この国の将来 1
ヤミ金・7,000円で2万円を払え
2006年 6月 5日
知的障害を持っているが、母親と二人で暮らしているAさんは、月の給料が10万円前後だという。給料前、ちょっと、お金が足りなくなった。
少し前、ダイレクトメールがきていた。
いつでも、お金を融資しますというものだった。
電話をかけて、1万円を借りた。
銀行送金されてきたお金は7,000円だった。
3,000円は利息だといわれた。
1週間後電話をするように言われていた。
1週間後に電話をした。
利息を含めて2万円を払うようにいわれた。
しかし、そんなにお金を払う余裕はなかった。
「給料が安いのでそんなに払えない」と言った。
それなら、13,000円でいいと言われたという。
Aさんは、13,000円を銀行送金した後、電話をするように言われていたので、電話をした。
そうすると、又、1週間後に、2万円を支払うように言われた。
やっと、母親に打ち明けた。
母親は、それは大変だと言って私のところに相談にきた。
私は、すぐに、電話を入れた。
電話に出た相手は、男性だった。20歳前後のように思われた。
名前を聞いた。名字は「山本」と言った。
「名前は?」と聞いた。なぜ、名前を言わなければならないのだという。
「私も名前を言ったのだから、言ってくれ」と言った。
「タケシ」と言った。
「免許証の番号は?」と聞いた。
「なぜ」と言った。
「山本タケシと言っても、本名かどうかわからないでしょう。本人確認のためには必要だ」と言った。
免許証の番号は言わず、これからは請求しない、終わりにすると言った。
この数日前のサラ金は、「松井」という担当者だと言った。私が電話をかけて聞くと、名前は「ヒデキ」という。ニューヨークの野球選手と同じ名前だと言った。
サラ金をやっている人のところに電話をすると、多くの電話の声が聞かれる。何人もの人間が、何人もの人に違法な金を請求しているのだと思われる。
「悪い」ことだという認識があるのかどうか。
ゲーム感覚で、騙される方が悪いという感覚で。
このような違法なことに従事している若者の将来は、どうなるのだろうか。
犯罪者は、社会のごく一部でなければならないし、そうであった。
しかし、今、「この国」では、犯罪者は、ものすごい数になっているように思われる。
「株式会社」という名称は、株式会社として商業登記簿登録をしている法人のみが使用できることになっており、そうではないものが使用すると、処罰される。
しかし、ヤミ金のダイレクトメールには、株式会社と記載されているものが多い。
それらは、殆どが商業登記簿に登記していないものだ。違法なのだ。
違法が普通となると、正しいことが、通らない社会となる。
犯罪統計に現れない無数の犯罪者は、処罰されないことで、「それが当たり前」と思うようになるだろう。
金を儲けても税金も払わない、勿論、国民健康保険も社会保険も払わない。
少子高齢化の中で、社会のルールを守らない人間が増えていることに、この国の指導者はどの程度危機感を持っているのだろうか。