裁判所は誰の権利を守ってくれるの?
基本的人権を守ってくれるのは、どこなの?
ドイツ憲法第1条(人間の尊厳)
- 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、かつ、保護することが、すべての国家権力の責務である。
- それゆえに、ドイツ国民は、世界のすべての人間共同体、平和および正義の基礎として、不可侵にして譲り渡すことのできない人権を信奉する。
- 以下の基本権は、直接に適用される法として、立法、執行権及び裁判を拘束する。
日本国憲法
- 第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
- 第32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
- 第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職務を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
- 第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
裁判所の調停で,新たな債務負担者が創出される。
裁判所の調停では、利息制限法の適用がされず、貸金業者のいいなりの支払が債務者に強要される。
という実態を知り、私は、その怒りをどこにぶつけたらいいのかわからなかった。そんなとき、ドイツ憲法第一条を知った。
木佐教授が書かれた「人間の尊厳と司法権 ドイツ司法改革に学ぶ」を読んだとき、「ひとことでいって、至るところで『人間の尊厳』が語られていた」との記載を読んでショックを受けたが、その原因は、ドイツ憲法第一条にあるということがよくわかった。
裁判所の調停で、多くの調停委員が大変な苦労をしておられることを、私は知っている。
しかし、一人でも、この間、私が知ったような取扱をしている調停委員がいたならば、それは許されることではない。
日本国民は、全国どこの裁判所でも均質の法的サービスを受ける権利を有しているはずである。裁判所は、年間12万人にものぼる自己破産事件を取り扱っている。破産した人の実態について、きちんと、分析し調査したことがあるのだろうか。
日本弁護士連合会では、数年に一度ずつ、自己破産記録の調査をしてその内容を公表している。その中には、「保証」「名義貸し」等が原因となって自己破産に至る大勢の人がいることが報告されている。日栄・商工ファンド問題で最も問題となったのは、保証人被害である。
裁判所が、多重債務に陥った人からの調停に際して、あらたに、「保証人」を入れるという感覚が、まるで私には理解できない。多重債務に陥った人は、一つの債務を負担しているのではない、到底支払えないような多額の債務を負担している。
貸金業規制法では、「過剰融資禁止」が規定され、割賦販売法では、「過剰契約防止」が規定されている。
法律では、多重債務者を作らない様にする義務は、債権者に課せられているのである。債権者の無責任な過剰融資・過剰契約によって、多重債務者となった人の債務に、裁判所が新たに、「利害関係人」をいれ、債務の保証をさせるということが、どういうことなのか、裁判官は、調停委員は、考えたことがあるのだろうか。
日栄・商工ファンドが、問題となったのは、保証人に対する請求であった。日栄・商工ファンドとて、一旦は、保証契約時に、つまり、主債務者が返済不能とはなっていない状況において、自分の意思で連帯保証人となった人に対して請求をしたのである。
返済不能となった人の債務について、裁判所が、新たに、保証人を入れるなど、論外ではないか。
多重債務者が返済不能となったとき、裁判所で入れられた保証人は、自分で支払わねばならないこととなり、給料の差押えをされる危険を負担するのだ。
貸金業者は、貸金業規制法によって「支払義務のない第三者に支払請求をする」ことを禁止されている。もし、この規定に違反して、支払請求をすると、行政処分の対象となり、刑事処罰の対象となる。
裁判官は、調停委員は、何を考えているのだろうか。
私が、貸金業者の代理人なら、裁判なんてやらない。顧問先の貸金業者に対して、債務者に調停を申し立てるようにいう。それだけでいいのだ。
自分で訴訟を起こしたら、印紙代がかかり、郵便切手代を出さねばならない。債務者が調停を申し立ててくれれば、なんにもかからない。その上、保証人までつけてくれるのだ。
不良債権は、たちまち優良債権に早変わり! 大手のサラ金業者は、高松の簡易裁判所に、貸し出しの台帳のみを資料として出している。
その業者は、普通は、きちんと、利息制限法の18%で計算した計算書を提出している。 業者だって、裁判所をみて対応する。当然ではないか。
私だって、人の子、裁判所に憎まれたくない。
でも、このままこれを放置することはできない。普通の裁判は、一審で裁判所の判断がでれば、控訴(二審)して、また、改めて裁判所の判断を仰ぐことができる。さらに、二審の判断がでれば、最高裁に上告できる。三度の自己の主張をする機会があるのだ。
しかし、調停は、一回きりである。
密室の中で、法律の素人が、……………。
情報公開が最も遅れているのは司法の分野ではないかと、思い知らされた。