遂に、信用保証協会の「連帯保証」を原則廃止へ!

2006年 3月 27日

 2006年(平成18年)3月20日付、日本経済新聞は、一面トップで下記のような記事を掲載している。

信用保証協会
連帯保証を原則禁止

中小企業の負担軽減

経済産業省は、国が認可する各地の信用保証協会が手がける信用保証制度で、「連帯保証」を原則廃止する方針を決めた。
信用力の低い中小企業は連帯保証人を付ける例が多かったが、経営破綻した場合、家族まで債務を負うと再起が難しくなり、むしろ中小企業の再生が進まないと判断した。
4月からの制度改革に合わせ、月内にも全国の信用保証協会に原則として禁止すると通達する。

経産省、月内にも通達!

信用保証は、中小企業が金融機関から融資を受ける際、国の認可を受けた信用保証協会が返済を保証する制度。倒産リスクが高い中小・零細企業向け融資では、各地の協会が経営者や知人ら第三者を連帯保証人として付けるよう信用金庫などの金融機関に求めていた。企業が倒産した場合、肩代わりした債権の回収率が低くなるのを避けるためだ。信用保証協会は全国で年に約100万件の保証をしているが、2〜3割が連帯保証人を付けているとみられる。
 連帯保証人は企業が返済できなくなったときに、債務の返済義務を負い、肩代わりした借金を保証協会に払いつづけなければならない。経営者本人だけでなく、家族や知人まで連帯保証人になると債務者が連鎖的に増え、中小企業の自立を阻害する一因になるとの指摘もある。
 一部の地域では第三者の連帯保証をつけることが半ば慣行になっていた。 連帯保証を付けると金融機関の審査が甘くなると批判もあった。連鎖倒産や保証人の夜逃げ、財産没収など社会問題にもなり、経産省は景気が回復基調をたどる中で必要性が薄れていると判断、原則廃止を決めた。
(中略)
 経産省は信用保証の仕組みを定めた中小企業信用保険法の政令を改正し,4月から制度を改革する。
これまで一律だった保証料率がリスクに応じて変動する仕組みを導入、リスクが高い企業には高い保証料を適用する。融資が焦げついても保証協会は全体として損失をカバーできるようになるため、「こき面でも連帯保証は不要になる」とみている。

もともと、保証協会は、個人保証を不要とするためのものだった!

 信用保証協会は、ほぼ都道府県単位でおかれている。
 担保がない信用力の弱い中小企業のための制度として、個人保証を不要とするものであった。
 にもかかわらず、原則として、保証人をとるような運用がなされていた。
 特に、なんらかの政策的な融資として打ち出され、「保証人不要」の貸付をするなどと、宣伝されたものについてまでも、個人保証人をとるなどのことがあった。
 又、信用保証協会は、保証人の返済能力から判断して、到底,支払えないような融資額の保証を、従業員にさせるなどの事例もあった。
 種々の事情を主張し、「保証が無効」である旨訴訟で主張しても、保証無効が認められることはほぼなかった。
 私が1988年に相談にのった事例は、次のようなものだった。
 自営業を営む父親に頼まれて、勤労者である長男が連帯保証人になった。
 父親の会社は、その直後に事実上倒産。1200万円の債務は、すべて連帯保証人である長男にかかってきた。長男は、子ども3人がいた。中小企業に勤めており、家族を養うのが精一杯という状態だった。子どもは、いずれも学業にあった。
 このS氏は、それから、今日まで、毎月、北海道信用保証協会に対して、1万円から2万円ずつを支払っている。
 毎年、今年はどの位支払えるかという書類を、信用保証協会に出して、その年に支払うお金を決める。
 勿論、破産すればいいのだが、破産は避けたいというし、住宅を持ちこたえたいということだった。住宅ローンもあった。
 当時、個人再生というような制度もなかった。
 これまでにすでに200万円以上の返済をしているが、今後どうなるのだろうか。