成14年9月21日朝、午前7時50分ころ、A子宅を訪れた。
武富士担当者が、「ピンポン」とインターホンを鳴らしたため、A子は、サラ金の取り立てと思って、すぐには玄関にでなかった。A子は、玄関ののぞき穴から外をみて誰もいないことを確認し、子供を学校に送って行くために玄関を開けたところ、武富士担当者が、すぐに玄関に駆け寄ってきた。そして、A子に対して、「Aさんですね」と聞いたため、A子は、「違います。子供の母親に頼まれて学校へ送っていくところです」と言って、子供を連れて、学校にでかけた。
A子が、帰って来ると、武富士担当者が待っており、「Aさんですね」と言ったため、A子は、「はい、そうです」と言ったところ、武富士担当者は、A子の目の前で、指を「ボキボト」と鳴らして、「財布の中を見せろ」と言った。A子は、武富士担当者の様子から怖くなり、財布を開けてみせたところ、この分、払えるじゃないか。」と言った。財布の中には、3000円と小銭が入っていた。
A子は、「これは、食べていく分だから、25日にお金が入るから待ってほしい」旨話した。武富士担当者は、その場から立ち去った。
A子は、9月25日、武富士に金3000円を振込して支払った。
A子は、これまで、何回も武富士担当者からA子の財布を開けてみせるよう迫られ、その場で、武富士担当者から、支払うよう迫られて、支払をしたり、そのような取り立てをうけた数日後に送金したりした。
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A子は、平成14年10月中旬、中日新聞の「どうする多重債務者列島」を読み、愛知かきつばたの会に相談した。
A子は、愛知かきつばたの会の助言により、武富士に対して、大略下記内容の書面を出した。
武富士が、A子の夫の会社に電話をしたり、夫の携帯に電話を入れるなどして、A子に対する貸金契約の「解約通告」をしたり、脅迫めいた言動をしたことを指摘し、調停の申立ての準備をしていること、さらに、関東財務局への申立てをした。これ以上、自宅・主人・主人の会社及び親族に対して取り立て及び連絡をしないようにしてほしい。
調停の結果がでるまで支払わなくてもよいと、先生に指導を受けた。
ところで、武富士担当者は、平成14年12月7日午前9時30分ころにも、「司法書士の先生に頼んだみたいだけど、この間は、取り立てに行って、Aさんもこわい思いさせて悪かったけど、長いつきあいだから、利息は、今後払わなくてもいいから、元金を少しずつ払ってほしい」旨の督促をした。
さらに、平成14年12月12日午後2時半ころにも、武富士担当者は、A子に電話をし、残元金を支払うようにと督促をした。
尚、武富士からだされた取引明細によれば、利息制限法の制限金利(年18%)で計算すれば、すでに、過払いであるとの結果がでている。(遅延損害金率で計算すれば、若干の残元金が残ると思われる。)
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A子は、平成14年12月6日、夫と協議離婚した。A子の夫は、A子に対して、「もう、信用できない。溝ができた」旨離婚理由を話した。
A子は、現在、「鬱病」と診断されている。
第二、武富士による貸金業規制法に違反する取り立て行為
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武富士は、A子が、「夫に内緒」であることを前提として、金員を融資した。しかも、A子が、10万円を借りたいと言ったにもかかわらず、50万円もの過剰融資をした。A子が、約定返済が困難になるや、武富士は、「夫に払ってもらうよう」A子に迫り、A子の借金のことが、A子の夫に発覚するように仕向けた。
これは、A子の夫には知られなくないとの意思を無視し、その後も、約定返済をしなければ、夫に支払ってもらうぞという心理的圧迫を与え、無理やりに支払わせようとするものであり、許されるべき取り立て方法に違反している。
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武富士担当者は、A子の長男の通学している学校にまで行き、校門で待ち伏せをして、小学校3年生にしかならない子供から、A子の勤務先や電話番号などを聞き出した。
下校時には、多数の同級生などがいる中で、背広を来た大人から、親のことを聞かれた子供が、どのような心理状態に追い込まれるかは、容易に推測されるところである。このことがあってから、長男は、「登校拒否」のような症状を示すこともあり、現在も、背広を来た男性をみると、おびえる状況にある。
武富士によるこのような取り立て行為は、社会常識を逸しており、到底許されるものではない。
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武富士による被告平成14年9月21日午前7時50分ころの訪問取り立ては、明かに、貸金業規制法による取り立て規制に関してだされているガイドラインに違反するものであり、許されるべきものではない。
子供の登校時に、A子宅に出向いたことは、先の校門での待ち伏せと同じく、子供に恐怖心を抱かせるものであるし、午前8時までは、取り立てをしてはならないとするガイドラインにも違反すること明かである。
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武富士による「財布」を開けさせて、A子が、生活のために必要な金なので支払えない旨懇請しても、支払わせた事実は、合理的な取り立て行為に違反するものであり許されるべきものではない。
A子の記憶では、少なくとも、平成10年7月20日の4,000円、平成13年12月18日の2,000円などは、財布を開けさせられ、その時財布に入っていたお札を全部支払わされたものである。
平成14年6月には、12日に7,000円、18日に2,000円、28日に5,000円と支払っているが、これらも厳しい取り立てにより、支払わされたものである。
第三
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武富士は、貸金業界最大手である武富士が、公然と貸金業規制法21条に定める取り立て規制に違反する業務、あるいは、貸金業規制法に定める融資のやり方に公然と違反するような貸金業務を行っていることは、ゆゆしき事態である。
被申立人の貸金業規制法に違反するような取り立てにより、A子の長男が、人間不信に陥り、背広をきた人間に恐怖を抱くような精神状態に陥れられた外、A子も病気になった本件は、単に取り立て規制に違反するだけではなく、個人の尊厳にかかわる重大な結果を惹起したものとして重大である。
よって、武富士によるこのような会社ぐるみの異常な貸金業規制法違反の事実について、厳正なる調査の上、業務停止・登録取り消し等、厳しい処分をされるよう申告する。
添付書類
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1、委任状 1通
(尚、この事例は、10月25日、第三者取立ての事例として関東財務局に被害者の会が申し立てたものであるが、その内容が第三者取立てとしてひどいものである以上に、小学生の子供を校門で待ち伏せして親の勤務先を聞き出したり、子供の登校時をねらって、午前8時より前に集金に出向くなど、貸金業規制法に違反するひどいものであるため、詳細に申し立てたものである)。