岩手信用生協とは?
岩手県消費者信用生活協同組合というのがある。私の認識では、生協というのは、物資の共同購入を行うところという認識だった。
私が大阪にいたころ、生協は、灯油の共同購入など、店舗を構えず、組合員が共同の利益のために活動していたように思う。
私が札幌にきて、生協とは、全く、普通のスーパーマーケットと同じように店舗を構えて営業をするところだと思った。釧路にも多数の生協スーパーマーケットがあった。そこでは、組合員ではない私も、普通に商品を購入することができた。生協と普通のスーパーマーケットとの違いはわからなかった。
岩手県消費者信用生活協同組合(生協)は、物資の共同購入などだけをするところではないらしい。
岩手信用生協は、「消費者救済資金貸付制度」という事業を行って、15周年となるという。
この制度は、「単なる融資制度にとどまらず、多重債務の早期解決のため、県内市町村、岩手弁護士会及び地域金融機関」協力をして、総合的な相談と具体的な解決を図るという制度となっているという。
岩手信用生協のパンフレットは、次のようになっている。
債務をまとめたいとお考えの皆様へ サラ金・クレジットなど多重債務の整理資金に 消費者救済資金融資制度
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岩手消費者生協が融資をする財源は、岩手県内の53の市町村から、一定のお金を拠出してもらい、それを金融機関に預金し、その4倍の融資を受けて、組合員に融資をするということだという。
平成元年に盛岡市で始まり、現在は、県内58市町村の内53市町村にまで拡大しているという。
その名称は、「自治体提携消費者救済資金貸付制度」(スイッチローン)という。
これは、サラ金・クレジット・銀行などの利用による多重債務が大きな社会問題化した背景を受けて、平成元年度より信用生協と盛岡市との提携により実施された多重債務に陥った方を救済するための貸付制度であり、2003年4月現在、県内53市町年からの預託金を原資として信用生協が、県内主要金融機関から協調融資を受け手融資枠を確保し、実施している公的な制度だという。
さらに、債務の整理にあたっては、岩手弁護士会消費者問題対策委員会との協力により、担当弁護士が順番に整理にあたる。また、融資による債務整理だけではなく、特定調停あるいは、民事再生・自己破産といった方法から、親族・家族も交えた相談の中での資金調達、資産活用などさまざまな方法を提案し、問題解決のための支援を行う。この他の融資制度としては、高額の負債整理をするためのリリーフローン、親族等に債務整理資金を融資するサポートローン、すでに組合員となっている方が出資金を活用して生活資金の融資を受けられるメンバーローン、初めて融資を利用する方のためのビジターローン、歯の治療代金に当てる歯科ローンなどがあるという。
岩手信用生協の実績 | |
平成14年の組合員数 | 10,913名 |
出資金 | 610,690,000円 |
融資残高 | 6,058,490,000円 |
自治体が、多重債務者の債務整理のために、このような活動をしているところは、日本全国で、ここだけのようである。
融資利率は、年1回見直しを行う変動金利で、平成15年12月現在で9.25パーセントである。
中小金融機関が、債務整理資金を融資するとして、年15パーセントというような高利で金を貸している状況において、この取り組みはすばらしい。
今、自殺者が増え、多重債務者が増えている状況において、岩手信用生協のような地道な活動をする組織が必要ではなかろうか。