日掛けと警察


 私は、1月中旬から、宮崎で発生している日掛け被害事件の相談を受けた。
 私は、釧路であり、宮崎の事件を担当することは物理的に不可能なため、宮崎の弁護士に紹介をするという役目だった。しかし、任意整理(支払うという方向で解決したいという希望)という人に対しては、相談にのっているので今後直接本人には請求をしないでようにしてくれという「介入通知」を出していただけないということから、又、私のところに「ともかく、相談にのってほしい」との切実な要求があった。そのため、私は、不十分なことしかできないことを前提として相談にのることにした。

 私が相談にのったA子は、27才のOLである。A子の母親は、B子(日掛け被害の中心的人物)と知人であった。B子は、A子の母親、B子の娘、そして、C子の3人を保証人として金員を12月初めにロイヤル信販から借りた(A子の話ではロイヤル信販からは2年以上前から繰り返し金を借りていた)。
12月25日、C子が自己破産の申立てをした。そのため、ロイヤル信販は、27日に、A子の母親のところに「一括返済するか、新たに保証人を入れるかしてもらわないと困る」と請求に言った。母親は、そんなことはできないと言って断ったが、ロイヤル信販の社員が帰らないので、警察を呼んだ(ロイヤル信販の担当者は、母親のところに行ったら警察官がきていたと表現している」。警察官は、母親に「暴力的な取立があるとか、暴力が振るわれる」ということがなければ警察は何もできないと言ったという。
ロイヤル信販は、私に、「警察官に、連帯保証人が一人破産したのが、もう一人保証人を入れてもらわなければならない。そういう契約になっているという説明をした」警察官は、自分の言い分をわかってくれた。警察官との会話は、全部録音がとってある。と言った。

 このような経過の中で、ロイヤル信販は、母親に、「娘さんがいるだろう。娘を保証人にいれるよう」話したという。母親は、娘は、ここにいない、娘は保証人にはなれないと断ったというが、結局、友人宅にいるA子に電話をして頼んだところ、A子が断った。A子が断ると、ロイヤル信販の社員が電話にでて、A子が保証人にならなければ帰らないと言ったため、やむなく保証人になることを承知したという。

 そして、翌日12月28日、ロイヤル信販の店頭に出向いて保証契約に署名・押印したという。

 私は、この話をロイヤル信販の担当者から聞いて、「その保証契約は、無効じゃないの。」と言ったところ、ロイヤル信販の担当者は、「それなら払わないとういことか」と聞いた。そして、「そういうことになるわねえ」と言ったところ、「それなら、請求させてもらう」と言った。

 私は、「弁護士が相談にのっていると言っているのに、請求するの?」というと、「払わないというのなら請求します」という。

 私は、「裁判所に保証人としての責任があるかどうかを判断してもらって、責任があるということになれば、払うけど、保証責任がないというなれば、払わないことになるわよね」と言ったが、「担当者は、請求する」の一点張りだった。私は、九州の日掛け金融の請求のひどさを、実感した。

私は、ロイヤル信販の本社(大分県)に電話をして、「請求をしないよう」要望した。ロイヤル信販本社担当者は、「弁護士が介入すれば一切請求はしない」と約束した。
ロイヤル信販担当者は、警察官との会話はすべて録音しているので裁判になれば、それを出すと言った。警察官もロイヤル信販の請求を正当と認めたというのだ。
ロイヤル信販の請求行為は、明らかに貸金業規制法に定める取立規制に違反すると考えている。

今年は日掛けに頭を悩まされそうだ。

 なんで、北海道釧路市の私が、九州の宮崎の日掛けの被害者の相談にのらなければならないのだろうか。(2月22日)