国家は無謬か?
知らぬ間に4回の転居・2台の車購入・サラ金2社から借入れ
A男が両親と一緒に相談にきた。
突然、クレジット会社から請求の書類が送られてきた。警察にも相談したが、何もしてくれない。サラ金からも取立てがきた。というものだった。
A男の話によると、A男は、産まれてから今日までK町の同じ住所に住んでいるという。ところが、クレジット会社からもらった契約書には、A男の全く知らない住所が書かれていた。
A男が、これまでに調べたところでは、K町から、K市に、K市からO市に、O市からN市に、住民票が移っているという。このことを知ったA男は、N市から、もともと住んでいたK町に、住民票を移した。
A男から相談を受けた私は、K町の戸籍課に転入・転出届の取扱いについて質問した。
K町では、本人だと言ったら、それ以上の本人確認はしないが、関係書類は相当期間保存しているという。
K市では、本人だと言ったら、それ以上の本人確認はせず、関係書類は1年間で、シュレッダーにかけて廃棄するという。
A男が、全く知らない間に、転入・転出届を何者かによって出されているということは、公正証書原本不実記載罪・同行使罪を構成する犯罪である。
このように重要な犯罪の証拠となるべきものが、1年で廃棄されるということは極めて問題である。自分がやったのではないということを立証する手段がなくなる。又、刑事告訴しても、証拠がないから、犯罪の立証ができない。
日本では、これらの書類の取扱いに関して、「形式的審査権」しかないとし、出された書類をそのまま受け取ったらいいという扱いがなされている。
しかし、住民票や戸籍謄本など、滅多にとるものではない。役所がきちんとやってくれていると、国民は信じている。にもかかわらず、当然に、行うべき本人確認もせずに、漫然書類を受取、その書類をたった一年で廃棄するなど考えられない。
公務員は、普通の人が考えることについては、当然に考え、国民から付託された事務を適正に処理すべき責任があるということを、再認識してもらわなければ困る。
国家賠償訴訟でも起こさねばならないのだろうか。