公正証書による給与差押え命令の取消し!



 A男は、父親に頼まれて、父親が代表取締役をしている会社が、商工ファンド(現社名 SFCG)から、金250万円を借りるについて連帯保証人になった。平成9年のことである。

 A男は、平成15年7月になって、突然、給料に対する差押えの書面が裁判所から郵送された。

 驚いたA男は、父親に聞いたところ、父親の会社は、すでに、利息制限法による元本充当計算をすれば、600万円以上過払となるということで、商工ファンドに書面を出しているということだった。

 私は、この相談を受けて、「給料に帯する差押え(債権差押命令)」の執行停止の申立てをした。

 この段階で、私は、同様の事例で、仙台の新里弁護士が、「債権差押命令の取消し」決定を得たということを聞いた。

 私も、早速、「債権差押命令の取消しの申立て」をした。

 仙台では、保証金は、なんとか1%だったという(400万円の請求債権額の1%に1万円を上乗せして5万円であったという)。

 私は、それほど裁判官を説得できなかったため、5%強ということだった。(250万円の請求債権で15万円)


執行停止の効力

 強制執行の停止というのは、一応、停止されるため、債権者には、差押えされたお金は払われないが、給料からは、差し引かれることになる。つまり、毎月、裁判所の債権差押命令に基づいて計算した金額(支給総額から税金・社会保険料を差し引いた残金の4分の1・残金が28万円を超えるときは、21万円を残して全額)が、給料から差し引かれて、第三債務者(雇い主)が保管するか、供託する。

 つまり、差押えを受けた人は、本訴(請求異義訴訟)が終了するまで、ずっと給料から差押え額を引かれ続けるのである。従って、「執行停止」と「執行取消し」では、全く違う。

 給料から毎月差し引かれるということになると、勤務先との関係で、恥ずかしい思いをしなければならないし、現実にも、生活に支障がでる。

 これら2事例は、利息制限法の制限利息による元本充当計算では、過払いとなる事例である。

 しかし、仙台では、「公正証書」による給料に対する差押えの場合には、前記元本充当計算で残元金が残る場合にも、「執行取消し」が認められている。

 強制執行決定の取消しが認められるということは、債権者の理不尽な強制執行攻撃に対する有効な手段だ。