北海道警察の報償費の不正事件の傍聴をして
5月12日、札幌に行った。たまたま、北海道警察の不正経理関係の事件の証人・本人尋問があったので、一部傍聴した。事件は、「自分は全く旭川の警察から報償費など受け取っていないのに受け取っていることになっている」という人が、北海道に対して起こしている裁判だった。
私が、法廷に入ったとき、本人尋問を北海道の代理人である弁護士が行っていた。
発言の内容は、正確ではないが、私の記憶で再現してみる。
「テレビ朝日の記者から、あなたが報償費を受け取っていることになっているということをきいたのか」ということから始まった。
「自分が受け取っていない報償費を受け取ったことになっているということを知ってどう思ったか」ということが聞かれた後、裁判をすることを決意したのは、自分なのかどうかが聞かれた。さらに、弁護士費用はいくら払ったのかも聞かれていた。
まるで、誰かに唆されて裁判をしたのではないかと言わせたいような尋問の仕方だった。
本人の方は、「自分が決意した」弁護士は、テレビ朝日の記者が紹介してくれたと証言していた。
その後、代理人は、北海道新聞の記者が何回きたのか、北海道新聞の記者から何回電話が来たのかを何回も聞いた。
本人は、北海道新聞の記者が来たのは2回、電話は数回と答えていた。
しかし、このような質問が延々と長く行われるのはどういうことなのかと思わざるを得ない内容だった。傍聴席からも失笑が聞かれた。裁判長も、「なぜ、そんなことを聞くのか」というような表情だったと思った。
しかし、原告の代理人の弁護士から、「質問に対する異議」はなかった。
また、質問の中で、この問題を何回も報道したのは、「北海道新聞」で、「何回」だとまで出ていたと記憶する。
我々、道民が納めた税金がどのように使われているのか、それが不正に使われている、自分が受け取ってもいないお金を受け取ったと北海道警察の書類に載せられているなどということは、許されることではない。
そのことを報道することは、社会の公器であるマスコミの責任ではないか。
まるで、この裁判を傍聴していると、北海道警察が行った不正について裁判をすることが「許されない」とでもいうように聞かれた。
北海道の代理人ということは、我々が、納めた税金で雇った弁護士ということになる。
北海道の代理人たる弁護士が、「公的な不正を正そう」としている人に、まるで悪人に対するような質問をしていいものだろうか。と思ってしまった。
これが、民主主義国家の自治体の代理人がやることだろうか。
私の記憶が正しければ、すでに、北海道警察の最高責任者である本部長が、議会で不正があったということを認めて謝罪しているのだと思う。
にもかかわらず、このような形で道民をまるで犯罪者扱いすることに、戦慄を覚えた。
このような法廷でのやりとりについては、新聞は報道していないようだ。
なぜなのだろうか。
やはり、現実に、傍聴しなければ、法廷で行われている真実はわからないということなのだろうか。