社会正義を標榜する弁護士に求められるものは何か?これでいいのか、ふづき法律事務所の債務整理の弁護士費用
サイト掲載: 2022年8月2日
私は「債務整理の相談」「過払い金を取り戻す相談」等を売り文句にしている弁護士法人・弁護士の債務整理について、昭和53年より債務整理の相談に関与している弁護士として、恥ずかしい思いをしている。
そのような中で、私は「ふづき法律事務所」という弁護士法人に相談をし、約束の送金が途絶えたとして、辞任されたという女性の債務整理の相談にのった。
その女性(Aさん)は、私のところに相談にきた翌日、病院に入院するということだった。
Aさんは、ふづき法律事務所に債務整理の相談をしていると言い、ふづき法律事務所との契約書などを持参してきた。
私は、ふづき法律事務所の弁護士費用について、驚きと同時に怒りを感じた。
Aさんの債務は5件で、債務額と弁護士費用の関係は次のようになっている。
債務額 | 弁護士費用等 | ||||
弁護士着手金 | 報酬 | 代行手数料 | 小計 | ||
1 | 47,000 円 | 48,000 円 | 0 円 | 15,000 円 | 63,000 円 |
2 | 72,486 円 | 48,000 円 | 0 円 | 24,000 円 | 72,000 円 |
3 | 165,900 円 | 48,000 円 | 19,800 円 | 54,000 円 | 121,800 円 |
4 | 470,000 円 | 48,000 円 | 19,800 円 | 59,000 円 | 126,800 円 |
5 | 923,188 円 | 48,000 円 | 19,800 円 | 52,000 円 | 119,800 円 |
小計 | 1,678,574 円 | 240,000 円 | 59,400 円 | 204,000 円 | 503,400 円 |
債務額が 47,000円の債権者について、弁護士費用として 63,000円を支払うことになる。
債務額が 72,486円の債権者について、弁護士費用として 72,000円を支払うことになる。
債務額が165,900円の債権者について、弁護士費用として121,800円を支払うこととなる。
債務額が470,000円の債権者について、弁護士費用として126,800円を支払うこととなる。
債務額が923,188円の債権者について、119,800円を支払うこととなる。
代行手数料の1,000円については、現実に債権者に支払う振込手数料が含まれているから、弁護士費用になるのみ、振込手数料を差し引いた額となる。
Aさんは、相談時、娘さんと二人暮らしであったが、手取の月収は13万円前後であった。
ふつぎ法律事務所は、電話でAさんが娘と同居しており、娘が生活費として3万円を負担すると言っているとして、毎月48,000円の返済が可能と判断したという。
Aさんは、ふづき法律事務所に総額496,000円を支払った段階で、ふづき法律事務所が送金するようにと行ったお金を送金できなくなった。
Aさんが送金した496,000円は、次のようになっている。
弁護士費用 | 着手金 | 219,120 円 | 306,460 円 |
解決報酬金 | 65,340 円 | ||
実費 | 2,000 円 | ||
代理送金手数料 | 24,000 円 | ||
債権者への代理弁済金額 | 204,174 円 |
私の疑問
1
債務額が47,000円であれば、弁護士着手金の48,000円より少ない。
債権者に47,000円を支払うといえば、振込手数料だけを負担すれば、債務成立は解決する。
47,000円について、ふづき法律事務所が債権者と合意した支払約定は毎月3,000円で15回払いとなっている。
3,000円について、毎月1,000円の弁護士代行手数料を支払うというのは悪質ヤミ金なみの高利ではないか。
2
債務額が72,486円であれば、48,000円を払えば残りの債務額は24,486円である。
ふづき法律事務所は、この債務については初回は5,000円、2回以降3,000円で24回払いの約束をしている。
代理送金手数料だけで、24,000円である。
3
債務額が165,900円については、着手金の他に解決手数料19,800円を払っている。
48,000円と19,800円の合計は、67,800円であるから、残りの債務は、10万円以下である。
4
債務額47万円と92万円の債務については、長期の分割にする必要があると思われるが、3件については、短期間に解決が可能であったことは明らかである。
5
法テラスという制度があり、Aさんは、当然、法テラスが利用できた。
法テラスを利用すれば、弁護士費用は、法テラスが弁護士に支払ってくれる。
そして、法テラスが弁護士に支払った費用は、分割で返済できる(Aさんの場合は、月5,000円の分割返済が可能であったと思われる。また、返済猶予も受けられる可能性がある)
ふづき法律事務所は、法テラスと契約をしていないから、法テラスについては、Aさんに説明していないという。
社会正義を標榜する弁護士に求められるものは何か?
ふつぎ法律事務所の債務整理は、コマーシャルやインターネットで宣伝をしている弁護士・司法書士事務所の大方のやり方であると推測される。
社会正義を標榜する弁護士が、Aさんのように真面目に頑張っている相談者をかつて社会問題とかした悪質サラ金並みの業務を行うことは許されないと考える。
Aさんは、私の事務所にきたときは、病気で入院せねばならないが、ふづき法律事務所から委任契約を解除され、債権者からの督促がひどいという状態だった。Aさんの娘さんは、現在、遠隔地で働いている。ふづき法律事務所は娘さんの協力を受けて返済すると判断したというが、娘さんは、母親が債務整理をすることは知らなかったという。