45年前の借金の保証?
北海道は、なぜ、このような請求をするのか!
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社は、なぜ、違法な個人情報を得ようとするのか!
2012年09月12日
A・Tさん(75歳)は、一人暮らしをしている。
平成24年8月初め、北海道から、次のような書面がきた。
書面の表題は、「高度化資金貸付金に係る債権管理回収委託業務の実施について」という長い名前であった。
宛て先として、東北海道○○○協同組合 連帯保証人○○○○相続人A・Tとなっていた。
連帯保証人となっているのは、A・Tさんの亡くなったお兄さんであった。
内容は、次のようになっていた。
契約者名 東北海道○○○協同組合
貸付金額等 貸付年月日 昭和42年3月20日
貸付金額 4,000,000円
貸付残金 1,528,000円
履行期限到来額(元金) 1,528,000円
※貸付残高、履行期限到来額は平成24年8月1日現在
しかも、北海道は、この契約に係る債権管理回収業務を、エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社に、委託すると書かれていた。
どうしても支払わなければどうなるのか?
Aさんは、北海道からの書面であり、どうしても、支払わなければならないものだと思って、息子のBさんに相談をした。
Bさんは、Aさんの兄さんが亡くなったのは、何年も前であり、そのとき、相続人は、相続放棄をしたはずだと思った。しかし、Aさんは、自分が相続放棄をしたという記憶がなかった。
それで、当時相談にのってもらった由利弁護士に相談をした。
由利弁護士は、すぐに、当時の資料を探して、Aさんの兄さんについては、Aさんを含めて全員相続放棄をしていること、当時、相続放棄の申述の受理証明書というのをAさん他全員に送っていると言った。
この書面は、あまりにも酷すぎるのではないか!
由利弁護士が酷すぎると言った理由
1 Aさんの相続人は、妻のCさんと、Aさんを含めて、兄弟姉妹3人の4人が相続人だ。
従って、Aさんの相続割合は、次のようになる。
Aさんの妻Cさん 4分の3
Aさんの兄弟姉妹3人 4分の1の3分の1で12分の1
従って、Aさんの相続債務は、次のようになる。
1,528,000円÷12=127,333円
仮に、Aさんに、相続した保証債務について、支払い義務があるとした場合でも「127,333円」なのに、この書面だと、152万円以上支払わねばならないような内容となっている。
2 協同組合の残元金は、1,528,000円となっているが、昭和42年からどのように支払われていたのか全くわからない。
由利弁護士が、問い合わせたところ、担当者は、次のように話した。
協同組合は、活動していないでしょう。
昭和58年ころまで約束どおり支払われていた。
平成7年ころまで、時々、支払われていた。
最初の返済期間は、20年である。
この内容だと、すでに、時効が完成している。従って、時効だとさえいえば、支払い義務はなくなる。
時効というのは、本人が「援用」しなければ駄目で、もし、時効を援用せず、支払えば、債務を承認したこととなってしまう。
何、これ!
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社からの手紙!
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社は、平成24年8月23日付けで、「通知書」を送ってきた。
その内容は、次のようになっていた。
そして、「生活状況確認票」が同封されていた。
生活状況確認票の内容は、次のようなものだ。
ア |
連帯保証人のお名前・債務者のお名前・連帯保証人の現住所・ご記入者・電話番号 連帯保証人は、亡くなったお兄さんだ。 債務者は、Aさんは、全く知らない協同組合だ。 Aさんは、連帯保証人になった覚えなどない。このことは、北海道も、 エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社も、百も承知していることだ。 | ||||||||||||||
イ |
お客様家族状況という欄があり、家族の名前から、年齢、会社名(業種)、就学状況、勤労収入(手取額)、年金収入(手取額)、その他の収入(手取額)、収入額計(手取額)、付帯事項の欄があった。 世帯収入計を記載せねばならないことになっている。 さらに、物件売却後、居住する住居の書類なる欄がある。 そこには、次の記載がある。
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ウ |
当機構以外の負債状況欄には、借入先・現在の残高・返済月額の欄がある。 そして、当機構以外の負債総額・毎月の返済額合計欄がある。 さらに、(注)として、次の記載がある。
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エ |
今後のご返済についてという欄には、次のようなことが記載されている。
|
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社が、
このような個人情報を取得してどうしようというのだろうか。
債権管理回収業者が個人情報を取得するについては、次のようなルールを守らねばならないこととなっている。
平成17年4月1日、「個人情報の保護に関する法律」が全面施行された。法務省は、個人情報保護法と密接にかかわる債権管理回収会社(サービサー)が行う業務について、下記のようなガイドラインを定めた。
「債権管理回収分野における個人情報保護に関するガイドライン」
さらに、金融機関関係団体は、個人情報保護法対策として、下記自主ルールを定めた。
「債権管理回収業における個人情報保護に関する自主ルール」
その中では、次のことが定められている。
1 利用目的の特定(保護法15条関係)
利用目的の特定については、「本人が自己の個人情報の利用結果を合理的に予測し得る程度の具体性をもって特定しなければならない」とされている。
2 個人情報の取得の際には、利用目的を本人に通知しなければならないが その際、「当該利用目的を書面に記載し、その書面と同一の書面をもって当該目的での利用について、本人の同意を得る」こととなっている。
この生活状況確認票には、「当機構」との記載がある。この書面は、どうも、住宅金融支援機構の債務者・連帯保証人に対して利用している書面のようだ。
しかし、個人情報の取得について、利用目的も明らかにせず、かつ、個人情報の利用についての同意をえるということもせず、正々堂々とこのような情報を取得しようとするとは、どういうことなのだろうか。
このような調査をするのは、本当は、
支払わないということを言ってほしいからである??
由利弁護士は、エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社のあまりにも違法な個人情報の取得について、抗議する電話をした。
なんの目的でこのような個人情報を取得するのかと尋ねたところ、次のように話した。
これは、10年以上支払いがない時効になっている債権である。
弁護士に相談をするなどして、時効の援用をしてもらえばいいが、そうでない場合は困る。
それでは、「時効だから援用するように書けばいいのではないか」と尋ねればいいのではないかと、聞くと、債権者からそのようなことは言えませんと言った。
北海道から払えと言われている、借金をしてでも払うという人がどうするのかと聞くと、その場合は、時効のことを説明するということであった。
そのような目的なら、個人情報を取得する必要はないのではないか。
又、北海道は、わざわざ、債権を放棄する予定である債権について、サービサーに金を払って依頼する必要があるのだろうか。
Aさんが、相談に来られた翌日、Xさんが、同じ書類を持って、相談に来られた。
Xさんは、亡くなったお父さんの相続人だ。Xさんの兄弟姉妹は、8人だという。そうすると、8人に同じ書類を送っていることになる。
Aさんの関係と、Xさんの関係の相続人は、全部で20人だ。
協同組合の債務の連帯保証人であるから、協同組合の役員が全員連帯保証人となっていると思われる。
全部で、何人に、このような違法な書類を送っているのだろうか。
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社が送ってきた「生活状況確認票」という書類は、どうも、住宅金融支援機構で使っている書類のようだ。
なぜなら、「当機構」というような表現があるからだ。
安易すぎないのか。