家賃免除でも延滞している家賃を支払え!
2006年 2月 6日
生活保護基準以下が明白でも、家賃免除の手続きをしなければ家賃は免除しない!
小・中学生二人を養育する母親に対して「市営住宅を明け渡せ」とは何事か!
B子さんは、昭和63年に離婚した。幼い子ども二人を育てている。
離婚したとき、収入が12万円前後だった。
生活保護という手続きがあるということを聞いた。
釧路市役所に生活保護について相談に行った。
釧路市役所の担当者は、「若いのだから働きなさい」と言われて生活保護は受給できないと言われた。
B子さんは、離婚する前から、一生懸命働き、離婚後も一生懸命働き、それでも、子ども二人を養育していく上で困難だった。そのため、相談に行った。
B子さんは、離婚する前に住んでいた市営住宅に引き続いて住むことを希望した。
市営住宅の家賃は、34,600円だった。
夫と二人の収入から、自分一人の収入になったので、家賃が安くなるのではないかと言われて、相談に行った。ところで、その家賃で嫌なら出てくださいと言われたという。
平成11年8月17日
B子さんは、これまでに市営住宅の滞納家賃について支払うという「誓約書」を提出させられている。
その内容は次のようになっている。
平成5年分 30,000円
平成9年分 197,600円
平成10年分 37,100円
平成11年分 29,100円
合 計 293,800円
納付計画
11/9〜12/8 迄 毎月 14,700円
B子さんのこのころの市営住宅の家賃は次のようになっている。
平成10年1月〜平成10年3月 700円
平成10年4月〜平成11年3月 5,300円
平成11年4月〜平成11年9月 9,700円
平成11年10月〜平成12年3月11,700円
B子さんの通常の家賃が「700円」というのは、家賃が支払えないということで家賃の免除を受けていることを意味している。その後の家賃の5,300円というのも、通常の家賃が支払えないということで減額してもらっている家賃であると推測される。その後の家賃である9,700円、11,700円というのも、通常の家賃が支払えないということで減額してもらった家賃ではないかと思われる。しかし、釧路市役所は、B子さんの延滞家賃の「支払猶予」等の措置をとっていない。
B子さんは、平成10年10月、ようやく収入が一定する仕事についたが、最初は、収入が少なかった。
B子さんが保管している家賃の支払の納付書から、次のように家賃を支払っている。
平成6年度 205,800円
平成7年度 242,200円
平成8年度 379,400円
平成9年度 174,400円
平成10年度 21,300円
平成11年度 96,600円
平成12年度268,600円
平成13年度293,440円
平成14年度116,820円
平成15年度194,510円
B子さんは、平成10年の春ころ、じん帯損傷で入院し、約半年リハビリのため、全く収入がなかった。
B子さんは、リハビリ中に督促にきた釧路市役所の担当者に次のように言っている。
「入院していたので支払できなかった。退院したので9月から支払っていく」
このように話しても家賃の免除の手続きを教えてくれず、滞納家賃の支払猶予の手続きを教えてくれなかった。
B子さんは、平成14年6月、勤務先が閉店になり、全員解雇となった。
B子さんは、釧路市役所に失業したことを伝えに行った。B子さんは、平成12年、13年と一生懸命支払っていたので、急に支払わなくなると、また酷い取立てを受けるのではないかと思ったという。
釧路市役所は、解雇ということで、家賃免除の手続きをしてくれた。
B子さんの収入は、児童扶養手当も含めても、生活保護の支給額の約半額近いものであった。3ケ月免除された。しかし、その後も引き続いて免除の手続きができるとはいわれなかった。
1ケ月だけ普通の家賃となり、さらに、収入が少ないということで、平成15年1月〜4月まで家賃が免除された。しかし、家賃が免除されていた間も、B子さんは、それまでの滞納家賃の督促を受け続けた。
B子さんは、中学校に通う二人の子どもと生活していたが、児童扶養手当しか収入がないときは、子ども二人だけ父親のところに行かせて食事させてもらい、自分はカップラーメンなどで飢えをしのいだという。
B子さんも子どもと一緒に父親のところに食事をさせてほしいと言えば、親は食事をさせてくれたかもしれないが、ずっと迷惑をかけることはできないと思い、我慢したという。
そのときにも、生活保護が受けられないかと相談をしたというが、やはり、若いのだから働きなさいと言われたという。
B子さんの知人で同じように子どもを抱えて一生懸命頑張っている人も、やはり、生活保護の相談に行ったところ、「若いのだから働きなさい」と言われたという話を聞き、やはりだめなのだと思ったという。
平成15年5月、滞納家賃を支払わなければ、市営住宅を明け渡せという書類が、釧路市役所から来た。
B子さんは、児童扶養手当をもらったとき、8万円を支払った。
平成16年5月、又、滞納家賃を支払わなければ市営住宅を明け渡せという書類が、釧路市役所から来た。
B子さんは、そのころ、月4〜5万円しか収入がなく、児童扶養手当を含めても10万円にも満たない収入しかなかったことから、滞納家賃も、その月の家賃も支払えなかった。
平成16年12月、釧路市役所は、B子さんに対して、市営住宅を明け渡せという裁判を提起した。
B子さんは、家賃免除の申請をすれば、免除となった!
B子さんのことが、釧路市議会で取りあげられた。釧路市は、B子さんは、家賃免除の手続きさえすれは、家賃は免除となったと思われると答えた。
B子さんは、平成16年4月23日、釧路市役所の担当者に次のように訴えている。
「パートで収入少なく、毎月の生活が大変。今月の児童扶養手当は子どもの入学等に掛かり入金できなかった。」
釧路市役所の担当者は次のように、B子さんに話したと、釧路市役所の書類に書かれている。
「生活苦しくても家賃を支払わないと明け渡しとなる。頑張って支払うよう伝えた」
釧路市の市営住宅明け渡し訴訟のながれ
特別催告の基準滞納月13ケ月以上もしくは滞納額10万円以上の入居者でいずれかに該当する者
住宅明渡し訴訟の基準
特別催告によっても滞納額の解消に至らない者及び何ら解消に向けての意向等の見られない者が基本的に訴訟の対象となるが、訴訟に踏み切る場合、それまでの滞納解消のための折衝状況、相手方の家庭状況等を見極めて進める。
B子さんは、特別催告を受けたとき、どうすれはいいか相談をしたという。
「全額一度に支払って、滞納を解消するように」と言われたという。
B子さんにできるはずがないことである。
B子さんは、未成年で高校と中学に通っている子ども二人を養育している。
釧路市役所は、本来、B子さんの収入と児童扶養手当だけでは生活保護の半額程度しかないことを熟知しながら、なんらの支援もせず、懸命に頑張っているB子さん親子を市営住宅から追い出し、凍死せよとでもいうのだろうか。
B子さんに対して、釧路地方裁判所は、平成17年6月1日、3ケ以上家賃を滞納しているとして、市営住宅を明け渡せとの判決を出した。
現在、札幌高等裁判所で審理されている。
札幌高等裁判所では、釧路市に対して和解を勧告した。しかし、釧路市は、「絶対に和解はできない。出て行ってもらうしかない」と強行に主張した。
B子さん親子に、健康で文化的な最低限度の生活を保障するのは、釧路市役所の責任ではないのだろうか。