武富士に噛みついた弁護士団体「問題の違法取立て」の中身について



 「よみうりウィークリー」2002年11月24日号は、「武富士にかみ付いた弁護士団体『問題の違法取立て』の中身」で、次のように論じている。

「弁護士らで組織する全国クレジット・サラ金問題対策協議会が、消費者金融最大手、武富士を狙いうちしている。貸金業規制法で禁止されている「第三者請求」(本人ではなく家族などに支払を請求すること)を行ったとして、大々的なキャンペーンを展開。先月末には、被害者対策全国会議を華々しく結成。北海道、石川、愛知両県での6件の事例のほか、数々の請求事例を挙げて徹底糾弾をアピールしたが、なぜか、いまひとつ盛り上がりに掛けるような」

 同協議会に名を連ねる弁護士が小声で言う。

「正直なところ、今度ばかりは首をかしげざるをえない。既に関東財務局に行政処分を申し立てている6件を含め、いずれのケースも無理に第三者請求に仕立てあげたというか、捏造に近いものまで含まれている。これでは説得力を持たない」

 法律を扱う立場の弁護士が捏造とは、穏やかではない。

「たとえば、出漁中で不在の息子に頼まれた母親が払っていたケースや、家計内の「やりくり」による返済(家族全員が客)までをも第三者請求と決めつけた北海道のケースなどはどうみてもげっち上げ。また、自宅を訪問した武富士社員を手際よくパトカーを呼んで撮影、その写真を違法取立ての証拠として『赤旗』1面に掲載した件に至っては、作為すら感じる。(前出の弁護士)。

 この種のキャンペーンには、業界トップ企業を狙い撃ちして世間の耳目を集めるのが効果的とはいえ、当節 偽装は、ご法度。「違法行為は断じてない」という武富士も余裕の構えだ。(以上・全文)


 武富士による第三者請求について、このホームページに紹介したところ、武富士内部の社員から、多数の内部告発が寄せられている。

「このような事例は、氷山の一角に過ぎません。尊属請求は当たり前「本人のためにお助け願えたら」、又は、「ご協力願えたら」と言えば第三者請求にはならないと教えられました。そうでもしなければ与えられたノルマという名の目標を達成することができないからです。このままでは、私たちは、貸金業規制法の違反者であり、犯罪者でありつづけます。」

「管理に対しては支店の総残高の約0・1%以下に未収をおさえなければいけないノルマがあります。殆どの未収が逃げていることが多いため、その矛先は、親、兄弟にむけられます。親兄弟も開き直っていればなにもしませんが、話になると思えば、今回だけなどと執拗に回収を迫るのが現状です。結局、毎回話します。上司も、お願いの精神といいつつ、ちゃんと尊属請求したのか、と平気で聞いてきます。弁護士さんに行っているのは、氷山の一角に過ぎません」

 「パトカー」を呼んだケースについては、被害者は「悪質な貸金業者による執拗な取立てを原因とする神経症」なる診断を受け、いまも、病院通いをしている。

 オートロックのマンションに無断で入り込み、年老いた母親に取立てを行い、驚いた母親が息子に連絡し、パトカーを呼んだということだが、逆にいうと、武富士の社員がそれほどの時間、老婆のところにいたということだ。

 もし、母親のところに息子に対する請求書なりを届けただけなら、郵便でもよいし、持っていったとしても、すぐ帰れば、息子もこなかっただろうし、パトカーも来なかっただろうと思われる。なぜ、これは「でっち上げ」なのだろうか。

 武富士で働いている人は、「業務上機密 情報漏洩」についての念書を書かされ、懲戒解雇をする、監査の必要があれば、携帯電話の使用記録を含めてすべての調査に応じるなどと誓約させられている。

 退職者は、退職時覚書を書かされ、退職後であっても、機密情報漏洩があった場合は、退職金全額を返還するなどという誓約させられている。また、退職者は、一緒に働いた武富士の社員と交際してらならないと誓約させられている。

 一緒に働いた社員は、人生の一時期を同じ職場で働いたということから、人生の一部であるが、それすら、否定されているのだ。

 このような内部告発を読み、弁護士が相談にのるケースは、まさに、氷山の一角にすぎないと、あらためて認識させられている。

 私は、行政処分の申立てをしている事例についてコメントされる場合、客観的で、公正な報道をされるためには、武富士だけではなく、申立人等に取材をされ、その真偽について、一定の意見をもって報道されるものと考えていた。

 申立人にはなんの取材もされず、武富士のみの言い分をうのみにして報道されるのは、報道機関として、いかがなものかと思う。

 「よみうりウィークリー」のこの記事を書かれた担当者も、社会の公器として、社会で発生している事象を曇りのない目でみていただきたいと考える。

 クレ・サラ対協に名を連ねておられるという弁護士の方も、ご自分の意見を正々堂々と述べていただきたい。