サラ金・クレジットと『内緒』

サラ金・クレジットにとって、『内緒』というのは、重要な融資の際の指標となっている。破産の審尋で、裁判官が、債務者に、「生活のためにお金が必要だったというなら、どうして、ご主人に相談できなかったんですか？」と、よく質問がある。

　そこで、サラ金会社が、『内緒』ということをどのように位置づけているかが問題となる。ここに、レイクの貸出関係の内規がある（これらの内規は、現在のレイクの前身のレイクの時代に、訴訟で証拠として提出されたものであり、現在のレイクが同様の内規の下に貸付業務をやっているかどうかはわからない）。

  1. 貸付限度額設定規準
    貸付限度額の上限は、５０万円とする。 上記の定めにかかわらず、次のものについては５０万円を超える貸付限度額を設定することできる。

    ●対象者

    • 全情連加盟の情報センターでの利用が３件以内のもの、但し次のものは除く。
      安定収入の見込みがないもの（パート、アルバイト等）
      個人信用情報機関での事故客
    • 契約期限切れ債権の借用書での残高以下での更新
    • 買取債権の残高以下での更新
    • 買取債権と当社債権の残高合計以下での一本化

    ●設定金額
    　上限を１００万円として、年収の１０％以内か、もしくは年収の３０％以内から他社借入額を差し引いた金額以内で設定できる。但し、主婦、自営については次の通りとする。

    • 専業主婦は、夫の年収の１０％以内で設定する。
    • 有職主婦は上記・の設定金額か、夫の年収の１０％以内のどちらか多い方で設定できる。
    • 自営は前年度分の年収の１０％以内で設定する。

    ●年収の確認
    　年収の確認は、源泉徴収票、所得証明書、納税通知書で行う。（自営客の確定申告書（控）は、年収の確認書類とはしない。）

  2. 貸付規準
    貸付禁止対象者
    • ７１才以上の者（７１才以上の者に新たな貸付は行わない）
    • １８才未満の者（尚、１８才・１９才の独身者は、親権者の連帯保証の有無にかかわらず、与信枠２０万円の範囲でのみ貸付可とする。）
    • 学生（ただし、成年者で、パート・アルバイトなどによる返済原資を確認できる場合は、与信枠１０万円の範囲で貸付可とする。）
    • 日本国籍を持たない者　ただし、日本永住権を持つ者は除く。
    • 文盲・禁治産者・準禁治産者及び生活保護を受けている者
    • 当社を含めて、全情連加盟の情報センター８件以上利用の者
    • 個人信用情報機関の事故報告者（９１・１１）
      • 全情連加盟の情報センター
        全ての異動・参考情報
        サービス情報（但し　70盗難・紛失 72 注意登録・74氏名変更を除く)
      • 三者協
        すべての事故情報
        但し、一部の事故情報については慎重な審査の上で貸付を行うことができる。(事故情報の取り扱い参照)
    • 消費者金融を専業とする会社の経営者および従業員
    • 夫婦および一つの保険証に被保険者・被扶養者( 同一生計者) として入っている者に利用者がいる場合、3 人からの者および全情連加盟の情報センターで二人あわせて8 件以上利用の者
    • その他支社長が特に定める対象者

  3. 貸付規準の補足事項
    （・親権者・・永住許可は削除）
    • 夫婦双方への貸付 夫婦の内一方がすでに利用者になっており、もう一方へ新たに会員番号を設定して貸付する場合の条件は、
      • 互いに当社における利用を知らない。
      • ２人合わせて全情連加盟の情報センター７件以内（当社含む）の利用（他社は５件まで）
    • 被保険者・被扶養者への貸付 被保険者・被扶養者の内１人がすでに利用者になっており、もう１人に貸付する場合の条件は、
      • 互いに当社における利用を知らない。
      • ２人合わせて全情連加盟の情報センター７件以内（当社含む）の利用（他社は５件まで）


　ある事件で、クレジット会社が証拠として提出した契約書に大きく、「ＤＮ」と書かれていた。裁判官が、「これは、どういう意味ですか」と代理人に聞いた。私は、裁判官に、「それは、『ダンナに内緒ということです』」と説明した。クレジット会社の審査書類や、契約書の控に、大きく、「ＤＮ」と書かれているのは、妻が（大抵専業主婦）夫に『内緒』で契約をしたという意味である。


　夫婦双方に、積極的に融資をしている貸金業者も多数ある。
主婦が、夫に『内緒』で５０万円一杯借りている場合、主婦に対して、「ご主人ならご融資できますよ」と言われて、主婦が、自分が借りていることは全く話さず、夫に生活に必要だから借りてほしいと頼んで、お金を借りてもらうなどの事例は、非常に多い。なぜ、『内緒』で融資をするのだろうか。

　それは、簡単だ。

『内緒』だと、ばれたら困るから、一生懸命支払うのだ。
次から次へと借りては返済し、借りては返済し、だんだんと借金が増えていく。先に紹介した旧レイクの貸出規準をみると、明らかに、夫に対する不法行為としかいいようがない貸出がされていることがわかる。人間の弱みに付け込んで、過剰融資がされているというのが実態だと思う。信用供与、資金需要者の客観的な返済能力によって融資すべであるという極めて単純なことが、現実には、全く遵守されていないというのが実態だ。

　私は、貸金業者が、融資をする際に、「夫に『内緒』かどうか？」「妻に『内緒』かどうか？」「両親に内緒かどうか？」を聞くことを禁止するべきだと思う。

　皆さんのお考えは、いかがですか？