出版賞商法?
階段から落ちて、死の直前まで行った人がいる。彼は、懸命に死と戦い、忘れてしまった文字を懸命に思い出し、訓練し、社会に戻ってきた。
自分が経験したことを文字に託して書いた。
彼は、それらの原稿を応募した。
すると、「入賞した」との連絡があった。
「まず、いくつかが選ばれ、最終選考がこれから行われる」とのことだった。ところで、その会社から、すぐにも「本として出版するように」との連絡が来た。
そこで、私に問いあわせがあった。
私は驚いた。どう考えても、少し、本にするにしてもは量が少なすぎると思った。
そこで専門家に意見を聞いた。
そこでは、次のようなことが指摘された。
1、選評で「是非出版したい。このように感じさせる力を持った作品に出会うことはめったにない」など、歯の浮くような賛辞が並べられているが、作品の具体的な内容には全く言及していない。
もし、その出版社が、本当に「市場的価値が高い」と考えたならば、その出版社が出すはずである。
2、費用が高く、内容が評価されたとは考えにくい価格設定になっている。
300部で149万か132万、500部で138万か117万と短期間に費用がディスカウントになっている。
この出版社は、その後、期限を切り、100万円、50万円と値段をさげてきている。
一部の値段は800円などという値段設定になっている。800円で300部なら24万円、500部なら40万円となる。
出版した部数が全部売れても、出版に要する費用と売却価格との差額は、自己負担となることは明白だ。
彼は、出版すれば、いくらかは、印税が入ると思っている。
私は、そうではない。多額の持ち出しがある。自費出版ということを理解して出版するのなら、それは反対しないが、いくらかでも印税が入るなどということを考えるのなら出版はやめたほうがよいと意見をいった。
最初から、自分史をつくるということで、自費出版をするというのならいいが、作品を募集し、応募させ、入賞したといい、出版したらと誘う。
どれだけの作品の応募があり、なんという審査員が、どのような審査をして、入賞したのかなどの説明がないまま、出版させて金を儲けるなど、許されることではない。
このような、「出版賞商法」というのは、人の心をくすぐって、金を出させようとするもので許されないと思う。
2005年12月30日