木村事務局長日記より
「ある人から聞いた恐い話」
全国クレジット・サラ金問題対策協議会の事務局長である大阪の木村達也弁護士は、「木村事務局長日誌」というのを出されている。その中で、最近の厳しい現実を指摘したメールを転載させていただく。
木村事務局長日記(108)―ある人から聞いた恐い話――3.5行政対策シンポ大阪成功に向けて 2月21日(月) ある高校の先生から聞いた話だけれど、これは恐い話である。市内のある高等学校では(確かにこの高校は府下でA・B・Cランクで言えばCランクだそうであるが)自分の名前を漢字で書けない人、九九のできない人がクラスに1割はいるのだそうだ。入学試験は全科目0点でも入学できる。そして300人の新入学生のうち、53%が2年生に進級する。47%は1学年中に授業について行けない、面白くないとの理由で退学(怠学)してしまう。そして3年生を卒業できるのは入学時の43%であるという。約130名位の卒業生の内、就職できる者は40名位で、後は教師がどれだけ面接試験を指導し受けさせても不合格になってしまう。7〜8回も面接不合格になると生徒達は大抵就職を諦めてしまう。この生徒達はたとえコンビニのアルバイトのような仕事でも厳しい面接で排除されてしまうそうだ。 この子供達は就職できないまま、毎日ぶらぶらしてコンビニの前にたむろする“コンビニ族”を形成する。今、時間給850円のアルバイトに就けても1人の人間が最低の生活をしたとして月当たり175,000円を要するが、コンビニで1ヶ月一生懸命働いても10万円にしかならないそうだ。どうしても不足が生ずる。この不足分を補うのが親からの借金かサラ金やクレジットカードの借金だという。サラ金やクレジットカードの支払いに追われ出すと若者達は加害者に変身するのだそうだ。かっぱらい、窃盗、詐欺などの犯罪に走るか、やばいアルバイトに手を出してゆく。例えば1時間1500円のアポ取り電話や風俗、暴力団関係の仕事に就くのだという。こんな子供は母子家庭の子供が多く、学校から帰っても母親は夜働いており、毎日500円硬貨一枚をもらってコンビニの弁当とタバコを買うそうな。コンビニの弁当を毎日食べて、テレビゲームをして過ごすと必ず身体は不健康に肥満してくるという。親が小さい頃から水泳や野球などのスポーツクラブや学習塾に通わせて健康や生活管理をしてようやく子供が授業について行け(進学校には肥満児はいないと言う)、進学・就職にも勝ち残れるのだそうだ。こうして子供時代から勝ち組と負け組が分かれてゆくのだが、学校の先生は1人でも進学できる勝ち組を教育したいので負け組は手をかけずに放置してしまう。「お前らは学校に出てこなくとも良いから他の人間の邪魔をするな。学校に来なくても卒業はさせてやるから…」と公然と言うそうだ。
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感想
社会的コストという言葉がある。一人の犯罪者が必然的に生まれる状況があるとき、それを防止するために必要な対策を講じる費用をどのようにして算出するかであると思う。アメリカでは、高校に保育所があるという。未成年で高校生の年齢で母親となった子どもを保育し、おかあさんは、高校教育を受けるということだという。
もし、そのような措置をとらないと、未成年で、母親となったおかあさんが、満足な教育も受けずに子どもをそだて、大人になると、母親も社会人としてきちんとした生活がてきない、そのような母親に育てられた子どもも、きちんとした人間教育を受けられない。そして、「薬中毒」(覚醒剤とかコカイン等)になったりして犯罪をおかし、刑務所に収容し、多大な社会的コストがかかる。それなら、そのような人間が出現しないように予め予防するための政策を実現していくということなのだという。日本においては、何においても、「後追い」「後追い」と言われて、種々の政策が事後的なものであることか多い。
現在の「おれおれ詐欺」「振込め詐欺」などをしている人が、社会の中核をになう大人になったとき、この国はどのようになるのだろうか。