驚くべき判決!
UFJ24億円融資事件の東京地裁判決



 ジャーナリストの北さんから、次のようなメールがきた。

 昨日、いわゆるUFJ24億円融資事件の東京地裁判決がありました(春日 通良裁判官)。

 この裁判は週刊文春、月刊現代(巻き込まれた作家・黒木亮氏の手記)、AERA等で報じられた有名なもので、脳梗塞で痴呆状態になった資産家・杉山 哲さんに三和銀行が28億円を「融資」し数億円の利子をむしりとり、自宅が競売にかかるまで追い込んだ事件です。

事件の解説、関連記事もふくむ椎名麻紗枝弁護士のホームページ
http://homepage3.nifty.com/shiina-lawoffice/

 竹中平蔵・金融担当大臣も「ひどい話だ」と国会で答弁しましたが、判決は 被害者・杉山さん側の全面敗訴でした。弁護士さんが判決文をもらう間、控え室で杉山さん一家を囲んで話し合いました。

 杉山さんの妻明さんは「自分のこれまでの人生が全否定されたみたい」と肩を落とし、娘さんは「銀行と裁判官は癒着しているんですか。癒着していないとすれば、どうしてこんな判決がかけるんですか」と言いました。

 杉山さんが痴呆状態で判断能力がなかったという主治医、専門家らの証言、鑑定はことごとく「採用できない」とされ、妻・明さんの連帯保証契約の署名捺印を偽造(しかも「明」は「明子」と誤記されている)したという、偽造した張本人(公認会計士)の法廷証言があるにもかかわらず、「明さんは財産のことを夫に委ねていたので、夫が借金をするなら通例保証すると考えられる」という驚くべき理屈で、偽造保証契約も有効とされました。

 被害者家族から私は、「マスコミの報道は無意味だったんですか」と問われました。私も中央公論と週刊宝島に書きましたが、それらは無力でした。

『週刊宝島』の北さんの原稿
http://homepage3.nifty.com/shiina-lawoffice/inkan_kitatakarajima.htm

 けれどより深刻なのは、これほどめちゃくちゃな判決が、おそらくほとんどまったく報じられないだろうということです。

 報道の末端にかかわり、司法改革を追いながら、ゴビンダさん(東電OL殺人事件の犯人とされた無実のネパール人)への理不尽な最高裁判決同様、どうしようもないむなしさに打ちのめされました。

 でも、法廷には多数の銀行被害者が駆けつけて杉山さん一家を励まされたので、別れ際には明さんもどうにか気を取り直されたようでした。これ以上悪くなることはないから控訴して戦うと。

 今後とも応援、注目をお願いします。



感想

 明らかな犯罪となるような事件でも、「銀行」と名がつけば、判断の基準が変わるような気がすると思うのは、私だけだろうか。

 名前を勝手に書いたという人は、刑事的には、私文書偽造・同行使という立派な罪になるし、他人の財産を不法にだまし取ったとなれば、詐欺になる。

 関係者が、警察に自首して、刑事事件として立件してもらって有罪となれば、判決はがらっと変わる?というのは安易なのだろうか。同じ事件について、刑事と民事で全く異なる表現が使われることに普通の人はついていけないように思う。